究進塾

ブログ

BLOG


こんにちは。究進塾 編集部です。

今回は江口先生の「電磁気学」の第7回目として、真空中での導体系を取り扱います。中でも真空中に導体がいくつかある場合の、一般論を学習していきます。

一意性の原理

いくつか学んでいきますが、最初に「一意性の原理」というのがあります。これは、ある電位分布が与えられた時に、その電位分布を作るための電荷の分布の仕方は一通りしかない、という原理があります。

そしてもう1つは、導体がいくつかあり、各導体に電荷が一定量が与えられた時ですが、導体なので、電荷は導体の表面にしか現れません。そして導体が複数ある場合は、対称に現れるわけではなく分布するのですが、この分布の仕方も一通りしかない、というものです。

これが「一意性の原理」と言われています。これがまず最初の原理としてあります。

 一意性の原理

🔵電位分布が与えられたとき、それに対する電荷分布は一通りしかない。
🔵各導体の電荷量が与えられたとき、導体上の電荷分布は一通りしかない。

 

それから、2番目の原理として「重ね合わせの原理」というのがあります。

🔵導体系での各導体の電荷が\(Q_1、Q_2、\)…のとき

これは実は、すでに当たり前のようにして電位の計算のところで以前に使っています。これを一般化しておきます。

このように導体の\(1、2\)…\(n\)までがあって、この各導体間に\(Q_1、Q_2、…Q_n\)という電荷を与えます。この時の電位が、それぞれ\(V_1、V_2、\)…\(V_n\)であったとします。

今度は、全く同じ導体系配置において、\(Q_1’、Q_2’、\)…\(Q_n’\)という、別の電荷量を与えます。

🔵電荷が\(Q_1’、Q_2’、\)…のとき

この時、当然違う電位になるわけですが、仮に\(V_1’、V_2’、\)…\(V_n’\)という電位になったとします。

🔵電荷が\(\color{blue}{Q_1’、Q_2’、…}\)のときの電位を\(\color{blue}{V_1’、V_2’、…}\)

このような関係があるときに、これを足した\(\color{red}{Q_1+Q_1’、Q_2+Q_2’、…Q_n+Q_n’}\)をそれぞれ導体に与えたときの電位は、それぞれの電位の足し算になり、\(\color{red}{V_1+V_1’、V_2+V_2’…V_n+V_n’}\)というようになります。

🔵電荷が\(\color{blue}{Q_1’、Q_2’、…}\)のときの電位を\(\color{blue}{V_1’、V_2’、…}\)とすれば、電荷が\(\color{red}{Q_1+Q_1’、Q_2+Q_2’、…}\)のときの電位は\(\color{red}{V_1+V_1’、V_2+V_2’、…}\)

これを「重ね合わせの原理」と呼んでいます。これは今までも問題を解くときに、2つの電荷がある場合にそれぞれの作る電位の和として計算していますので、すでに使っているものなのですが、一応これは原理として成り立っている、ということを説明しました。

この2つの原理が、まず最初にあります。

Greenの相反定理

それから、これはなかなか出てこない定理なのですが「グリーンの相反そうはん定理」というのがあります。

🔵同じ導体系について二つの分布
\(V_1^{(1)}、V_2^{(1)}、\)…\(V_n^{(1)}\)、\(Q_1^{(1)}、Q_2^{(1)}、\)…\(Q_n^{(1)}\)

このように、やはり\(1\)から\(n\)までの導体を考えて、それにそれぞれ\(Q_1、Q_2、\)…\(Q_n\)までの電荷を与えた時の電位が、\(V_1、V_2、\)…\(V_n\)と、このような電位分布だったとします。

そして全く同じ導体系に、違う電荷量を与えます。

\(V_1^{(2)}、V_2^{(2)}、\)…\(V_n^{(2)}\)、\(Q_1^{(2)}、Q_2^{(2)}、\)…\(Q_n^{(2)}\)

このような電荷であったとします。導体系の配列は全く同じです。違った電荷量を与えたということです。

その時に、非常に面白い原理なのですが、【上図の電位と下図の電荷を電荷をかけたものを、\(1\)から\(n\)まで全部足し算したもの】と、逆に【上図の電荷と下図の電位をかけたものを足し算したもの】、これが等しくなります。

\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}V_k^{(1)}Q_k^{(2)} \ = \ \displaystyle \sum_{k=1}^{n}\color{green}{V_k^{(2)}Q_k^{(1)}}\)

