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線形代数でこんな悩みはありませんか?

  • 定義は読んでも、問題になると手が止まる
  • 「部分空間」「基底」などの意味がはっきりつかめない
  • 講義を聞いても、試験で点が取れるイメージがわかない

線形代数は、理系大学生がつまずきやすい代表的な科目です。
特に「なんとなく分かる」で止まってしまうと、定期試験で得点できず、単位取得が難しくなることがあります。

今回は久松講師の「線形代数」の解説動画から、「行列の基本変形」、そしてそれを用いた「連立方程式の掃き出し法」による解法をご紹介します。

📝この記事のポイント
・行列の基本変形
・連立方程式の掃き出し法

行列の基本変形と連立方程式の解法

線形代数については、理系の方ならおそらく大学1年生の時に習っていると思います。

まずは問題を1つ見てみましょう。

次の連立方程式を解け。
\(\left\{\begin{array}{l} 2x -3y +z -2w = 5\\ x -2y +3z -w = 1\\ 4x -y +z -5w = 1\end{array}\right.\)

ちなみにこの連立方程式は、未知変数が「\(x\)、\(y\)、\(z\)、\(w\)」と4文字ありますが、与えられた関係式の数が3個しかないという形になっています。なので、ものによって様々なパターンがありますが、この場合は解が一通りには定まりません。解空間の次元が少し大きめになると予想できます。

このように「1文字の数に対して変数の数が足りないけれど、解いていくととにかく文字の数が減らせるようになっていて、何個かだけが残る」という問題は、高校生のとき既にあったかもしれません。

今回はこれを、大学数学のやり方で解いていく方法を紹介していきます。

連立方程式を行列で表現する

まずは、与えられた連立方程式を、行列を使って綺麗に書き換えるところからスタートします。

行列の掛け算、算法については、大学に入学して最初の頃にかなり練習をさせられたはずなので、今回は省略します。

\(\left\{\begin{array}{l} 2x -3y +z -2w = 5\\ x -2y +3z -w = 1\\ 4x -y +z -5w = 1\end{array}\right.\)

先程の3本の連立方程式を、行列を使って書き表すと、以下の様になります。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
2 & -3 & 1 & -2 \\
1 & -2 & 3 & -1 \\
4 & -1 & 1 & -5
\end{array}
\right)
\left(\begin{array}{cc}
x \\
y \\
z \\
w
\end{array}\right)=
\left(\begin{array}{cc}
5 \\
1 \\
1
\end{array}\right)
\)

縦ベクトル\(\left(\begin{array}{cc}x \\y \\z \\w\end{array}\right)\)に、\(\left(\begin{array}{crl}2 & -3 & 1 & -2 \\1 & -2 & 3 & -1 \\
4 & -1 & 1 & -5\end{array}\right)\)を掛け算したものが、
\(\left(\begin{array}{cc}5 \\1 \\1\end{array}\right)\)という縦ベクトルと等しい、というふうに置き換えることができます。

これを見て「何のことかわからない」という場合は、「行列の計算、掛け算の計算」に関して、教科書をもう1度読み直してみるといいかもしれません。

簡単に説明しておくと、行列の掛け算というのは、1つ目の行列の行に対し、2つ目の行列の列を掛けていくわけです。なので、\(2×x、-3×y、1×z、-2×w\)、この計算結果を合計したものが、1つ目の1行目と2つ目の列を計算した結果、というふうになります。

ちなみに「\(2×x、-3×y、1×z、-2×w\)を合計した結果」というのは、最初の連立方程式の1行目になります。

2行目、3行目も同様に計算したものが、最初の連立方程式の2行目、3行目にそれぞれなります。

というわけで、行列の左辺にあたる部分が、ちょうど連立方程式の左辺をそのまま表現している、ということになるわけです。右辺の\(\left(
\begin{array}{crl}
5 \\
1 \\
1
\end{array}
\right)\)が連立方程式の右辺とイコールになっているのは、解りやすいと思います。

なので、この行列式というのは、本当にそのまま「与えられた連立方程式を、行列を使って表したらどうなるか」という状態になります。

さて、行列を使った連立方程式の解法を少し勉強された方の中には、大雑把に次のようなやり方を習った方もいるかもしれません。

行列を\(A\)と置くと、次のような形になります。

\(\color{magenta}{A・\left(\begin{array}{cc}x \\y \\z \\w\end{array}\right)=\left(\begin{array}{cc}5 \\1 \\1\end{array}\right)}\)

