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学生時代の経済学と時代背景
私が大学生の頃、書店で見かける経済学の書籍は「近代経済学」「経済学」「経済原論」「価格理論」「国民所得論」というタイトルのものが多かったです。現在のように「ミクロ経済学」「マクロ経済学」というタイトルはあまり見かけませんでした。大学の講義科目も同様に「経済原論Ⅰ、Ⅱ」だったと記憶しています。当時はベルリンの壁があった時代で資本主義陣営の「近代経済学(近経)」VS社会主義陣営の「マルクス経済学(マル経)」という対立構造がありました。両者の対立は経済体制の選択をとおして経済の本質についてより深く考える機会を提供していたと思います。
経済学は「経済活動を論理的に説明する学問」
本ブログでは「経済活動は消費活動と生産活動が絶えず繰り返す」ことを強調してきました。「経済学」は「経済活動を論理的に説明する学問」であるべきです。「ミクロ」「マクロ」という言い方は少し軽い気がします。学問は時代の歩みとともに進化します。細分化し専門化することで詳細な研究が可能になります。たしかに昔のテキストよりも今のテキストは大幅に守備範囲が広くなっています。しかし、専門化する過程で経済活動の本質が伝わりにくくなっているように感じています。
★参考記事★
🔷そもそも経済とは?
経済学の本質と専門化のジレンマ
「ミクロ経済学」も「マクロ経済学」も「経済学」である以上は「経済活動」を説明するものでなければなりません。「消費活動と生産活動が織りなす人間の活動」が「経済の本質」です。過去の偉大な学者が考え、見抜いた「経済の本質」を忘れてはなりません。最近の大学では「ミクロ経済学の先生」と「マクロ経済学の先生」が別々にいるようです。専門的に学べることは喜ばしいことですが、専門性が強くなり過ぎて、総論に弱くなっているように思います。
ミクロ分析とマクロ分析の整理
「ミクロ経済学はミクロ分析」「マクロ経済学はマクロ分析」と割り切ればスッキリします。先ほど昔の書籍タイトルを紹介しましたが、「ミクロ分析=価格理論」「マクロ分析=所得理論」とすればわかりやすくなります。価格を分析対象とする「ミクロ分析」、所得を分析対象とする「マクロ分析」としましょう。実は「価格と所得」が消費活動と生産活動をつなぐものであり「経済活動の本質」を理解するための重要キーワードなのです。
★参考記事★
🔷ミクロとマクロ(経済分析の着眼点)
ミクロ視点とマクロ視点の相互補完
「ミクロの視点」では個々の家計・企業が財・サービスの「価格」を見ながら合理的に行動します。家計は企業で働いて稼いだ所得を支出して生活に必要な財・サービスを購入します。企業は家計に財・サービスを販売して所得を得ることで生産活動を継続します。個々の取引は「点」として存在しており家計と企業の合理的行動の結果を示しています。経済活動は一度限りのものではなく永久に繰り返されるものです。経済活動が継続的に行われるためには社会全体で稼いだ「所得」がどのように循環しているかという「マクロの視点」が必要になります。
価格と所得が織りなす経済活動
経済主体(家計・企業)は「価格と所得」を見ながら行動します。人々は日常生活の中でミクロ的な判断とマクロ的な判断を同時に行っています。中島みゆきさんの名曲「糸」に例えるなら「縦の糸は価格」「横の糸は所得」「織りなす布は経済活動」とまとめることができます。「消費活動と生産活動が織りなす人間の活動」を「価格と所得」が調整役を果たすのです。経済学は価格理論と所得理論から成り立っています。本質を理解するためには「価格理論」「所得理論」という視点で、具体的な経済現象の分析を行うためには「ミクロ分析」「マクロ分析」という視点でとらえます。
★参考記事★
🔷物価とは?
🔷価格と収入の違いについて
経済分析と学習の第一歩
経済分析には数学や統計学を使います。数学や統計学は分析道具でありその操作について慣れる必要があります。使っているうちに「経済学物語」の本質が見えてくるでしょう。まずは分析道具の使い方を覚えるところから始めましょう。その積み重ねから「本質を理解したうえで操作する」という意識を持つことができるようになるでしょう。
★参考記事★
🔷経済学と数学の関係について
執筆者プロフィール
S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。
長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。