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貝殻から金属貨幣へ
「貨幣」は「物々交換の仲介役」として貝殻から派生したといわれています。しかし、貝殻は耐久性に乏しく、人々の感覚として欠けたものや割れたものは価値が低いと考えてしまいます。このような事情により、次に「金属貨幣」が誕生します。金属として金、銀、銅などが採用され、金を中心とする貨幣制度を「金本位制」、銀を中心とする貨幣制度を「銀本位制」とよびます。金属貨幣は耐久性に加えて、それ自体が「価値を持つ商品」であり、誰もが欲しがる存在となりました。
金本位制とグレシャムの法則
「金本位制」では「金の量」で「交換される商品の価値」を表します。金が「価値尺度」として機能します。価値が高い商品を手に入れるためには多くの金(貨幣)を支払う必要があります。「多くの金(貨幣)を手放す」ということは「値段が高い商品を買う」ことを意味しています。このように「金」は「交換手段」と「価値尺度」という二つの機能を持つようになりました。
ところが、いつの時代にも悪人が存在し、純金でない「偽金(にせがね)」を作る者が現れます。こうなると金が「価値尺度」として機能しなくなります。16世紀のイギリス国王の財政顧問であったグレシャムは「悪貨は良貨を駆逐(くちく)する」という言葉を残しています。これを「グレシャムの法則」といいます。純金と偽金を見た目で判断できなければ、つまり偽金(悪貨)が通用するならば、純金(良貨)を使う人がいなくなる(駆逐する)という意味です。
兌換紙幣と金本位制のジレンマ
このような背景をもとに、直接「金」を使わずに、「金の価値を保証する紙幣(兌換(だかん)紙幣)」が流通するようになりました。「兌換紙幣」は金の保証を必要とします。したがって、金の存在量を超えて紙幣を作ることができません。また、金脈の発見により金の価値が低下し、貨幣価値を低下させます。「豊富に存在するものは価値が下がる」という経済法則が貫かれています。
① 金の量を超えて紙幣を作れないならば経済取引が拡大しない。
② 金の採掘量が増えれば価値が下がる。
①と②は互いに矛盾するため「金本位制のジレンマ」といいます。
国家による信用と不換紙幣
貨幣は信用に基づくことで成立します。「金本位制のジレンマ」により「金に代わる信用」が必要になります。それは「国家による信用」です。もはや金との関係を断ち切って国家が紙幣に信用を与えます。このようにして発行される紙幣を「不換紙幣」といい、このような貨幣システムを「管理通貨制度」といいます。
「管理通貨制度」は各国や地域の通貨(円、ドル、ユーロなど)を管理する「中央銀行」によって運営されます。たとえば、1000円札は物価が一定ならば、1000円分の買い物を可能にするということを保証しています。これを1000円札の「名目価値(約束された目に見える価値)」といいます。仮に物価が上昇すれば、1000円札1枚でこれまでと同じ買い物ができなくなります。1000円の「実質価値(購買力/購入量)」が低下することを意味します。
不換紙幣の登場により紙幣が金のような価値物から切り離されて、中央銀行の判断(裁量)で発行されるようになりました。不換紙幣は経済取引の拡大を可能にする反面、紙幣の増発による貨幣価値の低下による「インフレーション(通貨膨張)」の危険性を持っています。「豊富に存在するもの(紙幣増発)は価値が下がる」という経済法則はインフレーションの説明にも当てはまっているのです。
貨幣価値の低下は同じ商品を購入するためにより多くの貨幣を必要とします。つまり、商品価格が値上がりすることになるのです。
執筆者プロフィール
S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。
長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。