このような形になっているので、左から\(-1\)を掛けます。

\(\color{magenta}{⇓}\)

\(\color{magenta}
{A^{-1}A・\left(\begin{array}{crl}x \\y \\z \\w\end{array}\right)=A^{-1}\left(
\begin{array}{crl}5 \\1 \\1\end{array}\right)}\)

すると\(A^{-1}×A\)は単位行列になるので消えてしまいます。

\(\color{magenta}{⇓}\)

\(\color{magenta}{\left(\begin{array}{cc}x \\y \\z \\w\end{array}\right)=A^{-1}\left(\begin{array}{cc}5 \\1 \\1\end{array}\right)}\)

そのため、結局\(x、y、z、w\)は、この\(\left(
\begin{array}{crl}
5 \\
1 \\
1
\end{array}
\right)\)という列ベクトルに左から\(-1\)を掛けた計算結果として得られる、というやり方です。

結論から言うと、今回の場合はこのやり方ができません。

何故かというと、ある行列\(A\)に逆行列\(A^{-1}\)が存在するためには、どうしても正方行列である必要があります。つまり\(4×4\)になっていないといけないのですが、この例題の場合は、縦と横のサイズが違います。

こうした問題に対しては、\(A^{-1}\)に近いようなものを考えることは可能ではありますが、いわゆる通常の意味での\(A^{-1}\)というのを考えることが無理です。

point:\(A^{-1}\)で考えることができる条件・正方行列になっているとき
・なおかつ逆行列が存在する場合に限る

では、今回の例題のように、行列が正方形でない場合にはどうするか、という話をしていきます。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
2 & -3 & 1 & -2 \\
1 & -2 & 3 & -1 \\
4 & -1 & 1 & -5
\end{array}
\right)
\left(\begin{array}{cc}
x \\
y \\
z \\
w
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{cc}
5 \\
1 \\
1
\end{array}\right)
\)

このように書き表しておいて、さらにここから\(x、y、z、w\)の列が邪魔なので無くし、\(\left(
\begin{array}{crl}
5 \\
1 \\
1
\end{array}
\right)\)の列を繋げた行列を考えます。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
2 & -3 & 1 & -2 ︙ 5  \\
1 & -2 & 3 & -1 ︙ 1  \\
4 & -1 & 1 & -5 ︙ 1
\end{array}
\right)\)

この\(
\left(
\begin{array}{crl}
2 & -3 & 1 & -2\\
1 & -2 & 3 & -1\\
4 & -1 & 1 & -5
\end{array}\right)\)の部分は、係数を全て並べたものです。そのため、この行列のことを「係数行列」と言います。そこに、計算結果を示す右辺の部分を付け足した上記のような行列を、「拡大係数行列」と言います。

左側の係数行列の部分と、右側の計算結果の部分で、若干規格が対等ではないので、点線を引いて、切れる箇所を示しています。

知っている人が見れば、この点線が無くても最後の1列分が右辺だというのはすぐにわかることではあります。必ず右1列分しか残らないためです。しかし、わかりやすくなるように、ここに線を引いておくと良いと思います。

このように書くと\(x\)、\(y\)、\(z\)、\(w\)の表記が消えてしまいます。けれども、実質的にこの拡大係数行列というのが、「元の連立方程式のデータを完全な形で持っている」ということになります。

このように書いておくと、次に説明していくように色々と便利になります。連立方程式を解くために色々と変形しますが、それを簡単に行えるようになっています。

このあたりでつまずくと、線形代数は独学で立て直すのが難しくなります。

特に理系学部では、「概念の理解」だけでなく「試験で解けること」まで求められるため、早めに対策しておくことが大切です。


→ 線形代数の単位取得対策ページはこちら

行列の基本変形

連立方程式を解く前に、「行列の基本変形」を覚えておく必要があります。

行列の基本変形は、色々なところに出てきます。今回のように連立方程式を解く場合もそうですし、逆行列を計算する場合、他にも方法はありますが行列の基本変形を使って解くのが一般的な方法です。その他にも、行列のランク(階数)を計算するときにも使います。

とにかく、色々なシーンで行列の操作をしようとするときに出てくるため、どうあっても覚えておく必要があります。

ここで少しおさらいしておきましょう。

行列の基本変形とは

行列の基本変形には、基本的なパーツが、大きく分けて3種類あります。実際にその基本変形を、先ほどの係数行列を例にやってみます。

基本変形 ①

\(
\left(
\begin{array}{crl}
2 & -3 & 1 & -2\\
1 & -2 & 3 & -1\\
4 & -1 & 1 & -5
\end{array}\right)\)

