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こんにちは、究進塾 編集部です。

総合型選抜の解説の続きです。一口に総合型選抜といっても、各大学によって課題は様々。対策の仕方も、まずは「自分が志望する大学からは何を求められるのか」を知る必要があります。

また、小論文対策をする上でのコツや、ポイント、注意点についてもお聞きしました。

松本先生

ICU(国際基督教大学)卒業。生徒の性格に合わせた指導が特徴です。大学受験英語、四技能指導が得意。英語資格試験の指導でも活躍中。難関国公立から総合型入試まで幅広い生徒を担当。学習計画表作成と進捗管理ができる講師。
尾川先生

1994年から2001年まで株式会社熊本放送に総合職として勤務し、アナウンサー、ディレクター、広報、編成を経験。2003年から医学部受験、公務員試験、就職試験対策の小論文、面接の講師として活躍中。

 

松本:総合型に必要な評定平均は、ある程度大学によって設定されてると思いますが、どの大学がどれぐらいの設定をしてるというのはあるんでしょうか?

 

尾川:それぞれの出願要件は、7月の終わり~8月の頭にかけて発表されます。そこで確認していただきたいんですけれが、すごく高くて「4.3」というところですよね。これが一番高いのかなと思います。

学校の成績を5段階評価にして、「A」~「E」までに分けてるという基準があるんです。で、その4.3以上を「A」っていうんですが、この「A」を求める大学というのもあります。

それから多いのが4.1ぐらい、低くて3.5というところもありますし、3.0というところもあります。他に「普通だったら4.0でいいんだけど、英語だけは4.3は欲しい」というように、科目ごとに指定をしてくる大学というのもあります。

 

松本:4.3は比較的高いと思いますが、4.3を要求される大学は具体的にどこですか。

 

尾川:東北大学とかですよね。

 

松本:国公立になると4.3ということですね。

 

尾川:それぐらいが必要なんですよね。

 

松本:私のイメージだと、日東駒専あたりのレベル帯の大学だと、3.6くらいだと思うんですが。

 

尾川:そうだと思います。東北大学のAOⅡ期が4.3ですけど、これは受かれば共通テストが不要なんですよね。そういうこともあって、学力はそこで見ておくということじゃないかなと思います。

そして総合型ですが、普通に筆記試験もありますので、さらにそこで学力も見てるのかなと思います。

 

松本:指定されている数値をクリアしないと受験することが出来ないので、まず「自分の行きたい大学が求める評定がいくつなのか」っていうことを調べることから始めないといけないですよね。

 

尾川:1年生のうちに一応調べておいて「自分がそこにどのぐらい足りないのか」というところで、その後、中間・期末と受けていただきたいなと思います。

3年生になったらもう評定は動きませんので、3年生の夏休み前、つまり3年生の1学期までが評定です。それがもう終わった後にこの塾にいらっしゃるという場合は、もうそこから評定は動かないので、自分の持ってる評定の中で受けられる大学を探す、というのが現実的にはなります。

 

松本:おそらく「評定は必要ないんじゃないか」と勘違いしてる人もいると思うので、実は要りますというところと。

 

尾川:要らないっていうところも、もちろんありますよ。ですので、いらないっていうところから探していくのも一つの手だと思います。それもまたご相談いただければと思います。

 

松本:一番いいのは、やはり事前に早い段階に、1年生のうちに一旦調べてから、自分の目標とする大学の評定平均、いわゆる“足切りライン”を知ってから、そこに向けて2年間成績を上げていくっていうことがおそらく必要になってくるかなと思うので。

 

尾川:大学の評定もまた前後しますので、必ずしも前の年と同じ評定っていうことにもならないかと思います。ですので細かくチェックしていきましょう。

 

 

試験のフロー

松本:一次試験と二次試験の大まかな流れ、フローを教えてください。

 

