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所得と収入の違い
通常は所得と収入の違いについては考える必要はありませんが、経済学を学ぶにあたっては両者を区別する必要があります。両者を区別するために「収入を総収入」「所得を純収入」としましょう。総(グロス/Gross)から「何か」を引くと純(ネット/Net)になります。個人の純収入を「個人所得」、企業の純収入を「企業所得=利潤」といいます。個人所得には「賃金」や個人事業主の「事業所得」などがあります。「事業所得=総収入(売上)-必要経費」です。同様に「企業所得=総収入(売上)-必要経費」となります。ここで「何か」とは「必要経費」のことです。
「所得(純収入)=総収入-必要経費」
と定義されます。
付加価値とは何か
ところで、「付加価値」という言葉を聞いたことがありますか?
「付加価値」とは文字通り「何かに対して新しい価値を付け加える」ことです。ここでも「何か」の意味が分かれば付加価値を定義づけることが可能になります。「付加価値」は生産活動によって生み出されます。生産活動とは実際のモノづくりである農林水産業や鉱工業だけでなく、サービス業などの様々な仕事を含みます。
それでは生産活動における「何か」について考えてみましょう。「何か」を加工することによって新しい価値である「付加価値」を生み出すことができます。「何か」は加工を施す前の状態のモノを指します。つまり「何か」とは「原材料・燃料」のことであり「他人の生産物」のことなのです。
となると、「他人の生産物」を加工して「付加価値」が作られることになります。経済学では「他人の生産物」のことを「中間生産物」、これを金額表示する場合は「中間投入額」といいます。
「生産総額-中間投入額(他人の仕事が生む価値)=付加価値(自分の仕事が生む価値)」
という関係が成り立つのです。
「付加価値」とは「自分の仕事が生む価値を金額で示したもの」なのです。
「付加価値」を国内で集計すると「国内総生産(GDP)」になります。人々は生活するために何らかの仕事に就きます。「仕事」をすれば「付加価値の生産活動」に参加したことになり、自分たちの仕事の成果である「付加価値の分配=所得」を受け取る権利を持ちます。
企業の生産活動と付加価値
次に企業の生産活動について考えてみましょう。
「企業所得=総収入-必要経費」…①
「企業の必要経費=人件費+設備の維持費+資金調達コスト+中間投入額(他人の生産物)」となり、経済学の用語を使うと
「人件費=賃金(給料+賞与=給与)」
「設備の維持費=地代+家賃」
「資金調達コスト=利子+配当」
となります。
企業の必要経費のうち「賃金+地代+家賃+利子+配当」は生産活動へ参加報酬として労働者、不動産所有者、資金提供者へ支払われます。「誰かの支払=誰かの収入」という関係から「誰かの必要経費=誰かの所得」となっているのです。
①より
「企業所得=生産総額※-(賃金+地代+家賃+利子+配当)-中間投入額」
※単純化のため生産物はすべて販売されていると仮定し「生産総額=総収入」として下さい。
「生産総額-中間投入額=賃金+地代+家賃+利子+配当+企業所得(利潤)」…②
「生産総額-中間投入額=付加価値」…③
②=③より
「付加価値(所得)=賃金+地代+家賃+利子+配当+利潤※」…付加価値の定義式
※企業は付加価値の分配として利潤を受け取ります。
「付加価値=誰かの所得」であり、国内で集計すると「付加価値=GDP=所得」です。
企業の生産活動で生み出された「付加価値が所得として誰かに分配されている」ことを理解してください。
執筆者プロフィール
S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。
長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。