係数行列の1行目を3倍します。2行目と3行目はそのままにしておきます。

⇩

\(
\left(
\begin{array}{crl}
6 & -9 & 3 & -6\\
1 & -2 & 3 & -1\\
4 & -1 & 1 & -5
\end{array}\right)\)

これは基本変形の一種です。このように、ある行を定数倍する、というやり方「基本変形 その1」とします(順番は人によると思いますが、ここではひとまず、これを①とします)。

今回は1行目を3倍しましたが、例えば2行目を5倍するのでもいいですし、3行目を2倍するのでもいいです。

ただし「基本変形」と言った時には、\(0\)倍だけは駄目です。\(0\)倍にすると色々と面倒なことになってしまうので、それだけは駄目です。\(0\)でない定数倍にします。

基本変形 ②

次に、先程計算した行列の、1行目と2行目を入れ替える操作をします。3行目は特に何もせずにそのままにしておきます。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
6 & -9 & 3 & -6\\
1 & -2 & 3 & -1\\
4 & -1 & 1 & -5
\end{array}\right)\)

⇩

\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & -2 & 3 & -1\\
6 & -9 & 3 & -6\\
4 & -1 & 1 & -5
\end{array}\right)\)

これを「基本変形 その2」とします。「ある行とある行を入れ替える」という操作も、基本変形のパターンです。

ここでは1行目と2行目の入れ替えを行いましたが、他の行でも大丈夫です。2行目と3行目の入れ替える、あるいは1行目と3行目の入れ替える、というのも基本変形です。

基本変形 ③

①の「1行目を定数倍」、②の「ある行とある行を入れ替える」くらいなら、「確かに基本的な変形っぽいよな」という感じがすると思いますが、3つ目だけは、やや面倒で、そしてこれは結構重要です。

何をやるかというと、「1行目を\(-4\)倍したものを3行目に足す」という操作をします。1行目の\(-4\)倍、つまり\(-4、+8、-12、+4\)を、3行目に足すと、次の様になります。

 

\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & -2 & 3 & -1\\
6 & -9 & 3 & -6\\
4 & -1 & 1 & -5
\end{array}\right)\)

⇩

\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & -2 & 3 & -1\\
6 & -9 & 3 & -6\\
0 & 7 & -11 & -1
\end{array}\right)\)

3つの基本変形まとめ

この3種類のことを、今は行に対して行っているので「行の基本変形」と言います。

3つの基本変形①ある行を\(0\)でない定数倍する
②ある行とある行を入れ替える
③他の行にある行の定数倍を足す

ちなみに③の基本変形を行う場合には、\(0\)を足しても構いません。\(0\)倍を足しても何も変わらないはずなので、普通は\(0\)でない場合を足します。

この3つの操作を行に対して行っているので「行の基本変形」といいますが、この操作は列に対しても同様に考えることができ、「ある列の定数倍」「ある列を入れ替える」「ある列にある列の定数倍を足す」ということができます。

「列の基本変形」は、行列の階数を求めるなどの時に、たまに使ったりするかもしれませんが、今回の解説のメインテーマとなる「連立方程式の解法」の場合にはあまり使いませんので、一旦置いておいて大丈夫です。

拡大係数行列の基本変形と連立方程式の対応

次に、基本変形と連立方程式に、一体どういう関係があるのかを解説していきます。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
2 & -3 & 1 & -2 ︙ 5  \\
1 & -2 & 3 & -1 ︙ 1  \\
4 & -1 & 1 & -5 ︙ 1
\end{array}
\right)⇔\left\{\begin{array}{l} 2x -3y +z -2w = 5\\ x -2y +3z -w = 1\\ 4x -y +z -5w = 1\end{array}\right.\)

右側が元となっている連立方程式です。この連立方程式を拡大係数行列で表した結果、左側のようになります。拡大係数行列というものは、右の連立方程式をそのまま表しているものだと考えてください。

さて、その上で基本変形を行っていきます。

例えば「基本変形①ある行を\(0\)でない定数倍する」を行ってみます。そうすると1行目だけ3倍されて\(6 \ -9 \ 3 \ -6 ︙ 15\)となり、下の2行は変わりません。なので行列は\(
\left(
\begin{array}{crl}
6 & -9 & 3 & -6 ︙ 15  \\
1 & -2 & 3 & -1 ︙ 1  \\
4 & -1 & 1 & -5 ︙ 1
\end{array}
\right)\)