これが「グリーンの相反定理」と言われているものです。これは少し証明しておきます。

2つの電荷分布、電位分布があるときに、\(V_1^{(1)}\)と\(Q_2^{(2)}\)、\(Q_2^{(1)}\)と\(V_2^{(2)}\)をかける、これが等しくなるという定理です。

これは例えば、\(l\)番目の導体に\(Q_l\)という電荷を与えてみます。

これは点電荷と考えてください。そうすると、\(k\)番目に作る電位は、次に書き記す通りです。

\(V_k^{(1)} \ = \ \frac{1}{4πε_0} \displaystyle \sum_{l(≠k)}^{} \frac{Q_1^{(1)}}{r_{kl}}\)

同じようにして2番目の\(k\)において\(l\)の電位は、これ以外の電荷から作る電位を全部足し算したものなので、次のような形に表します。

\(V_1^{(2)} \ = \ \frac{1}{4πε_0} \displaystyle \sum_{k(≠l)}^{}\frac{Q_l^{(2)}}{r_{kl}}\)

ここから、グリーンの相反定理の「左辺を計算していくと右辺になる」ということをやっていくのですが、まず左辺の\(V_k^{(l)}\)に、先程記載した\(V_k^{(1)} \ = \ \frac{1}{4πε_0} \displaystyle \sum_{l(≠k)}^{} \frac{Q_1^{(1)}}{r_{kl}}\)を代入して計算します。

これは二重の\(σ\)の計算になってるので、これを合わせて書くと、 \(k\)と\(l\)が等しくない場合についてのみ全て総和を取ります。

\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} V_k^{(1)}Q_k^{(2)} \ = \ \displaystyle \sum_{k}^{} ( \frac{1}{4πε_0} \displaystyle \sum_{l(≠k)}^{} \frac{Q_1^{(1)}}{r_{kl}} ) Q_k^{(2)}\)
\( = \ \frac{1}{4πε_0} \displaystyle \sum_{k,l(k≠l)}^{} \frac{Q_l^{(1)} Q_k^{(2)}}{r_{kl}}\)

逆に、\(l\)に対する総和を外に出してやると、次のような形になります。

\(= \displaystyle \sum_{l}^{}(\frac{1}{4πε_0} \displaystyle \sum_{k(≠l)}^{}\frac{Q_k^{(2)}}{r_{kl}})Q_1^{(1)}\)

この\((\frac{1}{4πε_0} \displaystyle \sum_{k(≠l)}^{}\frac{Q_k^{(2)}}{r_{kl}})\)は、いわゆる\(V_l\)のことなので、次のような形になります。

\(= \displaystyle \sum_{l}^{}(\frac{1}{4πε_0} \displaystyle \sum_{k(≠l)}^{}\frac{Q_k^{(2)}}{r_{kl}})Q_1^{(1)} \ = \ \displaystyle \sum_{l}^{}V_1^{(2)}Q_1^{(1)}\)

これでグリーンの相反定理が証明できる、ということです。

ややこしく説明しましたが、これは単に「\(σ\)が二重になっているので、\(σ\)の計算をする順番を前後入れ替えた」という、数学的にはそれだけの話です。

例題

ではこれをどうやって使うのか、どんな場合に使うのかを示すために、例題を1つやってみます。

導体1を導体2でとりかこんでいて、それぞれの電位が\(V_1\), \(V_2\)のとき両者の中間の点\(P\)での電位が\(V’\)になるとする。
\(P\)点に電荷\(q\)をおき両導体を設置するとき、両導体に誘導される電荷を求めよ。

1、2はいいとして、3は点です。これを3番目の物体として考えます。上の図で「,」で括ってある部分は、電荷・電位の順番で書いてます。

1番目の導体には\(Q_1\)の電荷と\(V_1\)の電位、2番目の導体には電荷\(Q_2\)と電位\(V_2\)の電位、そして3番目の点には最初は電荷がないわけですから電荷は0、その時の電位は\(V’\)だったわけです。

ポイント

点\(P\)を第3の物体とする
最初、\(1\)の電荷が\(Q_1\)、\(2\)の電荷が\(Q_2\)、\(P\)の電荷が\(V’\)だったとする。

 