尾川:総合型選抜の場合、一次選抜と二次選抜に分けている大学の場合は、以下の通りです。

一次選抜 学校の調査書、志望理由書、自己推薦書、小論文の事前課題
二次試験 面接だけ/面接と小論文、口頭試問など

一次試験で書類を提出し、それで次に進めるかどうかが決まります。それに合格した人が2次試験となりますが、二次試験は面接だけという大学もありますし、面接と小論文に加えて、口頭試問をする大学もあります。

 

松本:まず一次試験に関しては志望理由書とかを書かなきゃいけないと思うんですが、このまず一次を突破する上での重要なポイントや、準備にかかる具体的な期間を教えてください。

 

尾川:これはそれぞれの大学で出してくる課題が全く違います。

志望理由書も、短い大学では220字ぐらいでいいところもあるんです。その場合、1週間ぐらいで書けちゃうんですが、これが2000字とかある大学もあるわけですね。2000字の場合だと1ヶ月ぐらいはかかりますし、こちらとしても「ここからここまでは書いてきて」というように、かなり細かく宿題も出していくので、それなりの時間も必要かなと思います。

そして事前課題については最近増えてきました。事前に大学からお題が出るんです。そのお題に対して小論文を書いていくのですが、入試会場で書く小論文とは違い、一発勝負感はないですので、一つのレポートとか論文を仕上げていくような感じで仕上げていかないといけないわけです。これにかなりの時間はかかってるかなと思います。800字ぐらいの事前課題でも、1ヶ月ぐらいはかけて準備してます。

 

松本:志望理由書は、大学によって字数の指定がかなり違うということなので、もし万が一自分の行きたい大学が2000字とかを求めてきた場合は、ちょっと早く準備しないと間に合わないということも起こりうるっていうことですね。

 

尾川:なかなかそこまでにたどり着くのが遅かった人、例えば部活動の引退時期が遅かったたりとかして、もうギリギリになってしまったという人は、2~3日おきぐらいに塾に来てますよね。

 

松本:そうですね、必死でやってますね。

 

尾川:必死でやってますね。とにかく総合型受験する場合は、もう8月の夏休みはないものだと思ってください。そこが一番の受験勉強の準備期間なんだということは、知っておいていただけたらなと思います。

 

松本:「事前課題」というのを初めて聞いたという人もいるんじゃないかなと思います。一次試験に、事前に大学側からお題が与えられて、それで小論文を書くんですね。

 

尾川:そうなんです。

 

松本:それを大学に行って書くのではなく、事前にご自宅等で書いてそれを送るという。

 

尾川:志望理由書と一緒に送ります。

 

松本:具体的には、例えばどういうお題が過去に出題されていますか。

 

尾川:これは本当大学によって様々ですが、津田塾大学とかだと、このお題が英文で出されたりして、課題文の英文を読むところから始まるという大学もあります。そしてその英文を何とか読んで、そして日本語で小論文を書いていくというところもあります。

小論文は200字、300字、600字ぐらい、という感じで細かく出題されていました。200字ぐらいだと現代文の感じで回答できますけれども、600字というと本当に小論文ですし。

 

松本:英語で出題されるというのは、大変ですね。指導する方も大変だと思います。

 

尾川:もうこちらも必死で読んでおりますけれども、時間はかかりますね。英語の先生を助けていただいたり、Googleレンズを使ったりしながら。私が誤読するととんでもないことになるので、ミスリーディングしないようにしっかり頑張って読んでます。

 

松本:小論文が一次試験で課されるぞ、ということはざっくりでも必ずイメージしておくことが大事ですかね。

 

尾川:事前課題で出すっていう大学と、そして入試会場で書く小論文、これ全く違うものだと思うんですね。入試会場で書く小論文というのは本当に入試会場で受ける英語とか数学の試験と同じもので、勢いですとかそういった瞬発力とかそういったものも大事ですけれども、事前課題はもう本当にお家でで仕上げていくものなので、誤字脱字ですとかそういった細かいミスをしないようにということで、全く違う対策をしています。

