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本日申し上げることは、特段面白くもなければ、様々な環境で言い古されてきたことでもあります。
ただ、私よりもICT機器に習熟し、私の高校生時代などよりもずっとポテンシャルをもっているはずの生徒様を見ていて、時間の使い方の工夫はもう一つかなぁ、と感じることが多いのです。
大分昔のことですが、塾業界とまるで縁のない企業で働いていたとき、(今では「ずいぶん無駄なことをしていたなぁ」ということがわかるのですが)業務のすべてを数値化し、KPI(重要業績評価指標)として管理するという取り組みがありました。
例えば、
「〇文字のデータを入力するのに●分」であるとか、
「受けた電話に●分かけて対応した」とか、
「契約書の押印に1件あたり●分かかった」とか…
全てを数値化し、すべてを記録するということをその部署の全員がやっていて、かつ入力する数値がどんどん細分化されていくので、だんだんと「数値入力するのにかかる時間」が増えていくという、本末転倒な事態になっていきました。
なぜなら目的はあくまでも「一人一人の処理能力を測る」ということで、「数値(データ)入力」は手段にすぎなかったのが、目的と手段とが転倒してしまったからですね…。中には、その数値を入力するのにサービス残業している人もいました。
その企業では、もちろん(それでも半年ぐらいやってましたが)数値を取るのをやめました。
すると、それを逐一チェックしていた管理職の人間も安心していましたとさ…。
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さて、今回は何も生徒の皆さんに「やることなすこと数値データとして記録しなさい」というつもりはありません。はっきり言ってそれは上記のように「無意味」なことになるからです。
そうではなく、特に「苦手科目」としているもののなかに、
■「時間がかかってしまう」というものがあるとき
■「試験時間が足りない」という課題を抱えているとき
こうしたときは、普段の勉強の中で「時間をはかってみる」ということを取り入れるべきだと思います。
例えば、数学の小問(主に計算や、知識の確認をする問題)に時間がかかりすぎていて、より配点の比重が高い問題に時間が割けていない。
あるいは、英語の文法・語法問題(共通テストでは姿を消しましたが)に時間がかかってしまったり、長文問題を最後まで解ききれなかったり…
何かしら「時間が足りていない」と感じるものこそ、まずは「細分化」し、「どの単元の知識が不足しているか」と特定していくのはむろん、重要なことです。
それと同時に、例えば数学の小問が毎年課されるような大学の過去問・共通テスト英語の試験の6問目など、まずは「どういう問題を早くこなせるようになりたいか」を決めていきましょう。
その「問題」を、数年分並べてしまい、毎日「時間をはかる」のです。そして、時間をおいて解き直しします。
しかし、問題を解く時に気を付けて頂きたいのは、「制限時間●分」という時間管理をするということではない、ということです。
そうではなく、「問題●問解くのに●分かかった」という時間を計るようにしてください。何より大切なのはタイムトライアルではなく、現状を知り、どういう課題が見えてくるか、ということですから。
「どのぐらいの分量をやればいいのかわからない」「どういう問題をやればいいのかわからない」という場合もあると思います。まずは学校の先生や、塾の先生に聞いてみるところからスタートしましょう。
そして、時間を計るのと同じように大事なのは「記録しておく」ということです。
アプリなどに記録してもいいですし、ノートなどでもいいのです。そうしておくと「以前は15分かかっていたのに、今では8分でできている」など、自らの成長を確認することもでき、ポジティブになることもできます。
とくに「計算問題」などは、「解説を読めばわかるのに、つい『ケアレスミスをしてしまった』とか、『時間がかかり過ぎたから、次からは頑張る』」など、反省になっていない反省をして終わり、という生徒様も多いです。
しかし、「なぜケアレスミスをしたか」「なぜ時間がかかり過ぎたか」をしっかり分析しなければ、「解法が思いつかない問題に時間をかけすぎ、試験時間を浪費しがち」、あるいは「スピードはまずまずだが正確さに欠けている」という「目に見えない弱点」に気が付きにくいものです。こうしたことは実は「得意科目」でも起こっていることがありますから、今後は必ず「時間を計る」ということを心がけてほしいものです。
粕川優治 究進塾副代表。文系大学受験、および日大内部進学コースの責任者をしております。 |