究進塾

インタビュー

INTERVIEW

チャンフ様合格インタビュー➀

【インタビューにご協力いただいた方々】
チャンフ様:2025年度入試にて、明治大学大学院理工学研究科 電気工学専攻に合格。
永島先生:チャンフ様の担当講師。
並木塾長:究進塾の塾長。
*以下、敬称略。

 

永島先生の体験授業

並木:最初に究進塾を選んだきっかけを教えてください。

チャンフ:日本語学校から近くて評判も良かったので、究進塾を選びました。

並木:永島先生の体験授業で受けた科目は何でしたっけ?

チャンフ:最初に受けた科目は流体力学ですね。

並木:流体力学を受けたときの感想はどうでしたか。

チャンフ:ニュートンの第二法則と比較して丁寧に教えてくれたのが印象に残っています。

永島:流体力学的には理論的な式、難しい式があるんですけど、それを具体的な問題と比較して解きやすいように多分ほぐしたんじゃないかなと思いますね。

並木:最初は過去問を解きましたか?

チャンフ:最初は…ちょっと僕も忘れちゃって。

永島:多分過去問です。覚えてるのは初等力学だと、「運動方程式」っていうのがあって。海外だとニュートン方程式って言ったりするんですけど。流体力学だと、「ナビエ・ストークスの式」っていう有名な中心になる式があって、ただそれはすごく難しいんですよね、使い方が。

永島:流体力学で受験したい方は「ナビエ・ストークスの式がどうやって扱ったらいいかわかんない」というところから始まることが多いんですね。そこで、具体的な問題が出て来たときに、簡単にほぐした形にして解くっていうのがよくあるんですけど、そのやり方をチャンフさんにも多分教えたとかまとめたんじゃないかなと思います。

チャンフ:その説明が頭に入ってきて、すごく印象に残りました。

並木:実際、永島先生の授業を受けていく中で、手応えというか、身に付いてきた実感はありましたか。

チャンフ:そうですね、先生はいつもセットで教えてくれます。一つのことを教えるついでに、他のも教えてくれたり、色々な方面からアプローチできるようにしてくれるんです。

永島:別解を教えることはよくありましたよね。それのことですかね?

チャンフ:そうです。

永島:大学院入試は問題が公表されますが、解答がなく皆さん自分自身で解答を完成させなければいけないところからスタートするのですが、解いた解答が正解しているかどうかチェックできていない人が多いんです。なので、必ず別解も作って同じ結果になるのかどうかなどの、別のアプローチを用いることで解答の正当性をチェックすることがとても重要で、生徒に必ず別解も解いて正当性をチェックするようによく教えています。

並木:なるほど。だから、別解を用いて問題にアプローチすることを、普段から授業でするようにしていたということですか。

永島:そうですね。最後の方は特に別解を必ず作るようにと、何回も繰り返して教えていたような気がします。

 

多角的なアプローチ

並木:チャンフさんが永島先生の授業を受けた中で、印象に残っているアドバイスや言葉はありますか?

チャンフ:そうですね。さっきと同じように一つの方法で問題を解くより、柔軟に色々な方面からアプローチする、というアドバイスは良かったです。

永島:解いて終わりにすることが結構多く見られたので。間違ったまま放置してしまうことがよく見受けられますが、チャンフさんもちょこちょこそういう面があるなと感じました。「いやもっと違う答えなんじゃないか」とか、自分で気づけるように、いろんな角度から答えを見て正しいかどうか、二つの解き方で検証する以外にも、例えば、質量を求めたいけれど、この単位で合っているか、とチェックをするだけでも、合っているかどうかの判断が付くこともあります。解答が正しいかどうか判断するにはいろんな方法、見方があるので、チェックする癖をつけるということは大事だと教えています。

並木:永島先生から見て、チャンフさんはどんなところが課題点として最初にありましたか?

永島:やりっぱなしが多いなっていう印象はありました。いろいろ技術が備わってない、整理されてない中で、答えみたいなものが出ると解けた気になっちゃうんですよね。もっと時間をかけて、他の方法で解けるか、本当にこの答えは合ってるのかとか検証してほしいと。複数の別解を作る以外に、単位を揃えるとか、あと値を動かすのもあるんですよね。純粋数学だとよくあるんですけど、無限大に飛ばしてとか、0を代入してみてというときに、なるほどなって思える答えになってるかとか。そういうチェックの仕方を、最後はうるさく言っていた記憶がありますね。

並木:明治大学大学院の入学試験の前、永島先生も手応えを感じられましたか?

永島:手応えがある面もありました。冬の試験で受かるのは若干名なことが多いんですよね。1人優秀な人がいたら、その人に合格の枠が取られるということが有り得るので、その点はハラハラしていました。

並木:チャンフさんの手応えはどうでしたか?

チャンフ:過去問を見たらできそうだと思ったんですけど、本番になったらちょっとどうかなと思いました。そこまで手応えはなかったです。

永島:過去問を自分で解くときと、試験本番で解くのとは時間の感覚も変わりますからね。試験時間内に解かなきゃっていうプレッシャーを与えられる中で解かなきゃいけない。自分1人のときは、時間をかけてじっくり解くことができるので、その感覚のままだと「これしか時間もらえないの?」となり、それで緊張しちゃったりとか。けれど、それはみんな大体一緒なので。大学院入試の短い時間の中で、得点を上げる練習をする人はあんまりいないんじゃないかなって思います。そこは気にせずに、自分の培った力をちょっとでも発揮できる場面があればいいかなと思って指導しました。

並木:確か過去問は直接もらうことはできないから、実際に行って写したんでしたっけ。

チャンフ:そうですね。

永島:私立だと結構多いんですよね。

チャンフ:書き写したのは3年分で、夏と冬の試験があるので6回分ですね。

 

細かい指示は出さない、やる気のリトマス試験紙

並木:永島先生はチャンフさんの志望校を聞いて、どんなアドバイスをされたんですか。

永島:とにかく本当に将来何したいかってもう1回考えて、1から考えてという話はしましたね。

並木:その前、国公立の大学を受けていたお話も聞きましたけど、今回の進学先と専攻は一緒だったんですか。

チャンフ:全然違うところでした。

永島:だから急遽、今まで対策していなかった科目の対策が始まって。

並木:機械を受けたけど、今回受かったところは電気工学?