 

松本:事前準備すれば誰でもある意味書けると言えば書けるので時間をかければ書けますからね。

 

尾川:時間をかければいいものが書けますし、その間いろいろな本とかも調べて書けるわけですよね。何も見ずに書くというのが入試会場で書く小論文ですけど、いろいろなものを調べながら書くというのが事前課題ですので、その準備の仕方も全く違うものではありますよね。

いろいろな本を読んでいただいたり、いろんなものに出会うことで、それが志望理由に繋がっていったり、面接でのいいお話に繋がっていったりもするので。

事前課題は、大学生がするレポートそのそのものだと思うんですよ。ですので、早めに大学生っぽい経験ができるというのはいいことかなと思います。

そして、日本女子大学みたいに、事前課題と入試会場、両方で小論文を書かせてくるというところもあります。それぞれどういうことをやらなきゃいけないのかっていうのは、自分の行きたい大学の入学要項などを見てもらえればと思います。

 

指導にかかる期間

松本:実際に小論文の対策をするときに、尾川先生の指導スタイルがあると思うんですけど、どういうケースがあるのかを具体的にお聞かせください。

・どういうポイント、形式で指導されているのか
・準備、指導に係る期間
・1ヶ月、3ヶ月、あるいは半年以上かかるのか

 

尾川:入塾される時期にもよりますよね。

(例)6ヶ月ぐらいある場合
少しゆっくりめに準備はできるので、まずは簡単なお題を出します。「最近気になっているニュース」「私の好きなこと」など、そういうテーマだけをポンと与えて、そして段落分けをして書いていくということをします。小論文ってこの段落わけ、つまり構成、この型っていうものがすごく大事だなと思うんです。その型っていうものを、まずはできるようにしていただくということをやってます。

そしてだんだん「課題文型小論文」と言って、課題文を読んで筆者の意見を要約し、それに対して自分の意見を述べていく。さらにそれに根拠をつけていく…というように、練習を段階にわけてやっています。

それから志望校も、小論文を見て「このレベルまではかけないといけないんだな」ということを、私も早めに把握するようにはしています。早めに過去問などにも取り組んで「この過去問だとこのぐらいしか書けないんだったら、こういうこともやっていこうか」みたいな感じで把握します。

小論文に関しては本当に、受講生によって習熟度がまちまちですし、通ってる高校によってもどれだけの準備をしてるのか、小論文に熱心な高校とそうでない高校と差があります。

そういった「これまでどんなふうに文章というものをやってきたのか」ということも見つつ、「その子に合ったレベル」から「その子が求められるレベル」まで到達できるような指導っていうのをしてます。

 

松本:まず過去問からいきなりやるより、ファーストステップとして200字などのショートパッケージを作り、その後、今度は課題文があるものに取り組み、それができるようになれば次はいざ過去問、という流れですね。

 

尾川:ただ、時間がなかったらもういきなりの過去問ですね。(笑)

 

松本:そうですよね。時間がないとやらざるを得ないですよね。

 

尾川:いきなりの過去問で「この過去問に対してこのぐらいしか書けないんだな」「このぐらいはいけてるんだな」みたいな感じで、生徒さんの実力みたいなものを、そこで測らせてもらってます。

でも、小論文で大事なのは、「内容」「構成」「表現表記」だと私は思っています。その生徒さんが内容面が弱いのか、構成するのが苦手なのか、表現表記にミスが多いのかやど、それぞれの良くないところを早めに把握するようにはしています。

 

過去に出題されたテーマ

松本:過去に出たテーマを2〜3つ挙げると、どういうものがありますか。

 

尾川:最近よく見かけるのは、SDGs、AIとかですよね。「AIが人間の仕事を奪うのか」みたいなテーマが少し前から流行っていました。それからコロナ禍だったこともあって、コロナ禍での働き方なども出題がありました。

