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経済の基本:消費と生産のしくみ
今回は「需要と供給」についてお話しましょう。経済とは「人々の毎日の生活のこと」でしたね。消費活動を行うために生産活動を行う(働く)のです。そして働いて稼いだ「お金(貨幣)」を使って必要なもの(財・サービス)を購入して生活しています。
「財」とは目に見える形があるモノ(パンやスマートフォンのような商品)です。「サービス」とは形がないけれども必要なもの、たとえば電車に乗って移動する(輸送サービス)ことなどがあります。これらは「モノ」と「サービス」という違いはありますが、経済学ではまとめて「財」として扱います。
「市場(しじょう)」で決まる価格と取引量
売手と買手が「財の取引」を行うところを「市場」といいます。「いちば」と読まずに「しじょう」と読んでください。
市場では「需要と供給の関係」から、取引される商品(たとえばコメ)の「価格と取引量」が決まります。経済活動の両輪である消費活動を「需要 Demand」、生産活動を「供給 Supply」と言い換えることができます。
需要量と供給量のちがい
経済学では、現在の価格に対する買手の購入希望量を「需要量」、売手の販売希望量を「供給量」といいます。需要量と供給量はともに数量ですが、実際に購入できる量でもなく実際に販売できる量でもなく、あくまで希望量であることに注意してください。
希望量であるということは必ず買えるとも売れるとも言い切れないのです。
超過需要と超過供給
たとえば、品不足(需要量>供給量)であれば価格が上昇します。逆に売れ残り(需要量<供給量)が発生すれば価格が下落(低下)します。
品不足のことを「超過需要」、売れ残りのことを「超過供給」といいます。超過需要は価格を上昇させ、超過供給は価格を下落させるのです。
このように数量の過不足が自動的に調整される仕組みを「価格の自動調節機能」といいます。
アダム・スミスと「神の見えざる手」
この仕組みを理論的に説明したのはワルラス(1834~1910年)という経済学者ですが、彼よりももっと前に産業革命当時のイギリス経済の状況を見ていたアダム・スミス(1723~1790年)は「神の見えざる手の原理」と名付けました。
もともと神学者であったアダム・スミスは市場の調整メカニズムについて、背後から「神」が操作しているかのように見事なシステムであると説明しました。アダム・スミスは経済学の創始者として「経済学の父」と呼ばれるようになりました。
身近な例で経済を学ぼう
「超過需要」を「品不足」に、「超過供給」を「売れ残り」というふうに日常用語に置き換えると、経済の動きに関心を持ち理解を深めることにつながります。
私も週に1,2度ほど近所のスーパーマーケットに買い物に行きます。特に生鮮食料品は天候などの影響から価格の変化が大きいです。閉店間際の惣菜類の値下がりも面白いです。
価格変化の背景には様々な理由があるはずです。その理由を考えることで社会の動きを知ることができます。みなさんも買い物に出かけて経済の動きを実際に体感されてみてはいかがでしょうか?
執筆者プロフィール
S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。
長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。