では\(P\)の点に、問題の通り\(q\)を置いた時、当然\(P\)点の電位は変わるので、これを\(V”\)としておきます。

\(P\)に電荷\(q\)をおいて、\(1、2\)を接地(電位0)としたときの1、2を\(q_1、q_2、P\)点の電位を\(V”\)とする。

そうすると、1番目の導体と2番目の導体は接地するわけですから、電位は0になっています。その時に、\(q_1\)と\(q_2\)という電荷が誘導されたとします。

この2つの間で、先ほどの「グリーンの相反定理」を使ってやるわけです。

求めるのは当然\(q_1\)、\(q_2\)なのですが、グリーンの相反定理は先ほども書きましたように、\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} V_k^{(1)}Q_k^{(2)} \ \ = \displaystyle \sum_{k=1}^{n}V_k^{(2)}Q_k^{(1)}\)のようにお互いにクロスさせて電位と電荷をかけたものでした。

なので、上の図を1つ目の分布、下の図を2つ目の分布としてクロスして、3つの物体に対して電位の総和を取ってみます。

求めるのは\(q_1、q_2\)

Greenの相反定理 \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} V_k^{(1)}Q_k^{(2)} \ \ = \displaystyle \sum_{k=1}^{n}V_k^{(2)}Q_k^{(1)}\)より

\(V_1q_1+V_2q_2+V’q \ = \ 0・Q_1+0・Q_2+V”・0 \ = \ 0\)

そうすると、この式が0ということになります。

それから、図の\(P(3)\)の場所に電荷を置いた時に、ここから電気力線が出るわけですが、ここは完全に包囲されているので、\(P(3)\)から出た電気力線は、中央の円に入るか、外側の円に入るしかないわけです。

つまり\(q_1+q_2\)はガウスの定理から\(q\)になるしかないわけです。電気力線はどこかを通らなければならないので、先程も述べたように、\(P\)点から出たのものは絶対にどちらかに行くしかないわけです。

\(\color{red}{V_1q_1+V_2q_2+V’q} \ = \ 0・Q_1+0・Q_2+V”・0 \ \color{red}{= \ 0}\)
\(P(3)\)から出た電気力線はすべて\(1\)か\(2\)に入るから
\(\color{red}{q_1+q_2 \ = \ q}\)

なので、上の2つの式を単純に連立方程式として解いてやればいいわけですから、このように求めることができます。

\(q_1 \ = \ \frac{V_2-V’}{V_1-V_2}q \ \ \ \ \ q_2 \ = -\frac{V_1-V’}{V_1-V_2}q\)

これが、グリーンの相反定理を使って誘導電荷を計算するという、1つの例になります。

電位係数

次に、電位係数というものを説明していきます。

\(V_1 \ = \ p_{11}\)
\(V_2 \ = \ p_{21}\)
\( \ \ \ \ \ \ \ ……………………\)
\(V_n \ = \ p_{n1}\)

まず、上記のように1から\(n\)まで導体\(n\)個があります。

導体1にのみ電荷1クーロンを与えます。その他の電荷は全部0だとした時に、各導体にできた電位をそれぞれ\(P_{11}、P_{21}、P_{n1}\)、このように表します。

そうすると、この電荷を\(Q_1\)クーロンにした時は、1クーロンを\(Q_1\)個重ね合わせればいいわけですので、最初に言った「重ね合わせの原理」が成り立ちます。なので、\(Q_1\)の電荷を置いた時、それぞれの電位\(V_1、V_2、V_n\)は、それぞれこのように表します。

同じように考えて、今度は\(l\)番目のところだけに電荷を置いて、他を全部に0にした場合を考えると、そこの電場による電位なので、同じようにずれてくるだけで、このようなことになります。

\(V_1 \ = \ p_{11}Q_1\)
\(V_2 \ = \ p_{21}Q_1\)
\( \ \ \ \ \ \ \ ……………………\)
\(V_n \ = \ p_{n1}Q_1\)

そうすると電荷分布に対して全て足し算してやれば、これも重ね合わせで足し算してやれば電位になるわけですから、最終的に\(V_1\)から\(V_n\)は、\(Q_1\)から\(Q_n\)を用いて、このような形に表すことができます。

\(V_1 \ = \ \ \ \ \ \ \ p_{1l}Q_l\)
\(V_2 \ = \ \ \ \ \ \ \ p_{2l}Q_l\)

\( \ \ \ \ \ \ \ ……………………\)

\(V_n \ = \ \ \ \ \ \ \ p_{nl}Q_l\)

\(V_1 \ = \ p_{11}Q_1+p_{12}Q_2+ \ … \ p_{1n}Q_n\)
\(V_2 \ = \ p_{21}Q_1+p_{22}Q_2+ \ … \ p_{2n}Q_n\)