このように、小論文の課題というのは割と時代に添ってるかなと思います。時代の鏡といいますか、そんな気はしますね。

英作文にも時代の流れが反映することが多いですが、多分それより早く小論文の方が反映してるような気がしますよね。

 

松本:私も英作文、自由英作文指導などをよくしますが、最近の受験なるとやはりAIとか、それこそSDGsとか、本当によく出ます。

なのでそういった情報を敏感に察知している人の方がより強いですし、逆に言うと「出やすいテーマ」も、その時流に応じて決まってたりもします。

その対策をしてしまえば、本番当日、受験会場に行ったときも同じものが出る可能性も、当然あるということですよね。

 

尾川:そうですね。

 

松本:なので似たようなテーマで出やすいという点でも、しっかりと対策するということが大切かなと思います。

 

尾川:目標は10テーマかなと思うんですが、なかなか10テーマまではクリアしないと思います。

 

時間がかかったケース

松本:小論文対策で、尾川先生の方で割と苦労した生徒、なかなか伸ばすのに大変だった生徒さんなど、具体的なエピソードがあればお願いいたします。

 

尾川:まず大変なのは漢字が苦手な方です。小論文というのは「内容」「構成」「表現表記」で、表現表記にミスが多いというのはやはり得点が伸びないと思うんです。「漢字が苦手」というのは、そこで時間を使ってしまうというのが非常にもったいないと、私は思うんです。

小論文で時間と頭を使って欲しいのは、「内容」と「構成」なんですよね。どれだけ具体的な内容で書けるかっていうこと、それからどれだけ論理的な構成で書けるのかっていうこと。そこに頭と時間を使ってほしいんですけども、漢字が思い出せないと、そこで思考がストップしてしまうんです。

これは非常にもったいないので、漢字はできるだけ早めに何とか学習をしてからいらして欲しいとは思います。

 

松本:なるほど。みなさん、まず漢字は必ずやりましょう。

 

面接対策について

 

松本:面接対策については、「どういう形式で、どれぐらいの期間をかけて面接対策をすると、大体総合型で合格ラインに達する」っていうイメージは、尾川先生の中ではどの辺りにありますかね。

 

尾川:面接に関しては、そんなに長く来ても疲れてしまうので、1ヶ月ぐらいでいいのかなと思います。

小論文は長く頑張っていただきたいんですけども、面接に関しては1ヶ月ぐらいの対策で十分かなと思います。面接は、長いと30分ぐらいあったりもしますけれが、5分の大学もあります。

🔵志望動機
🔵大学でチャレンジしたいこと
🔵将来の夢

このように、割と頻出質問というのがあります。これを中心に受け答えの練習をしていくってことですね。

ある程度志望理由書ができていれば志望動機も話せるわけですから、そこはそんなに心配していないところではあります。それよりも、志望動機を作っていく作業がある、志望理由書の方が大変かなというところですね。

ただ「人前で話すと緊張する」っていう生徒さんはいるわけなんですよね。

🔵ちょっと他の人よりは緊張しやすい
🔵目線が泳いでしまう
🔵声が震えてしまう

そういう緊張感から、なかなか本来の人柄が出にくい生徒さんに関しては、少し時間をとって、2ヶ月とか対策をするようにしてます。

 

松本:小論文は、数ヶ月~半年ぐらいあると、かなり指導がスムーズというところもあります。面接は1ヶ月でできる人はいけれども。

 

尾川:そうですね。志望動機とか、志望理由書ができてる段階で、ですね。

 

松本:まず志望理由書と、書くものが仕上がってないと「喋ることがない」っていうことですね。

 

尾川:そうなんです。早く来ていただいても志望理由なかったら、喋れないですから。

それでも「緊張しやすいから練習したい」っていうことであれば志望理由書の前に、志望理由がない話題、例えば、

🔵高校時代頑張ったこと
🔵自己PR
🔵高校時代の話

そういった話題から作っていって、そこだけでも練習しておくというのもおすすめです。

 

 

<次の記事へ続きます>

 


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