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こんにちは。究進塾 編集部です。
この記事は、江口先生の解説動画「電磁気学 第2回 クーロンの法則、電場、電位」の解説で必要な、数学の補足解説記事です。
電磁気学では、物理学、電磁気学を扱うにはどうしても数学が必要になってくるため、必要となるところのみ、復習解説をします。
江口和弘講師
「【大学物理】電磁気学 第2回 – Coulombの法則, ベクトル解析の基礎, 電波, 電位,立体角」より
動画目次
1. ベクトルの内積、外積、3重積(10:23~)
2. ベクトルの微分演算(19:20~)
3. 面のベクトル表示(22:47~)
4. 線積分、面積分、体積積分(23:39~)
5. ベクトルの積分定理(26:07~)
(分数をクリックすると該当箇所が別窓で開きます)
面ベクトル
「面をベクトルで表す」ということをよくやっていくので、例をあげて紹介します。

<例>大きさが\(3S\)の面積の面があったとして、この面をベクトルで表すということをします。
①まず当然、大きさは\(S\)
②ベクトルなので、向きを持たせてやらなければいけない。その向きはこの面に垂直の方向、つまり「法線の方向に取る」ということになる。
「法線」とは、この面に垂直な方向のことを言います。
「ベクトル\(S\)」と表されると、「この面に垂直で、面積と同じ大きさを持ったベクトルですよ」という表現をします。
これが「面のベクトル表示」です。こちらもよく使っていきます。
🔵線積分、面積分、体積積分
積分の拡張で「線積分、面積分、体積積分」の3つをやっていきます。
高校のときにやった積分は、あくまでも直線でした。
🔵線積分
「関数があって、\(x\)軸に沿って積分していった」、これが高校の授業で習った積分です。
では、積分するこの直線が、曲線になっていてもいいわけです。

Bの方向にずっと積分していきます。このようなことを「線積分」と呼んでいます。
\(\displaystyle \int_{A}^B φds\)
そのときに、各々な量がスカラー(=方向を持っていない)量である場合は、単純に値A〜B間をずっと分割していき、全部足し算(=積分)してやればいいことになります。
では黄色の矢印のように、2つの量がどちらもベクトルを持っていたとします。

点AからA方向、B方向ともにベクトルを持っているときの積分量は、Aとこの時の接線方向の微小量、微小の長さ\(ds\)、それがそれが内積を取ってます。
\(\displaystyle \int_{A}^B A・ds\)
これが線積分です。
🔵面積分
線積分を、さらに面積分に拡張します。
💡面積分の考え方
非常に微小な\(dx・dy\)という面積を考えます。

\(dS\)に対して、ベクトル\(A\)があるとき、面積分の「面のベクトル表示」=\(dS\)と、内積を取ったものを積分していきます。
スカラーの場合はそのまま\(φ\)を積分します。
これを全部、この面内で足し算すればいいわけです。
\(\displaystyle \int_{A} φds\)
\(\displaystyle \int_{A} A・ds\)
🔵体積積分
面積分と同じように、体積積分を考えます。

微小な体積\(dx・dy・dyz\)という立方体を考えます。これに、ここでの値を考え、これを全部この空間で足し算してしまえばいい、ということです。
\(\displaystyle \int_{V} φdv\)
これが体積分です。このあたりもよく使っていきます。
電磁気学に限らず、色々な物理学(特に力学など)で使っていく数学です。
ベクトルの積分定理
大事な定理が2つあります。
・Stokesの定理
・Gauss(発散)の定理
今回は証明は省略し、結果だけ掲載します。
🔵Stokesの定理
微分演算子を使った表現をすると、以下の式になります。
①微分演算子を使った表現
\(\displaystyle \int_{S} ∇× A・ds = \oint_{C} A・ds\)
②rot(rotation)、ds(divergence)を使った表現
\(\displaystyle \int_{S} rot A・ds = \oint_{C} A・ds\)
①と②は、表現が違いますが、全く同じことを言っています。
難しいことは別にして、まず大事な要素を抑えましょう。
「要するにこれは何の関係なのか?」というと、ある閉ループを取ったときに\(\oint_{C}\)の右側の\(c\)は、「この閉ループに沿ってAを積分していく」つまり線積分を一周やっている、ということです。
積分記号の(\oint)\の◯は「周回積分」といって「一周回りますよ」という記号です。
つまり、線積分を一周ぐるっと回すとこれのローテーション、\(∇×A\)つまり\(∇\)との外積を取ったものがあるわけですが、これを全部、面積で足したものに等しくなります。
これがStokesの定理です。
💡ポイント
大事なことは、面積分を線積分に変換することが出来る、ということ。
面積分 ⇔ 線積分(周回積分)
ほとんどの使い方を、そういう使い方をしていきます。
🔵Gaussの(発散)定理
次に、Gaussの定理です。
\(\displaystyle \int_{v} ∇Adv = \int_{S} A・ds\)
\(\displaystyle \int_{v} div A・dv = \int_{S} A・ds\)
今度は、ある空間に、空間領域(立体)を取ります。

その時、左辺\(\displaystyle \int_{v} div A・dv\)は、色々な空間でAつまりベクトル量が、その座標によってありますが、これの発散を全部体積で足し算していったもの、これが左辺です。
そして、中身は関係なくて、この表面に出ているところだけ、表面積だけを足して面積分をする。つまり内積を取って積分していきます。
💡重要なポイント
こちらも、体積積分を面積分に変換することが出来ます。\(\displaystyle \int_{v} div A・dv = \int_{S} A・ds\)はそれを示しています。
体積積分⇔面積分
細かいところは数学の方にお任せしますが、証明もできます。これは頻繁に使っていくので、覚えておきましょう。