\( \ \ \ \ \ \ \ ……………………\)

\(V_n \ = \ p_{n1}Q_1+p_{n2}Q_2+ \ … \ p_{nn}Q_n\)

これもスッキリさせるために行列形式で書いてやると、次のように書くことができます。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
V_1 \\
︙ \\
V_n
\end{array}
\right)\)=\(
\begin{pmatrix}
P_{11} & \dots & P_{1n} \\
\vdots & \ddots &\vdots \\
P_{n1} & \dots & P_{nn}
\end{pmatrix}
\)\(
\left(
\begin{array}{crl}
Q_1 \\
︙\\
Q_n
\end{array}
\right)\)

この行列の真ん中のところ、\(
\begin{pmatrix}
P_{11} & \dots & P_{1n} \\
\vdots & \ddots &\vdots \\
P_{n1} & \dots & P_{nn}
\end{pmatrix}
\)、このことを「電位係数」というふうに呼んでいます。

電位係数については少し説明がありまして、まず対称性が成り立ちます。\(P_{kl}\)について、例えば\(P_{12}\)と\(P_{21}\)は同じ、\(P_{24}\)と\(P_{42}\)も同じ、となります。

\(\color{red}{p_{12} \ = \ p_{21}}\)
\(\color{red}{p_{24} \ = \ p_{42}}\)

つまり行列の対角線として、対角線にある成分は全部同じですよ、ということです。

それから、電位係数は全て正です。そして、対角要素の電位係数は、非対角要素の電位係数より必ず大きくなるという性質があります。

\(P_{kl} \ = \ P_{lk}\)(対称性)、\(P_{kl} \ > 0\ 、P_{kk} \  > \ P_{kl}(k \ ≠ \ l)\)

例題

では、連携する例題を少しやってみます。

第1導体を\(Q\)に帯電し、帯電していない導体2を接触した時、導体2が得る電荷\(Q_2\)を電位係数で表せ。

この計でそれぞれ\(V_1、V_2、…\)と、\(Q_1、Q_2、…\)ですが、\(Q_1\)の方は\(Q\)、\(Q_2\)の方は電荷が与えられてないので0です。

2つだけしかありませんので、電気係数で表すと、このように表すことができます。

\(V_1 \ = \ p_{11}Q_1 \ + \ p_{12}Q_2\)
\(V_2 \ = \ p_{21}Q_1 \ + \ p_{22}Q_2\)

これを今度は、1と2を接触させるわけですから、導体なので接触させると、両方の電位は等しくなります。

接触する ⇒\( \ V_1 \ = \ V_2\)

そして\(Q_1\)は\(Q\)、\(Q_2\)は0です。そうすると、電荷保存則があるので、最初\(Q\)があったとき、もう一方は0でしたから、この時は\(Q1\)、\(Q2\)の電荷でした。

ということは、2つの電荷の総量はそれぞれ保存されなければいけない=つまり電荷はどこにも行けないので、最初にやった電荷量と接触させた後の電荷量の相場は等しい、という電荷保存が成り立ちます。

接触する⇒ \( \ V_1 \ = V_2\)

接触前後での電荷保存⇒\( \ Q \ = \ Q_1 \ + \ Q_2\)

そして\(Q_1\)にこれを\(Q_1 \ = \ Q-Q_2\)と変形して、\(V_1 \ = \ p_{11}Q_1 \ + \ p_{12}Q_2\)の式に代入すればいいわけです。

それで、なおかつ\(V_1\)と\(V_2\)が等しいので「=」と言ってしまいます。

\(p_{11}(Q \ – \ Q_2) \ +p_{12}Q_2 \ = \ p_{21}(Q \ – \ Q_2) + p_{22}Q_2\)

あとはこれを\(Q_2\)に対して解くだけでして、\(Q_2\)は電気係数のみで表すことができる、ということになります。

\(p_{12} \ = \ p{21}\)に注意して\(Q_1\)について解くと

\(Q_2 \ = \ \frac{p_{11}-p_{12}}{p_{11}+p_{22}-p_{12}}\)

