インタビュー
INTERVIEW
石様合格インタビュー2
研究室の調べ方
並木:大学院の研究室は、事前に訪問はされたんですか?
石:第一志望の佐藤先生の研究室に訪問しましたが、入学が決定した研究室に訪問したことはないです。
並木:それじゃあ、下調べはどうやってしたんですか?ホームページだけですか?
石:いや、先輩たちに話を聞きました。東京大学大学院の先輩に「どうやって教授とやり取りする?」とか、「大学院に入る準備として何をすればいいのか」ということなど、いろいろと教えてもらったんです。
並木:その先輩っていうのは、どこで知り合った先輩なんですか?
石:えっと…どうやって知り合ったんだっけ…(笑)。確か、知り合いの知り合い、みたいな感じです。知り合いが、私が東京大学を目指していることを知っていて「ちょうど東大の先輩と知り合ったので紹介するよ」みたいな感じです。
並木:なるほど。
今後の展望
並木:いよいよ4月から、大学院で情報の研究をしていくと思いますが、今の時点で思い描いてる展望はありますか?博士課程まで行くとか、あるいは就職するとか。
石:博士に進学する予定です。
並木:じゃあ「研究をしっかり極めたい」ということですね。情報の専門家になるというか。
石:そうですね。
なぜ日本の大学を?
並木:また話が少し変わりますが、中国も学歴社会だと聞きますよね。名だたる大学もあるじゃないですか、清華大学とか。
石:はい。
並木:その一方で、中国の大学は「入るのが日本以上に厳しい」っていうのも聞くんですけど。それは実感してました?
石:実感してます。
並木:日本の大学と比べてどうですか。入りやすさとか色々と比較すると。
石:中国では「普通高等学校招生全国統一考試」といって、集中入試みたいなのがあります。その入試は地域によって難易度が全然違うんです。基本的には、北京と上海が一番いい大学に入りやすいです。
並木:そうなんですか。
石:低い点数でも、良い大学に入りやすいです。
並木:そこに住んでる人は、ですか?
石:住んでる人というよりは、そこに戸籍を持っている人が。
並木:じゃあ地方に行くと、逆に難易度は上がるんですか?
石:そう、難易度が結構高くて競争も厳しくて、いくら高い点数を取れても、北京大学に入るのは多分難しいと思います。
並木:物理的に距離も遠いから、やっぱり近くに住んでる人が優遇されるというか。
石:そうですね。
<補足>「普通高等学校招生全国統一考試」(通称「高考(gāo kǎo)」) 日本で言う「大学入学共通テスト」に当たる試験。毎年6月7日~8日(9日までの地方も)に各地で実施。2023年には、過去最高の1291万人が受験。<特徴> 〇大学毎、学部毎ごとの個別試験(二次試験)は原則として実施されない。高考の結果を見てインターネットで志望大学や志望学部を申請。 〇各省ごとに大学の合格枠数に差がある。例えば北京の名門校へは、北京市戸籍なら数百名、地方戸籍なら数名~数十名。結果、北京市と他の地方では、合格者の最低合格点が異なる。 〇全国統一考試験だが、省ごとに作成された問題も出題もされる。 〇現役優先。浪人生にはペナルティが課せられ、合格最低点が高くなる。予備校がほとんど存在せず、浪人生自体が日本に比べると少ない。仮面浪人、高校に自主留年(4年生になる)する人が多い。 〇成績優秀者「状元」が有名校に偏る。2013年データを例に見ると、北京大学482名、清華大学403名に続く香港大学では42名と、差が激しい。(※状元=科挙最終試験の首席のこと。これにちなんで現代入試の成績優秀者にも「状元」という名称が使用されている。) <戸籍は移せる?> |
並木:石さんはちなみに、ご出身はどちらですか?
石:蘇州です。
並木:蘇州っていうと…。
石:蘇州は、上海の隣の江蘇省っていう省の、南の方にある町です。
江蘇省 揚子江の下流にあり、温暖で降水量の多い「魚と米の郷」。日本と気候が比較的似ており、四季がはっきりとしている。古くから工業地域であり、省内総生産は中国第2位、国内全体の約10%を占める産業の盛んな地域。有名な観光地は、「東方のベネチア」とも称される蘇州の同里水郷、孫文が眠る南京の中山陵など。 (参考:愛知県公式HP「江蘇省(中国)の概要」) |
並木:じゃあ上海にも近い?