永島:そうですね。機械だと一般に「四力学」と呼ばれる、熱工学(熱力学、伝熱工学)、流体力学、材料力学、機械力学の4つをやるんですよ。電気工学だと、電磁気学とか回路とかですね。半年、3ヶ月とか、そのくらい短い期間で、急いで電磁気学と電気回路を対策していくことになりました。

並木:それは結構大変だったんじゃないですか?

チャンフ:始めは大変でしたが、今まで勉強してきた数学の基礎があるから、後半になってきたら楽になりました。

永島:国公立だと数学も必要なので、数学のベクトル解析っていう分野の対策をしていると、自然と電磁気学にもつながる勉強になっているんですね。電磁気学はベクトル解析で計算するので、電磁気学をゼロから勉強しようって思う人は、ベクトル解析で引っかかっちゃうことが多いんですよ。数学的な計算ができなくて。そこの障害がなかったのが大きかったんじゃないかなと思います。

チャンフ:微分方程式も前にやっていました。

並木:何をやるかという方針や宿題は、先生が具体的に指示を出したんですか?

永島:僕はがっつり細かく決めないタイプなんですよね。結構自由にやらせるタイプで、青写真だけ描いて。

並木:そうすると、割とチャンフさん自身がやるべきことや問題を選んできたみたいな?

チャンフ:そうですね。先生からも、これをやった方がいいというのもアドバイスしてもらうこともありました。

永島:大きな流れだけ決めるんですよ。細かく決めすぎて嫌いな問題ばっかり渡されると、生徒さんのモチベーションが下がっちゃったりとかあるので。大学院受験って、結構モチベーションが大切で、それが下がっちゃうと勉強できなくなっちゃうんですよね。しかも問題のレベルも高いので、1個解くのに、1時間、2時間、3時間平気でかかることもあります。難しい問題だと、丸一日かかっても当たり前で、ああでもないこうでもないと試行錯誤する力には、本人のモチベーションが大事です。特に、大学補習や大学院入試対策などでは、細かい課題の指示などは敢えて言わないようにしています。

並木:「○○大学の問題解いてきて」ということも、特に指示は出さなかったですか。

永島:大体は決めますけどむしろ、この問題を解く上で、全然指示はもらっていない大学の問題だけど似たようなものがあるから、これを解説してくれませんか?とか。チャンフさんから事前に送っていただいたりして。

並木:なるほど。解説してほしい問題はちゃんと丸つけて送る、みたいなルールはあったんですかね?

永島:それも任せてました。「こうやって事前に教えてください」ということも、あまり言わないですね、大学生相手には。本人なりのやりたい方法があるし、「今度の授業で絶対これがやりたい」という感じで言われたら、この問題へのやる気は高いんだなとか、そういうこともわかったりするんですよ。リトマス試験紙的な感覚で、生徒の自主性に任せるところを重視しています。

並木:結構大事にしてるっていうことですね。

永島:大学受験の問題と違って、大学院受験や大学補習で扱うものって、1つ解くのに時間がかかるんですよね。それこそ大学受験だと15分で解けなかったら駄目とか短いスパンですけど、大学生以上の場合、さっきも話したように1〜3時間、しっかり時間をかけて自分で消化することが大切なんです。その中で疑問点が熟成されたものを、自分のやり方で投げかけてもらって、それについて柔軟に対応していくことを繰り返しています。

 

合格のカギに”LUCK”あり

並木:チャンフさんにお聞きしたいのですが、合格したカギは何だったと思いますか?

チャンフ:やはり永島先生の長い間の指導だと思います。それ以外は、やはり運が一番大事ですね。

並木:運、”LUCK”のことですね。

チャンフ:そうです。”LUCK”です。試験までの短い間に指導者を見つけること、研究計画書がパスすることは難しいからです。

並木:ちなみに研究計画書について、先生からは何かアドバイスしたんですか?

永島:書く順番とかですかね。細かいとこは見ないようにしてるんですけど、研究計画書は、日本語の部分、説明する順番を変えてあげたり、文章を短くさせるっていうこととか。結構みんな共通するんですよね。要は極端に言うと、箇条書きみたいな書き方にしなさいとかそういうことは話しました。

並木:チャンフさんは中国の大学に通われていたんでしたっけ?

チャンフ:そうです。

並木:そのまま大学院に進むというのは考えなかったんでしょうか。

チャンフ:考えませんでした。倍率も高いので。あと、政治などについての問題も出るけど、その分野にあまり興味が無いから、モチベーションが下がるのもあります。

並木:モチベーションですか。それをキープするために工夫してたことはありますか?

チャンフ:以前の入試では、一生懸命勉強していたんですけど、本番の前にモチベーションが下がる傾向がありました。今回はいろいろなタスクを細分化して、1日1時間や2時間で何をするかを決めてから、達成感をより得る、といったことでモチベーションをキープすることをしました。

並木:なるほど。その点からも、そのまま卒業した大学で院へ行くよりは日本に来た方がいいなと?

チャンフ:はい、そうです。

並木:実際日本に来てみて、何か大変だったことはありますか?

チャンフ:やはり文化的に違うから、自分の行動で他の人に迷惑かからないようにするにはどうしたら良いかということですね。