となります。

これに対応する連立方程式は何かというと、行列の成分がそれぞれ係数になるので、\(\left\{\begin{array}{l} 6x -9y +3z -6w = 15\\ x -2y +3z -w = 1\\ 4x -y +z -5w = 1\end{array}\right.\)

となるわけです。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
6 & -9 & 3 & -6 ︙ 15  \\
1 & -2 & 3 & -1 ︙ 1  \\
4 & -1 & 1 & -5 ︙ 1
\end{array}
\right)⇔\left\{\begin{array}{l} 6x -9y +3z -6w = 15\\ x -2y +3z -w = 1\\ 4x -y +z -5w = 1\end{array}\right.\)

これはどういうことかというと、行の基本変形①「ある行を定数倍する」というのは、連立方程式の側で見ると、「連立方程式の3つある式のうち、どれかを定数倍する」という操作に当たるわけです。

「イコールで結ばれた方程式の両側を、\(0\)でない同じ定数倍しても、方程式は変わらない」という法則があるので、この操作はやっていいということになります。

つまり「拡大係数行列の行の基本変形①:ある行の定数倍」というのは、連立方程式のレベルでは「何かの式を定数倍する」ということをやっていることになります。

連立方程式を解く際に役立つ

ちなみに「何かの式を定数倍する」というのは、何の時に役に立つかという話をします。

連立方程式を解く際、おそらく今まで加減法を使っていたのではないかと思いますが、それをやるためには数字を揃えなければいけません。

係数を一緒にして\(+\)や\(-\)をするとその文字が消える、となるので、その数字を揃えるときに、式を定数倍していたと思います。

この「ある行を定数倍する」のは、それをやるための操作です。

さて次に、先程定数倍した式の、1行目と2行目を入れ替えます。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & -2 & 3 & -1 ︙ 1  \\
6 & -9 & 3 & -6 ︙ 15  \\
4 & -1 & 1 & -5 ︙ 1
\end{array}
\right)⇔\left\{\begin{array}{l} x -2y +3z -w = 1\\ 6x -9y +3z -6w = 15\\ 4x -y +z -5w = 1\end{array}\right.\)

入れ替えるという操作なので、左側の拡大係数行列も右側の連立方程式も、式の順番を並べ替えただけです。

当たり前だという感じではあると思いますが、これは元の方程式と全く変わりません。

そして最後に、基本変形③「何行目かの定数倍を他の行に足す」ということをしてみます。1行目の\((-4)\)倍を3行目に足してみると、計算結果は次のようになります。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & -2 & 3 & -1 ︙ 1  \\
6 & -9 & 3 & -6 ︙ 15  \\
0 & 7 & -11 & -1 ︙-3
\end{array}
\right)⇔\left\{\begin{array}{l} x -2y +3z -w = 1\\ 6x -9y +3z -6w = 15\\     7y -11z -w = -3\end{array}\right.\)

上の2行は変わらず、足された結果3行目が上記のようになります。

「1行目の\((-4)\)倍を3行目に足す」、これこそまさに「加減法」です。

右の連立方程式の\(x\)、\(4x\)を消すために、1行目の4倍した数を3行目に足しています。すると\(x\)がちょうど消えます。\(y\)、\(z\)、\(w\)は残りますが、とりあえず\(x\)は消すことができるわけです。

拡大係数行列の基本変形と連立方程式の関係

拡大係数行列と連立方程式で書くとどうなっているかというのを、2つ並べて見比べてみると、連立方程式を加減法で解くために必要な操作が、基本変形の中に全て含まれている、ということがわかります。