容量係数・誘導係数

先ほどは電位係数というものを学習しましたが、それに対して容量係数・誘導係数というものがあります。これは、先ほど電位係数というのは\(V\)を\(Q\)で表した時の\(Q\)のそれぞれの係数のこと、これを電位係数と言っていたわけです。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
V_1 \\
︙ \\
V_n
\end{array}
\right)\)=\(
\begin{pmatrix}
P_{11} & \dots & P_{1n} \\
\vdots & \ddots &\vdots \\
P_{n1} & \dots & P_{nn}
\end{pmatrix}
\)=\(
\left(
\begin{array}{crl}
Q_1 \\
︙\\
Q_n
\end{array}
\right)\)

これは行列形式ですので、ということは逆に\(Q\)を\(V\)で表すこともできるはずで、その時の係数をそれぞれ\(qkl\)というふうに置いておきます。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
Q_1 \\
︙ \\
Q_n
\end{array}
\right)\)=\(
\begin{pmatrix}
q_{11} & \dots & q_{1n} \\
\vdots & \ddots &\vdots \\
q_{n1} & \dots & q_{nn}
\end{pmatrix}
\)=\(
\left(
\begin{array}{crl}
V_1 \\
︙\\
V_n
\end{array}
\right)\)

そうするとこれは入れ替わっているだけですので、この電位係数とこの行列は逆行列の関係にあります。

そして右辺左側の行列の、\(q\)を\(V\)で表した時の係数を、この場合は電気係数と違って、ちょっと分けて呼びまして、対角線にある要素(係数)のことを「容量係数」といいます。\(q_{11}\)と、その対角にある\(q_{nn}\)がそれにあたります。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
Q_1 \\
︙ \\
Q_n
\end{array}
\right)\)=\(
\begin{pmatrix}
\color{red}{q_{11}} & \dots & \color{blue}{q_{1n}} \\
\vdots & \ddots &\vdots \\
\color{blue}{q_{n1}} & \dots & \color{red}{q_{nn}}
\end{pmatrix}
\)=\(
\left(
\begin{array}{crl}
V_1 \\
︙\\
V_n
\end{array}
\right)\)

赤字:容量係数
青字:誘導係数

それから、他の非対角要素(\(q_{n1}、q_{nn}\))ですが、対角線以外の要素=非対角要素に対しては「誘導係数」というように、2つに分けた呼び方をしています。

\(
\begin{pmatrix}
q_{11} & \dots & q_{1n} \\
\vdots & \ddots &\vdots \\
q_{n1} & \dots & q_{nn}
\end{pmatrix}
\)=\(
\begin{pmatrix}
p_{11} & \dots & p_{1n} \\
\vdots & \ddots &\vdots \\
p_{n1} & \dots & p_{nn}
\end{pmatrix}^{-1}
\)

\(q_{kl} \ = \ (対称性)、q_{kk} \ > \ 0、q_{kl} \ < \ 0 \ (k \ ≠ \ l)、\displaystyle \sum_{k=1}^{n}qkl \ > 0\)

この場合も対称性は成り立つのですが、対角要素は正、\(qkl\)は負ということになります。

ただし、例えば\(q_{11}\)から\(q_{1n}\)まで全部足したもの、それは正になります。こういう性質を持ってます。

静電遮蔽

それから、一般的な例として、静電遮蔽というのを考えます。

🔵静電遮蔽(electrostatic shielding)

「shield」というような言葉を使うわけです。いわゆる単純に言うと、ビルの中にいると電波が届かない現象がそれにあたります。ビルはコンクリートでできていますが、鉄筋コンクリートなので鉄で囲まれています。それによって外の電波が届きにくくなる、ということです。

なので、導体を他の導体で囲んでしまって、この導体に一定電位を与えます。こうすると中にある導体と外にある導体は、電気的に言うと「静電的には無関係になる」というのが、静電遮蔽です。

導体を他の導体で包囲して一定電位を与えると、内部の導体と外部の導体は静電的に無関係

 

これが何故かということを、少し説明していきます。

まず1の導体だけに\(Q_1\)を与えて\(1V\)だったとします。そして\(2\)、\(3\)から\(N\)までは全部外側にあるわけですが、これは全部\(0V\)であるとします。

そうすると、まずこれに一定電荷を与えて、容量係数、誘導係数を用いて表してやると、次のようになります。

\(Q_1 \ = \ q_{11}・1 \ + \ q_{12}・0+ \ … \ + \ q_{1n}・0\)
\(Q_2 \ = \ -Q_1 \ = \ q_{21}・1+q_{22}・0+ \ … \ + \ q_{1n}・0\)
\(Q_3 \ = \ 0 \ = \ q_{31}・1 \ + \ q_{32}・0 \ + \ … \ + \ q_{3n}・0\)

