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「経験」と「失敗」を隔てるものとは?

前回の最後で「『反・手助け』の方向へ向かわれる親御さんが少なくない」と書きました。
“お子さんが本来自分で取り組むべき何かを、親御さんが代わりに行ってしまう” ケースがそれにあたります。

それは例えば進路選択といった「大きな」決定から、日々の生活のあれこれといった小さな行動までさまざまなシーンが考えられますが、要は “決定権を奪って” しまっている状況が実に多く見られるのです。

「わかってない」から、「何もやらない」から、「ちゃんとできない」から、知識も経験も豊富で正しい判断が可能な私(たち)が決めた/やった方がいい――そこまで明示的に認識しているかどうかは別として、そのような考えを面談やお電話で示される親御さんは決して少なくありません。

それが「わが子かわいさ」から生まれる行動であることは重々承知です。ただ、そうした “代考・代行” は、(中長期的に見れば)決してお子さんの為になる、力になるサポートとはなりません。

そうではなく、親御さんだからこそ可能な「 “適切な” 手助け」とは――

あれこれの選択/決定をよりよく行う為の “環境整備”

です。

これは主に2点、


何があっても大丈夫、しっかり受け止めてくれる、といった “親御さん=セーフティネット” という感覚をお子さんがもてる様な接し方/コミュニケーションを意識すること


お子さんが独力ではアクセスし難い情報や行動について、示唆/ヒントを与えること

です。

以下でそれぞれ少しずつ、説明させてください。

まず①について。

「うちの親、結果しか見ないんで…」と生徒さんがこぼすシーンをしばしば目にします。
そういった場合、『今から頑張ってもどうせいい点取れないし、またガミガミ言われるだけだし…』といった “努力することへの敷居” が高くなってしまっている訳です。

教育熱心な親御さんなら恐らく、「ほめるべきは “出来” や “才能” ではない」といった文言を目にされたことがあるのではないでしょうか。

それは要するに「悪い結果」への恐怖心、およびそこから生じるあれこれの「負の連鎖」を容易に招き入れてしまうからですが、対して「努力をこそほめるべし」といった言葉もよく目に耳にされるのではないかと思います。

その理由は、先ほど述べた “努力することへの敷居” が下がるからです。

頑張ったことそのものを評価してもらえる、と感じられれば、結果どうこうへの不安に苛まれず『とにかくやってみよう』と行動に移しやすくなります(これが前回お話しした “ベースの安心感” に繋がります)。

そして、その努力した何かがたとえ望んだ成果に繋がらなかったとしても、それに対して責めたり呆れたりせず、常に応援してくれる親御さんがそばにいれば、その後も挑戦を続ける意欲が消えることはないでしょう。

つぎに、②について。

“最も” 重要なのは、お子さんに「自分で考えさせ、選ばせる」ことです。

たとえ親御さんご自身は『そうしない方がいいと思うけど…』と感じる選択でも、お子さんがちゃんと考えて、納得して行う決定であれば応援してあげてほしいと思います。

そしてもし、お子さんが自分で決めた道を進む中で何かにつまづき、身動きがとれなくなってしまう時は――例えばこんなのもあるよ、と事態の打開に繋がる(かもしれない)何かをそっと紹介する、そんなサポートが好ましいと感じます。

ただそれはあくまで「示唆/ヒント」にとどめるべきもので、“活用するもしないも自由” というオープンさが肝心です。

その理由は、親御さんにとってはついつい “代考・代行” へと向かってしまいがちな場面だから⋯というだけではありません。

最大の理由は、お子さんが“自分で決めた” と、もっと言えば “自分の手柄” だと感じられることが最も重要だからです。

親御さんがそうした「 “適切な” 手助け」を行えるかどうかは、“「失敗」の恐怖から身を遠ざける” ことができるかどうかにかかっていると、長年の経験から感じています。

お子さんが自分で考え、自分で決めた何かが「失敗」に終わる可能性はもちろんあります。

ただ、その1回の「失敗」が命にかかわるものである可能性は限りなく低いはずです。

つまり、その1回の「失敗」、つまり “その時求めた何かが得られなかった” という経験そのものは、実はまだ失敗ではないのです。

それはシンプルに「経験」です。

その経験をどう捉え、どう次に活かすか――この過程を経て初めて、その経験に「名付け」のタイミングが訪れます。

それがただ悔やむだけの、目をそむけるべき対象として固定されてしまった時、それは「失敗」となります。

対して、それがそこから学びを得る資源として活用された時、それは “糧” となります。

そして、そうしたトライアル&エラーこそが、前回お話しした “自己信頼” を上げていくために “必要不可欠” と言えるものなのです。

「子を思う親の気持ち」として、常に幸せな、満ち足りた側にいてほしいと願うのは親心として当然です。

ただ、永遠にその側にだけいられる人間は恐らくこの世に1人たりともいないでしょう。

「失敗させない」マインドではなく、「失敗を恐れない、何かがうまくいかなかった経験を結果として『失敗』にしないメンタリティを育てる」マインドでお子さんに接することで、真に有意義な “学び” が叶う可能性は格段に上がると考えています。

そして、そうしたすべてを可能にする、最重要事項といえるのが、“(お子さんの力を)信じる” ことです。

お子さんの力を、お子さんの「失敗(と通常見なされてしまう経験)」を、常に成長し続けるものと信じること

不安に負け、親御さん自身の “欲” から介入してしまわないこと。

(親御さんが)望んだ結果に繋がらなかったとしても、お子さんが自ら選択・行動したプロセスそのものを受けとめ、しっかり評価すること。

「こんなに何もしない、何もできないのにどう信じろと?」そんな親御さんの声も聞こえてきますが、「だからこそ、です」が私の答えです。

そもそも、当然視しているもの、疑問を感じない対象について、わざわざ “信じる” というアクションは起こりません。

不安要素/不確定なものがあるがゆえに、“信じる” という跳躍が必要なのです。

何もしない、できない。

だから信じられない。

だから “代考” し、介入し、時には “代行” もする。

結果、お子さんご自身は何らトライアル&エラーの、つまり成長の機会を得られぬまま、「しない、できない」世界にとどまるほかなくなる――これが「最悪のループ」です。

それを断ち切るためにこそ、“信じる” ことに意味がある。

そう考えています。

…今回もだいぶ長々書いてしまいました。

次回が最終回となりますが、最後は簡潔に、ここまでご紹介してきた “コミュニケーションの仕方を見直す” 上で重要なあれこれを「4つのポイント」にまとめておこうと考えています。


北田泰仁
究進塾英語講師。大学卒業から個別指導に特化して複数の塾で経験を積みました。コミュニケーション力が高く、フランクで接しやすいタイプです。そして何より、当塾で随一の「熱さ」が特徴で、本気で「伸ばそう」とする情熱を持つ講師です。英語にとどまらず、生徒さんの学習姿勢や、その先の人生を考えた本質的なサポートをする点でも頼りにされています。


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