・行の定数倍は式の定数倍
・行の入れ替えは式の並べ替え
・他の行に、ある行の定数倍を足す操作は、加減法を行っている

にそれぞれに対応しています。

「拡大係数行列に対して基本変形をしていく」というのは、「連立方程式について、加減法で何とか簡単な式にしよう」とするのと、同じことにあたります。

基本変形で拡大係数行列を簡単にしよう

それでは、実際に解いていきましょう。

先述した通り、基本変形をするということは「対応する連立方程式に加減法で式変形=式の操作を行っている」ということにあたります。

つまり、拡大係数行列を基本変形し、できるだけ簡単な形にできれば、それで連立方程式を解けるようになると予想できます。

そこで登場するのが「掃き出し法」です。

掃き出し法とは

簡単に説明すると、未処理の拡大係数行列の一番左上の数に目星をつけ、「この数字を使って同じ列にある数を全部消してしまおう」という操作をだんだんやっていきます。

これを「掃き出し法」といいます。

掃き出し法の手順

掃き出し法については、手順が完全に決まっています。とりあえず\(0\)以外が来るように行を入れ替え、やりやすい数が左上に来るようにします。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
2 & -3 & 1 & -2 ︙ 5  \\
1 & -2 & 3 & -1 ︙ 1  \\
4 & -1 & 1 & -5 ︙ 1
\end{array}
\right)\)

今回の行列は、一番左上の数は\(2\)となっており\(0\)ではないので、このまま進めても大丈夫ではありますが、できれば\(1\)になっていた方が楽です。そうするためには、

・1行目に\(\frac{1}{2}\)を掛ける(2で割る)
・2行目と1行目を入れ替える

この2通りの方法があります。どちらを選んでも最終的な答えは変わりませんが、1行目を2で割ると、3、1、5が分数になりそうです。もちろん分数になっても根性で解くことはできますが、できれば面倒なやり方を選びたくはありません。

もし1列目に1があるような、やりやすそうな行があったら、それが一番先頭に来るように並べ替えをしましょう。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & -2 & 3 & -1 ︙ 1  \\
2 & -3 & 1 & -2 ︙ 5  \\
4 & -1 & 1 & -5 ︙ 1
\end{array}
\right)\)

1行目と2行目を入れ替えました。基本変形を1回行ったことになります。

次からが本題です。

左上に来た\(1\)という数字を使って、1列目の\(2\)や\(4\)を消すことを考えていきます。

さて、そのためにはどうしたらいでしょうか。しかも、連立方程式を崩さないためには、行の基本変形の範囲内でやらないといけません。

そうするための方法が、「2行目に\(-2\)倍の1行目」、「3行目に\(-4\)倍の1行目」を追加することです。

実行してみましょう。それぞれ掛けていきます。忘れないように、点線の右側もやらなければいけません。

2行目 \(-2×\)1行目
3行目 \(-4×\)1行目
↓↓
\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & -2 &  3 & -1 ︙ 1  \\
0 & 1 & -5 &  0 ︙ 3  \\
0 & 7 & -11 & -1 ︙-3
\end{array}
\right)\)

このように変形することができ、1列目の2行目と3行目が\(0\)になりました。

今やった操作は、連立方程式を加減法で解く際に当てはめて考えると、いわゆる「文字を消した」という部分にあたります。なので、ここから先の操作でも、なるべく\(0\)が増えるようにどうにかしていく、というのが基本方針です。

さて、これで1列目の掃き出しが終わりました。

次は、2列目の掃き出しをしたいです。なぜかというと、2列目の2行目に、ちょうど都合よく\(1\)があります。これを使って2列目を消していきましょう。

2列目の2行目\(1\)と3行目の\(7\)を、できれば消したいです。実際は下の\(7\)だけ消しても解けるのですが、せっかくなので上下とも全部\(0\)にすると、話が楽になります。

というわけで、次のように計算します。

1行目\(+2×\)2行目
3行目\(-7×\)2行目
↓↓
\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & 0 & -7 & -1 ︙ 7  \\
0 & 1 & -5 &  0 ︙ 3  \\
0 & 0 & 24 & -1 ︙-24
\end{array}
\right)\)

1回目に行った掃き出しと全く同じような調子で計算すると、このようになります。

さて、今度は3列目を、3行目の\(24\)を使ってどうにかして掃き出したいのですが、その前に\(24\)を\(1\)にしておかないと面倒です。

そのために「基本変形①」をここで使います。「ある行を定数倍しても変わらない」という決まりがあるので、3行目に\(\frac{1}{24}\)を掛けます。

3行目\(×\frac{1}{24}\)
↓↓
\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & 0 & -7 & -1  ︙ 7  \\
0 & 1 & -5 &  0  ︙ 3  \\
0 & 0 & 1 & – \frac{1}{24}︙-1
\end{array}
\right)\)