\(Q_n  = \ 0 \ = \ q_{n1}・1 \ + \ q_{n2}・0 \ + \ …\ + \ q_{nn}・0\)

ただし、\(Q_2\)の電荷は\(- \ Q_1\)になります。というのは、先ほどもやりましたように、ここに\(Q_1\)の電荷が入った時にここから電気力線が出るわけですが、この電気力線は全部導体に入るしかない。ということは、\(Q_1\)から出た電気力線は全部\(Q_2\)に入るので、ガウスの定理から\(Q_2 \ = \ – \ Q_1\)ということになります。なので、\(Q_2\)は\(- \ Q_1\)となり、このように式で表すことができます。

\(∴q_{11} \ = \ -q_{21}・q_{31} \ = \ q_{41} \ = \ … \ = \ q_{n1} \ = \ 0\)

これはまたあちこちに0があるので、式の\(q_{11} \ = \ – \ q_{21}\)だけがこういう係数で、他のところの係数は全部0になる、ということになります。

これを容量係数、誘導係数の式に当てはめていくと、それぞれ次のように表せて、整理してやるとこのような形になります。

\(Q_1 \ = \ q_{11}V_1 \ – \ q_{11}V_2\) ←\(\color{red}{V_3, \ …, \ V_n}\)とは無関係
\(Q_2 \ = \ -q_{11}V_1 \ + \ q_{22}V_2 \ + \ q_{23}V_3 \ + \ … \ + \ q_{2n}V_n\)
\(Q_3 \ = \ q_{32}V_2 \ + \ q_{33}V_3 \ + \ … \ +q_{3n}V_n\)

\(Q_n \ = \ q_{n2}V_2 \ + \ q_{n3}V_3 \ + \ … \ + \ q_{nn}V_n\)


\(\color{red}{V_1}\)とは無関係

見てわかるように、ここの\(Q_1\)というのは、\(V_1\)というそれ自身の電場があるんですが、外側にある\(V_3、V_n\)という項目が入っていません。

つまり、\(V_3、V_n\)には無関係ということです。逆にこの外側にある\(Q_3\)から\(Q_n\)までは\(V_1\)が入っておらず、いわゆる中側にあります。要するに、「外側にある物体は、中側とは無関係ですよ」ということを言っているわけです。

これが静電遮蔽(shielding)の原理です。

これを等電位にすると…という話をしましたが、等電位するには、接地すると電位0になる、つまり接地するのが一番簡単なわけです。

等電位
接地\((V \ = \ 0)\)

なので、一番最初にビルの例で紹介しましたが、ビルは地面に立っていますから、ビルの鉄筋は地面に接地されているわけです。そうすると、鉄筋に囲まれているので、ビルの中にある鉄筋が図中の2ということになります。

1というのが、例えばここで携帯電話を持っていた時に、外のアンテナです。アンテナからいくら電位を変えて電場をフォローしても中に入ってこられません。だからビルの中では電波が届きにくい、ということになります。これが静電遮蔽です。

静電容量

では次に、静電容量というものを定義していきます。

静電容量ですが、2つの意味で使われます。

1つは、1つの導体の静電気容量という場合があります。これは、ある導体に電荷\(Q\)を与えた時に、その時の電位が\(V\)だったとします。その時に静電容量\(C\)は\(\frac{Q}{V}\)で表します。これが孤立導体の場合の静電容量の定義です。なので電位係数で表すと、先ほどに言ったように\(C_k \ = \ q_{kk}\)ということになります。

(ⅰ)1つの導体の静電容量

1つの導体の電位を\(V\)、電荷を\(\color{red}{Q}\)とし、他の導体の電位を0に保つ(導体が孤立)

\(C \ = \ \frac{Q}{V}\)
\(C_k \ = \ q_{kk}\)

 

2つ目に使われるのは、いわゆるコンデンサーと言われるものと同じなのですが、2つの導体の間の静電容量というのが、2つ目の考えです。

導体\(k、l\)という2つの導体があった場合には、片方に\(+ \ Q\)の電荷を与えて、もう一方に\(- \ Q\)の電荷を与え、それぞれ電位が\(V_k、V_l\)だったとすると、この時の静電容量は、\(Q\)を2つの間の電位差で割ったものを、静電容量として定義して使います。