石:上海には近いんですけど、でも戸籍は江蘇省だから違うんです。
並木:そうすると、競争率も高い、厳しい地域にいたんですか?
石:私が中国にいるときは「江蘇省の大学入学試験が一番難しい」とみんなに言われていました。
並木:なるほど…試験のシステム的に、同じ清華大学に行きたい人でも、住んでる場所で難しさが変わるわけですね。
石:はい、全然違います。
並木:そういう意味では、日本の大学入試の方がまだ入りやすいような感じがしますね。
石:確かに。みんな同じように「留学生試験(EJU)」を受けているので、そこはみんな同じスタートラインですね。
並木:日本のEJUも明確に「何点以上取れば合格」みたいなのはわからないですが、それでもある程度、例えば「全部満点取れば受かるだろうぐらい」はわかりますよね。その辺も、中国の大学入試は相当難しいっていうことなんですかね。
石:はい。
並木:ちなみに、例えば早稲田や東大、大学院を出たっていうことは、中国では就職のときなどでちゃんと認めてもらえるものなんですか?
石:そうだと思います。
並木:そうですか。最近、高田馬場などに、中国人の留学生の方がいっぱい入る塾がすごく増えてますけど、やっぱりそういうニーズがあるっていうことなんですか?
石:私はそう思います。
並木:日本の大学を魅力的に思う人が、中国には結構いらっしゃるんですか?
石:それなりにいると思います。
並木:そうですか。やっぱりアメリカなどを目指す人も結構いますか?
石:そうですね。中国で、アメリカと日本、その両方を迷っている人も結構たくさんいると思いますけど、その中で比較するとアメリカの方がやはり生活費も高いし、学費も日本の学校の何倍もかかりますね。
並木:そうですね、高いですよね。もはや十倍とかですよね。
石:そうそう、結構高くて。経済的に余裕がない方は、日本を選ぶかも知れないですね。
並木:よっぽど経済的に余裕ある人はアメリカ選ぶのもためらわないということなんでしょうか。
石:あと、日本の文化と中国の文化は、同じく漢字圏だし、地理的にも結構近いので親近感があります。アメリカだと欧米人とアジア人の何か観点とかが違う気がして…
並木:コンフリクト(衝突)とか。
石:そう、考えることも全然違うので。そこで日本を選ぶ人も結構いらっしゃると思います。
並木:なるほど。日本語の能力試験を受けると、やっぱり中国の方は文法とか読解の点数が結構取れますよね。割と学びやすいんでしょうか。
石:私にとっては、結構学びやすいと思います。漢字が一緒なのものが結構ありますので。
並木:本当ですか。それは、ある程度想像できるというか、意味も大体「これかな」とわかりやすいからですか。
石:そうですね。
並木:それはすごく面白い話ですね。
日本語の学習について
並木:日本語がすごい上手ですけど、来日する前と日本語の会話の能力って変わりましたか。それとも、やっぱり日本に来てから会話する機会が増えました?
石:そうですね。日本へ来ないとひたすら日本語を勉強するだけではなかなか話せなくて、聞き取れもしなくて。やはり実際に日本に来たからこそ、ちゃんと日本語が話せるようになったと思います。
並木:ちなみに、オンライン授業はやっぱり聞くのがメインなんでしょうか。
石:ほとんどそうですね。
並木:そうですか。では授業以外で、日本人と喋る機会が来日してから増えたんですか?
石:日本語学校では、先生やクラスメイトと一緒に話す機会が多かったです。
並木:そうですか。日本語学校で話す機会が増えたんですね。日本語学校では結構友達はできました?
石:そうですね。いっぱい友達ができました。
並木:そういう友達は、今も繋がりがありますか?
石:たまに連絡しています。
並木:ちょうど日本語学校のときはまだコロナ前だったから、直接、ダイレクトなコミュニケーションを取れたってことですね。
石:はい。
並木:それが結構大きいかもしれないですね。
石:そうですね。
<続きます>