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行政書士試験の教材は何を使えばよいのでしょうか?

大きな書店には予備校の教材が並び、ネットではさらに個人作成のオリジナル教材も紹介されています。受験生が悩んでしまいますね。そこで、今回は教材について、予備校で受験指導をしてきた私の経験を踏まえてお話をしたいと思います。

そもそも教材は何を基にして作られるかと言えば「過去問」です。ではなぜ同じ過去問を基に作られているのに、予備校によって分量や内容が違うのでしょうか。

いくつか理由はありますが、主な原因は過去問の選別方法に違いがあるからです。教材の作成にあたり、過去問選別の基準は予備校ごとに異なります。たとえば、出題回数に重きを置くこともあるでしょうし、受験者の正答率に重きを置くこともあるでしょう。または、過去10年間のようにどこまでの範囲の過去問を重視するかに違いもあります。このように予備校はそれぞれ過去問を解釈して教材作成に取り組んでいます。過去問の選別の基準が異なるゆえに教材に差が生じるのです。

もう一つの理由は発展的要素をどこまで考慮するかです。発展的要素とは、司法試験・予備試験、司法書士試験、公認会計士試験などの他の国家試験は出題されているが、行政書士試験では未出題の論点のことです。これらの論点は行政書士試験の過去問から離れるので予想問題的な要素と言えます。確かに、予想問題を掲載すれば試験対策上は有効ですが、分量が増えてしまい受験生の負担が増えてしまいます。それゆえ、そもそも発展的要素を掲載させるのか、掲載させるとしてどの論点をどこまで深く掲載するかは、各予備校の方針によって異なります。発展的要素は不要と考える方もいらっしゃるでしょうが、予備校の講師募集や教材作成募集の際に、司法試験経験者などを要求するのは、行政書士試験において予備校が発展的要素を無視できないと考えているからに他なりません。

さらに、予備校によって教材の表現方法に違いもあります。たとえば、図表中心型か文章中心型かが代表的ですが、作図の掲載、横断的な視点の掲載、目次・図表・索引の掲載方法などです。過去問の論点について表現するについても、形式が違うと、印象が変わってくるものです。このようにレイアウトも各予備校により異なってきます。自分にあった教材探しを考えると、表現方法というのも意外に大切な判断基準です。

個別指導では、予備校に属していないからこそ、予備校指定の教材に拘束されずに、最適な教材を選んで指導できます。それこそ大きな書店で一緒にどの教材を選ぶのかというところから指導も可能です。学習状況、受験歴、本試験成績などを考慮した上で、足らないところを補える教材をある程度しぼり、その上で、ご自身の傾向、たとえば文章派か図表派かなど、教材との相性なども考慮して、最適な教材を選ぶこともできます。教材選びから指導できること、これは個別指導ならではの強みだと思います。

【執筆者】Y
究進塾の行政書士コースの担当講師。
国立大学大学院修士課程修了。
私立大学非常勤講師の経験を持ち、大手資格予備校で行政書士をはじめとする法律系国家資格の指導歴は約20年。
行政書士実務についての著書・論文もあります。

<塾よりひとこと>
誠実で実直な性格が特長の講師です。


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