(ⅱ)2つの導体間の静電容量

第1導体に\(\color{red}{Q}\)、第2導体に\(\color{red}{-Q}\)の電荷を与え、他のすべての導体の電荷を0に保ち、第1、第2導体の電位が\(V_k\)、\(V_1\)のとき

\(C \ = \ \frac{Q}{V_k \ – \ V_1}\)

電位差(\(\color{red}{V_k \ – \ V_l}\)

\(C_{kl} \ = \ \frac{1}{p_{kk}-2p_{kl} \ + \ p_{ll}}\)

この時、これを今度は電位係数を用いて表すと、このような形になります。(これについては、後で2つくらいの形で例題をやってみます。)

このように、静電容量というのは2つの意味で使われています。

単位ですが、静電容量の単位はここで使ったように、大文字の「F」と書いて、これは「farand(ファランド)」と読みます。だいたい小さい量である場合が多いので、「マイクロファランド」とか「ナノファランド」とか、そのあたりの非常に小さい単位が使われることが多いです。

🔵単位:farad [F]

例題

では、例題をやってみたいと思います。

第1、第2導体を\(+Q\)、\(-Q\)に帯電したとき、両者間の静電容量を

(1)電位係数で表せ。
(2)容量・誘導係数で表せ。

左の電荷が\(+ \ Q\)で、こっちの電荷が\(- \ Q\)なので、\(V_1、V_2\)を電位係数の定義で表すと、これは2つなので簡単に書けますが、\(Q_2\)のところに\(- \ Q\)が入ればいいのでこのような形で書くことができます。

\(V_1 \ = \ p_{11}Q \ – \ p_{12}Q\)
\(V_2 \ = \ p_{12}Q \ – \ p_{22}Q\)

そうすると、\(V_1 \ – \ V_2\)は次のように計算できます。

\(V_1 \ – \ V_2 \ = \ (p_{11}+p_{22}-2p_{12})Q\)

両者間の静電容量というのは、\(\ +Q \ 、- \ Q\) を与えた時に、この「電荷\(Q\)を両者の電位差で割ったものが容量」として定義しましたので、これから\(\frac{Q}{V_1 \ – \ V_2}\)を計算するとこのように計算でき、電位係数を表すことができます。

\(C \ = \ \frac{Q}{V_1 \ – \ V_2} \ = \ \frac{1}{p_{11} \ + \ p_{22} \ -2p_{12}}\)

じゃあ容量係数、誘導係数で表すとどうなるか、ということを考えます。

今度は容量・誘導係数なので、電荷を表してやると、それぞれ次のように表すことができます。

\(Q \ = \ q_{11}V_1 \ + \ q_{12}V_2\)
\(- \ Q \ = \ q_{12}V_1 \ + \ q_{22}V_2\)

これは連立方程式になっていますので、これを\(V_1、V_2\)の連立方程式と見なして\(V_1、V_2\)に対してそれぞれ解いてやると、次のような式になります。

\(V_1 \ = \ \frac{q_{12} \ + \ q_{22}}{q_{11}q_{22} \ – \ q_{12} ²}Q\)  \(V_2 \ = \ -\frac{q_{11} \ + \ q_{12}}{q_{11}q_{22} \ – \ q_{12} ²}Q\)

これで\(V_1 \ – \ V_2\)を求めてやると、次のように計算できます。

\(V_1 \ – \ V_2 \ = \ \frac{q_{11} \ + \ q_{22} \ + \ 2q_{12}}{q_{11}q_{22} \ – \ {q_{12}}^2}Q\)

2つの導体間の静電容量の定義に従って、このように決めてやると、静電容量は誘導係数・容量係数で表すとこのようになります。

\(C \ = \ \frac{Q}{V_1 \ – \ V_2} \ = \ \frac{q_{11}q_{22}-q_{12}²}{q_{11} \ + \ q_{22} \ + \ 2q_{12}}\)

等価静電容量

それから、誘導・容量係数を、等価静電容量で表示するということが実情多いわけですが、これはどういうことかという話をします。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
Q_1 \\
︙ \\
Q_n
\end{array}
\right)\)=\(
\begin{pmatrix}
q_{11} & \dots & q_{1n} \\
\vdots & \ddots & \vdots \\
q_{n1} & \dots & q_{nn}
\end{pmatrix}
\)=\(
\left(
\begin{array}{crl}
V_1 \\
︙\\
V_n
\end{array}
\right)\)

