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長く受験指導をしていると模擬試験では合格点をとれるのに、本試験で何度も不合格になってしまう受験生に出会います。知識量は十分なのにどうしても合格できないのです。受験生は何が悪いのかわからずに苦しむばかりです。講師の立場からすると、何よりも気の毒なのは、しっかりと勉強に取り組んで誰よりも努力をしているのに、その努力が報われずに悩み続けていらっしゃることです。そういった受験生を何人か合格に導くことができました。そのお話をしたいと思います。
まず視点を変えて、「どうしても受からない」の反対である、「簡単に受かったしまう」受験生はどういう人達でしょうか。答は司法試験受験生です。司法試験受験生の中には行政書士試験を受験する人がいます。たとえば、ある法科大学院では、1年次に行政書士試験を受験することを推奨していると聞いたことがあります。これは、力試しにまたは将来への保険として行政書士試験を推奨しているようです。ここ最近の行政書士試験は司法試験の傾向と類似しており、司法試験受験生も負担が少なく受験できます。司法試験受験生にとって行政書士試験のレベルは、司法試験の簡単な問題レベルと感じているでしょう。
また、行政書士試験の試験委員の多くの教授は、普段、法科大学院で、司法試験を念頭に、司法試験を目指す学生に授業をしています。その先生方が行政書士試験を作成するので、どうしても司法試験の問題に類似してしまいます。あくまで想像ではありますが、「行政書士試験だから司法試験の問題よりは少し易しいレベルの問題にしよう」という感覚で作成していると考えてもあながち出鱈目ではないでしょう。
このように行政書士試験と司法試験は切っても切れない関係にあります。そこで、どうしても行政書士試験に合格できない受講生に対して、私がしていたことは苦手科目(ほとんどが民法)について、スクーリング授業の授業外で、司法試験で使用される基本書を使って個別に指導することでした。これは、予備校と受講生の双方から了承を得て、毎回30分、一週間で1時間くらいの時間を使って指導していました。
司法試験受験生が受かるのだったら、司法試験受験生の教材と同じものを使ってしまえばよいという簡単な発想です。ただ、司法試験の基本書は予備校の行政書士用のテキストと比べて難しく、また、行政書士試験では出題されないところも言及されています。そこで、私が、読み合わせをしながら、民法の原理・原則、横断的な条文構造などを、基本書を利用しながら説明をしていました。司法試験受験生や試験委員の先生方の発想に近づけていく指導です。
この指導により、行政書士試験の問題について、出題の理由や、条文の構造、民法の価値観などを考えながら、問題を解くことが可能になります。そして、見たことのない問題や迷った選択肢について、民法の考え方から推論して答を出せるようになり、合格を勝ち取りました。
この方法は賛否両論あると思います。ですが、私が、司法試験の基本書はおおむね目を通していること、民事法の研究経験があり試験委員の論文なども読んできたこと、模擬試験の作成のために司法試験や行政書士試験の過去問研究をしてきたこと、行政書士試験で多くの受講生(現役の法科大学院生や司法試験受験生も含む)を指導してきたからこそ、自信を持って実施しました。また、何よりも、何年も合格できずに苦しむ受験生を見かねて何とかしてあげたいと思って行った指導法でもあります。
スクーリング授業では、この方法を実施するには時間を含めて様々な制約がありました。ですが、個別指導ならばその制約は少ないです。ですから、不合格に苦しむ受験生に、より効率的に対処できると思います。
模擬試験で点数をとれるけれど試験に合格できないことが続いている受験生の方、一度、個別指導という方法を試してみませんか。
【執筆者】Y
究進塾の行政書士コースの担当講師。
国立大学大学院修士課程修了。
私立大学非常勤講師の経験を持ち、大手資格予備校で行政書士をはじめとする法律系国家資格の指導歴は約20年。
行政書士実務についての著書・論文もあります。
<塾よりひとこと>
誠実で実直な性格が特長の講師です。