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こんにちは。究進塾 編集部です。今回は江口先生の「電磁気学 第2回」から、クーロンの法則についての解説です。

江口先生の動画解説

はじめに:当記事は、動画で解説をしている内容をご紹介していますが、音声を流せる環境にある方はぜひ動画をご覧いただき、江口先生の授業の雰囲気も一緒に掴んでいただければと思います。

江口和弘講師:「【大学物理】電磁気学 第2回 – Coulombの法則, ベクトル解析の基礎, 電波, 電位,立体角」(所要時間 1:01:49 )

(分数をクリックすると該当箇所が別窓で開きます)
この記事に該当する箇所「1.  Coulombの法則(01:05~04:42)」「2.  練習問題1(04:43~10:24)」

今回は、第2回の内容のうち、「クーロンの法則」について解説します。

 

Coulombの法則

前回の解説で、帯電の仕組みの「引力」と「斥力」について説明しました。

前回の内容

(第1回「静電気、帯電、静電誘導、誘電分極」)

同符号=反発を受ける
異符号=引力を受ける

Coulomb(クーロン)の法則は、この引力、斥力の大きさが「どんな大きさなのか?」を規定したものです。

左の図を見ると、電荷の量は「\(Q\)、\(Q’\)」とあり、距離は「\(r\)」離れています。このときにはたらく力は、

\(F=\frac{1}{4πε₀} \frac{QQ’}{r^2}\)[N]

となります。

つまり、「両方の電荷量に比例して、距離の2乗に反比例する」という大きさになります。

💡高校物理では、\(F=\frac{1}{4πε₀}\)をまとめて「クーロンの比例定数(\(R_0\))」と置かれていましたが、大学物理では、この比例定数は\(F=\frac{1}{4πε₀}\)として扱っていきます。

 

これが大きさです。そして、力なので「ベクトル(向き)」を持っています。向きを規定するために「大きさ」に「向き」を加えます。

その時に、「力を与える方」から「力を受ける方」に向けてベクトル、この距離を\(r\)で表します。

<式> \(\frac{1}{4πε₀}\frac{r}{r}\)

大きさだけを表す式「\(\frac{1}{4πε₀}\)」に、「\(\frac{r}{r}\)」が掛けられています。

💡この「\(\frac{r}{r}\)」は何を表している?

分子の「\(r\)」はベクトルなので、→の単位ベクトルであること、つまり単に向きを表しています。

 

向きを加えてベクトル的に記述すると、クーロンの法則は

\(F=\frac{1}{4πε_0}\frac{QQ’}{r^2}\frac{r}{r}\)

となります。このことを教科書その他によってはまとめて、

\(\frac{QQ’ 1r}{4πε_0r^3}\)

と書く場合もあります。

💡「\(r^2\)」なのに分母に「\(r^3\)」が来ているのは何?

単位ベクトルを掛けた結果として、\(r^3\)になります。

 

このように、ベクトルで表してあげると大きさのみならず力の方向まで記述することが出来ます。

高校の時と違って、大学の電磁気学ではベクトルとして扱って、クーロンの法則はこのように規定されます。

\(ε_0\)という量

「真空の誘電率」と呼ぶ。値としては大体、

\(ε_0=\frac{10^7}{4πc^2}\)≒ 8.854×\(10^{-12}\) [\(C^{2}\)・\(N^{-1}\)・\(m^{-2}\)]

となります。

\(\frac{1}{4πε_0}\)を計算すると

\(\frac{1}{4πε_0}=\frac{C^2}{10}\)=9×\(10^9\) [\(C^2\)・N・\(m^2\)] C:光速度

これが高校物理で「クーロンの比例定数」と呼ばれていた数字です。高校の時はこの数をまとめて1つの定数「R_0」として扱っていた、ということです。

 

 

練習問題1

実際に、簡単な練習問題をやってみましょう。

一直線上に間隔\(a\)で電荷\(q_₁\)、\(q_₂\)、\(q_₃\)がある。
(1)それぞれの電荷にはたらく力を求めよ。
(2)3つの電荷が平衡にあるとき、\(q_₁\)、\(q_₂\)、\(q_₃\)はどのようになるか。