これによって、3列目の\(24\)だった部分が\(1\)になりました。その代わりに、右隣りの\(1\)が\(\frac{1}{24}\)にはなってしまいます。

さて、3列目3行目に\(1\)ができたのでこれを使って、3列目の\(-7\)や\(-5\)を掃き出します。このように掃き出しを続けていくと、答えが近づいてきます。

実際に、3列目3行目の\(1\)を使い、1行目の\(-7\)、2行目の\(-5\)を消しましょう。

1行目\(+7×3\)行目
2行目\(+5×2\)行目
↓↓
\(
\left(
\begin{array}{crl}
1 & 0 & 0 & -\frac{31}{24}  ︙ 0  \\
0 & 1 & 0 & -\frac{5}{24}    ︙ -2  \\
0 & 0 & 1 & -\frac{1}{24}    ︙-1
\end{array}
\right)\)

計算するとこのようになります。これで行による基本変形での拡大係数行列の整理は終わり、という状態になります。目安としては、

・綺麗に階段状に斜めになる
・階段の角の部分に数字が出ている箇所は、全部綺麗にその各列が掃き出されてる状態

このようになった終わり、というところです。

方程式に書き直す

ここまで来たら、これを改めて、元の方程式として書き直してみます。整理した拡大係数行列は、元々は「 \(x\) \(y\) \(z\) \(w\) = 解 」という3つの式をもつ連立方程式でした。つまり連立方程式が下のように書き換えられる、ということになります。

\(
\left(
\begin{array}{crl}
x &  &  & -31/24w    ︙ 0  \\
& y &  &  -5/24w  ︙ -2  \\
&  & z & -1/24w  ︙-1
\end{array}
\right)\)

そしてこの一式というのは、元の連立方程式に加減法を繰り返してできた式とイコールになります。この連立方程式は元の連立方程式と同じ答えをきちんと持っていて、しかも暗算でわかる程度に簡単な式になっているわけです。よって、これを使って最終的な答えはどうなるかというと、以下のようになります。

\(\left\{\begin{array}{l} x = \frac{31}{24}t\\ y = \frac{5}{24}t-2\\ z = \frac{1}{24}t-1\\ w = t\end{array}\right.\)  (ただし\(t\)は任意の実数)

このようになります。ちなみにこれは、\(x\)と\(y\)と\(z\)を移行した結果として書けばよい、ということになります。移行していくと\(w\)が残ってしまいますが、\(w\)は実は-\(\frac{31}{24}w\)、-\(\frac{5}{24}w\)、-\(\frac{1}{24}w\)の形でなければならないという「縛り」が無いと考えます。そのため\(w\)を任意の定数\(t\)としたとき、各行の\(w\)を\(t\)と移行すると、上記のようになります。
このように\(x、y、z、w\)というのは、全て最初の連立方程式の答えになります。この連立方程式は、答えも結構あることがわかります。これは式の本数が足りてない状態なので仕方がないことです。

まとめ

以上が、拡大係数行列と行列の基本変形を用いた連立方程式の解法です。未知数の数が2個、3個など少ない場合には、加減法で解いても大して手間ではないので、それで計算しても良いかもしれません。
この行列を使うと良い場合というのは、例えば
・変数の数がやたら多いとき
・うまく解ききれないようなタイプ
・未知数の数と式の数が違う
こうした場合などに威力を発揮するので、ぜひ覚えておくと、とても役に立ちます。

線形代数が理解できないときは

大学の線形代数は、多くの理系学生がつまずく科目です。

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こちらの記事は、究進塾の数学講師、久松真人先生の解説動画を参考に、線形代数について解説しています。音声を聞ける環境の方はぜひ動画をご覧頂き、久松先生の講義の雰囲気を掴んでいただければと思います。

動画紹介
【究進塾】大学補習チャンネル
【大学数学】線形代数 第1回 -行列の基本変形・連立方程式の掃き出し法による解法-(所要時間: 36分08秒)

講師:久松真人

東京工業大学卒業。東京工業大学大学院数学研究科博士課程修了。数学に特化した講師です。大学受験はもちろん、大学授業補習、大学院入試のサポートにも熟練しています。また、大学の情報系科目のサポートも経験があります。穏やかな性格と柔らかい雰囲気、丁寧な指導、そして数学愛が溢れる、おすすめ講師です。☆大学授業補習の詳細はこちら

 

究進塾 編集部


究進塾は、「学問の楽しさを伝え、結果を出す喜びを体験してもらうことで塾生の人生を豊かにしたい」という考えから、学習に役立つ情報や学習のコツなどを発信しています。
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