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【1】経済学の学習はミクロから始めよう


これから本格的な経済学の勉強を進めていきます。経済学には「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」がありますが、私の経験上「ミクロ経済学」を先に学んだ方がその後の学習を確実なものにしていくと確信しています。景気対策などの経済ニュースを理解するためには「マクロ経済学」が必要ですが、経済学の学習においては、小さいことを積み上げて理解する「ミクロ経済学」から始めることが有益です。


 

【2】経済活動の基本構造:消費者と生産者

経済活動は消費者(家計)と生産者(企業)の行動によって繰り広げられます。消費者は財の消費から得られる「満足度」を最大にするように行動します。「満足度」のことを「効用(Utility)」といいます。つまり、消費者の行動原理は「効用最大化」です。一方、生産者は財を生産し販売することで収入を得ますが財の生産には生産費が必要です。収入から生産費を差し引いた残りを「利潤」といいます。企業の行動原理は「利潤最大化」です。

(まとめ)
消費者(家計)の行動原理→効用最大化
生産者(企業)の行動原理→利潤最大化


 

【3】消費者の立場と予算制約

消費者というと他人事のように聞こえますが、自分自身のことと認識してください。買い物をする自分が消費者です。ところで、消費者が効用(満足度)を最大化するといっても「お金の問題」を無視できません。「お金」は「所得=予算」と考えてください。「お金に制限される」ことを「予算制約」といいます。つまり、消費者は単純に効用最大化するのではなく、「予算の範囲内で効用最大化行動」をとるのです。


 

【4】予算制約式を立ててみよう

それでは、予算制約式を作ってみましょう。消費者は生活するために様々な財を購入しますが、単純化してX財とY財の2財だけ購入することにします。

予算制約式:所得=X財の購入額+Y財の購入額

所得をM、X財の価格をPx、X財の購入量をX、Y財の価格をPy、Y財の購入量をYとすると
予算制約式:M=Px・X+Py・Y
となります。XとYは「購入量」ですが、「消費量」ともいいます。
所得を1000円、X財の価格を100円、Y財の価格を200円とすると
1000=100X+200Y
となり、記号で表現するよりも身近に感じることができると思います。


 

【5】効用関数とは何か


次に、効用について数式表現してみましょう。効用は満足度という意味ですが、満足度を数値化することは非常に難しいことです。そこで経済学者は数量(X、Y)で効用を定義することにしました。これを「効用関数」といいます。

効用関数:総効用=X財の消費量×Y財の消費量
総効用=U(満足度の合計という意味)
X財の消費量=X、Y財の消費量=Y
文字表現すると
効用関数:U=X・Y

となり、効用関数では「各財の消費量を掛け合わせる」ことで「満足度の合計」を示しています。数量に関しては、「購入したものはすべて消費する」と仮定して「消費量」とします。効用関数を掛け算で表現することで財の消費量が多いほど満足度が大きくなることを意味づけしています。効用関数は「なぜ掛け算なのか」という疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、これには深い意味があります。今回のブログでは「掛け算が一般的」ということにしておきます。「消費者理論」ではミクロ経済学で「理解すべき主要な概念」をたくさん学びます。むずかしい部分を理論の背景や考え方を噛み砕いて分かりやすく説明していきます。今回は「消費者理論①」ですが、何回まで進むか楽しみにしておいてください。


執筆者プロフィール


S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。

長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。


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