 

(1)解説と解答

力=ベクトル量なので、まず正の方向を決めます。右方向(→)に+です。

\(q_1\)、\(q_2\)、\(q_3\)を順番に求めます。

 

①\(q_1\)にはたらく電荷

\(q_1\)に働く電荷は、\(q_2\)と\(q_3\)の両方から力を受けるので、\(q_2\)からは、左向きの力(←)を受け、\(q_3\)からも左向きの力(←)を受けます。

このため、\(q_1\)が受ける力の合力 \(F_1\)は、以下のようになります。

\(F_1= – \frac{q_1 q_2}{πε_0 a^2}\ – \frac{q_1 q_3}{4πε_0 (2a)^²}\)

\(\frac{q_1 q_2}{4πε_0a^2}\) の\(a^2\)は \(q_2\)との距離が\(a\)、\(\frac{q_1 q_3}{4πε_0 (2a)^²}\)の\(2a^2\)は \(q_3\)からの距離が\(2a\)なので、それぞれ距離の二乗を表しています。

これを整理すると、以下のようになります。

\(=- \frac{q_1}{16πε_0 a^2}\ (4q+q_3)\)

 

②\(q_2\)にはたらく電荷

\(q_2\)は\(q_1\)からは右方向の力(→)を受け、\(q_3\)からは左方向の力(←)を受けます。これら2つを足し算すると、以下のようになります。

\(F_2 = \frac{q_1 q_2}{4πε_0 a^2}\ – \frac{q_2 q_3}{4πε_0 a^2}\)

\(q_3\)はマイナス方向を向くため、\(- \frac{q_2 q_3}{4πε_0 a^2}\)となります。

これを整理すると、以下のようになります。

\( = \frac{q_2}{4πε_₀ a^2}\ (q_1 – q_3)\)

 

③\(q_3\)にはたらく電荷

\(q_3\)に働く力は、\(q_1\)、\(q_2\)の両方から右方向(→)です。式は以下のようになります。

\(F_3 =\frac{q_1 q_3}{4πε_0 (2a)^2}\ + \frac{q_2 q_3}{4πε_0 a^2}\)
\(= \frac{q_3}{16πε_6 a^2} (q_1 +4q_2)\)

マイナスが出てくると左向き(←)、プラスだと右向き(→)、このような力が働きます。

 

以上が(1)の解答になります。

 

 

(2)解答と解説

(2)「3つの電荷が平衡にあるとき、\(q_₁\)、\(q_₂\)、\(q_₃\)はどのようになるか。」

 

「平衡にある」というのは、電荷は動かないことを示します。力は合力がゼロになります。

つまり、(1)で求めた\(F1\)、\(F2\)、\(F3\)の計算結果が、これらがそれぞれ0になってしまえばいいということです。

\(F_1=- \frac{q_1}{16πε_0 a^2}\ (4q+q_3)\)
\(F_2 = \frac{q_2}{4πε_₀ a^2}\ (q_1 – q_3)\)    ⇒これらが0になってしまえばいい
\(F_3= \frac{q_3}{16πε_6 a^2} (q_1 +4q_2)\)

0にするには、以下のようにします。

\(4q_2+q_3 =0\)
\(q_1-q_3 =0\)
\(q_1+4q_2=0\)

これが成り立ったとき、\(F_1\)も\(F_2\)も\(F_3\)も0になり、平行状態になります。

これは単独には解けないのですが、解くと

\(q_1:q_2:q_3 = 4:-1:4\)

となります。

真ん中の電荷量だけがマイナス符号で、外側が+になります。あるいはこれ逆にしてしまって\(-4:1:-4\)としても良いです。

このような大きさでこのような符号の電荷を持ってくると、この水の電荷は動かない、ということになります。

 

以上が、クーロンの法則の簡単な練習問題です。


 

関連記事:【大学物理】電磁気学シリーズ

第1回 – 静電気、帯電、静電誘導、誘電分極
第9回 – 静電容量(コンデンサー) –


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