ここに書いたのは誘導係数・容量係数で表した式です。

\(C_k \ = \ q_{k1} \ +  q_{k2} \ + \ … \ + q_{kn}\)
\(C_{kl}(k \ ≠ \ l) \ = \ C_{kl} \ = \ -q_{kl}\)

\(C_k\)を\(q_{k1}\)から\(q_{kn}\)まで足したもので、\(C_{kl}\)、\(k\)と\(l\)が違うときは、これは対象なので、\(C_{kl}\)は\(- q_{kl}\)というふうに定義しておくと、この式というのは、実は次のように変形することができます。

\(\left.
\begin{array}{l}
Q_1 = C_1 V_1 + C_{12}(V_1 – V_2) + \dots + C_{1n}(V_1 – V_n) \\
Q_2 = C_{21}(V_2 – V_1) + C_2 V_2 + \dots + C_{2n}(V_2 – V_n) \\
\quad \dots \\
Q_n = C_{n1}(V_n – V_1) + C_{n2}(V_n – V_2) + \dots + C_n V_n
\end{array}
\right\}\)

一番上の式を見てみると、単純に\(1\)と\(2\)の電位差(\(V_1 \ – \ V_2\))、\(1\)と\(n\)の電位差(\(V_1 \ – \ V_n\))という形で表すことができるわけです。

このような形式で表したものを等価静電容量表示と言います。これはイメージ的には次の図のような形です。

例えば、これは3つの例で書いてますが、3つの導体があった場合に、この\(C_1\)というのは、こいつが図の①が孤立してあった時の容量、つまりこれは大地との間の静電容量です。

\(C_{12}\)というのは①と②の間の静電容量、\(C_{13}\)は①と③との間の静電容量です。

イメージ的にはこのような容量でして、例えば送電線間の静電容量を求める時に非常にイメージしやすい量なんですが、誘導係数・容量係数で表せるのも、このコンデンサー(静電容量)として表した方が、ある意味工学的と言うか、実用的な表示ではあります。

例題

最後に、等価静電容量の例題をやっておきます。

地上近くに2個の導体1、2があるとき、この導体系の容量・誘導係数を等価静電容量で表せ。

つまり\(C_1、C_2、C_{12}\)で表しなさいということなのですが、まず等価静電容量というのはこのように表しました。

\(Q_1 \ = \ C_1V_1 \ + \ C_{12}(V_1 \ – \ V_2)\)
\(Q_2 \ = \ C_{12}(V_2 \ – V_1) \ + \ C_2V_2\)

1番目について考えると、\(Q_1\)はそれ自身の孤立した時の静電容量と他の導体、この場合は2しかありませんので、その導体間の静電容量です。

2つ目についても同様で、1と2の導体間の静電容量と、これ自身の容量ということになります。

これを単純に計算して、\(V_1、V_2\)の式に直してあげると、このような形になります。

\(Q_1 \ = \ (C_1 \ + \ C_{12})V_1 \ – \ C_{12}V_2\)
\(Q_2 \ = \ -C_{12}V_1 \ + \ (C_{12} \ + \ C_2)V_ 2\)

これは単純に式を整理しているだけです。そして、これと容量係数・誘導係数で表した式を比較します。

この式と比較する↓
\(Q_1 \ = \ q_{11}V_1 \ + \ q_{12}V_2\)
\(Q_2 \ = \ q_{21}V_1 \ + \ q_{22}V_2\)

そうすると、それぞれ\(Q_{11}\)、\(Q_{22}\)は次のように表せる、ということになります。

\(q_{11} \ = \ C_1 \ + \ C_{12}\)
\(q_{12} \ = \ q_{21} \ = \ -C_{12}\)
\(q_{22} \ = \ C_2 \ + \ C_{12}\)

このように、実際計算してみると、対角要素というのはちゃんと等しくなるということも出てきます。

この場合のイメージとしては、\(C_1\)というのは、1の導体と大地の間の容量、孤立容量と同じです。\(C_2\)というのは、導体2と大地の間の孤立容量、\(C_{12}\)というのは導体1と導体2、2つの導体の静電容量、という形になります。

おわりに

以上、今回は一般的な導体系の電位、電荷という学習をしました。なので、この場合は\(\frac{1}{4πε_0}\)などが出てこない、\(Q\)と\(V\)だけで空間の電位分布を考えていこう、という話でした。

以上です。

 

↓動画版はこちら!
江口和弘講師:「【大学物理】電磁気学 第7回 – 真空中の導体系」(所要時間 28:36 )


人気記事