インタビュー
INTERVIEW
イ様合格インタビュー3
東京大学大学院情報理工学研究科数理情報学専攻に合格されたイさんと、担当講師の久松真人講師に究進塾代表の並木がインタビューしました。
イさんの印象
並:では、次は久松先生に質問させていただければと思います。先生から見て、イさんがどのような感じだったか伺いたいです。
久:そうですね、今までの態度でなんとなく分かると思うのですが、自分で目的意識を持ってしっかり勉強する方だったので、その辺についてはもう本当に、手のかからないという言い方をしたら失礼ですけれど(笑)、ちゃんとやってくれる生徒さんだったので、非常に良かったかなと思っています。
あとは、教えている時の飲み込みが早かった印象があります。結局それが一番の要因なんじゃないかと思いますね。人それぞれ得意不得意があって、いっぱい教えてもいつまでたってもできない人はできなかったりするんですけど、そういう感じではなかったです。
イさんは、例えば最初の授業の時に、これとこれとこれとこれをやらなきゃいけないと(課題を理解していた)。スケジュールから逆算すると、線形代数と微分積分はとりあえず1か月ぐらいで終わらせないといけないというような雰囲気でした。お仕事を辞められていたということもあって、1日に勉強時間はたくさん取れますっていう風におっしゃっていたので、さっきの話をしたんですね、1回90分授業が通年あったとして30回、45時間、2科目90時間。理論上では90時間で勉強が終わるという(笑)。
もちろん、消化の時間が必要なので(実際は)1年かかるんですが。(理論上は)1日10時間勉強すれば9日で終わると計算しました。
並:あー、なるほどなるほど。それだと解決の糸口が少し見えますね。
じゃあ、結構速いペースで、例えば1か月で線形代数を終わらせるみたいなことをやっていたんでしょうか?
久:そうですね。結局、全部自分が教えるってわけにはいかないですよね。ほとんどの部分は自習に負うしかない。テキストの中で分からないところとかあったら質問してほしいというスタンスでした。授業中は、今週どこまで勉強したかっていうのの確認をして、じゃあそこまでのところでわからないところとか、聞きたいこととかあったら説明するよっていう話で。
で、まあ大丈夫ということであれば、「じゃあここまで勉強したから、じゃあ次のところはこういうことが出てくるので、でここのところの勘所と言うか、少し難しいところも見てみよう」という感じで。
数学のテキストって結構「定義、定義、証明」「定義、定義、証明」みたいなのが続いてるんですけれども、最近「もうちょっと優しく説明しよう」という感じのテキストが増えてはきたんです。数学者の人って「説明がシンプルな方がかっこいい」と思っているようなところがあるっぽくて(笑)。そうすると結構説明の大事なところが省略されてたり省かれてたり、結構重要なやつも問題が「ここの部分を証明しなさい」みたいになってて、さらには解答が載っていなかったりするんですね。そういった勘所になりそうなところは「こういうことだから」と伝えることと、まあ細かいところはきつく勉強してもらうとして、概念とその概念の意義と言うか、こういうことがやりたくてこういうことになっているはずなんだ、ということを説明をするというのが多かったかなと。
並:教材は英語のものがメインなんですか?
イ:そうですね、大体英語の教材を使っていました。
並:それを久松先生に見せて?
久:実は見たことないんです(笑)
並:じゃあもうポイントだけイさんがまとめてきて、「これがわからないんだけど」って伝えていたってことですね。
イ:はい。
並:なるほど。
久:大体、線形代数、流れはどのテキストでも一緒なので。ここまできたら次これでしょ、みたいな。
並:なるほど、じゃあ具体的なテキストはほとんど見ずに進めていた?
久:そうです。
教える時に気を付けたこと
並:それはそれですごいですね。あと、教えるときに気を付けた点や工夫した点というのはありますか?
久:そうですね。やっぱりその、気持ちの部分が見えるように、というところです。定義とか定理とかって、内容が伝わりにくかったりするんですよね。頑張って勉強して、だんだん自分の中で消化してくると「あ、こういう事が言いたくて、でこういう定義になっているんだな」というのはあるんですけど。
それ(定義等を自分の中で消化できるまで)を待っている時間が無かったんですね。無いので、そうすると、本来自分で勉強して気付くするのがベストでしょうけど、事前の策として「こういう定義になっている理由はこうですよ。こういう理由があって背景としてこんなことがあって、で、だからこんな風な定義になっている。ちょっとわかりづらいんだけども、こういう部分も、どっかこういう具体例とかあって、そこから抽出してきたのがこれです。」というような、本に書いていないことを補う、というところをメインに、というのは気を付けていましたね。詳しいところについては多分本にも書いてあると思うので、本じゃないところを。
並:背景などを伝えるということですね。
久:授業を受けに来てくれているので、本を読むだけで何とかならない部分のところを説明しようと思っていました。
並:久松先生、他に何かあればどうぞ。
久:そうですね。ちゃんと勉強していただいて、本当に良かったな、結果も出て本当によくやったな、と思います。教えている側からしても、上手くいったことは喜ばしいことです。数理情報を教えていて、自分にとっても勉強になったし良い経験ができたなと思います。ただこっから先(入学後)は、本当にお勉強なんで、そこは頑張ってほしいと思います。
イ:はい。
並:ありがとうございます。イさんからは何かありますか。
イ:今年はコロナでオンライン試験に全部代わったんですけど、やっぱオンライン試験だと不安要素がすごい多くて。学校からは環境テストとか色々要請されるんですよ。で、家でやると、試験って周りに何もない綺麗な環境でやらないといけないんですけど、一人暮らしの部屋だと、そういう本とかテキストとかを仕舞うというのはかなり難しいんですね。だから場所が必要だったんですけど、でそれに対してご相談したところ、ちょうどこのお部屋を貸してくださることになって。それがかなり助かりました。(借りた部屋で)接続テストもやらせてもらいまして、実際この部屋でこの壁を背景に、テストや面接をし合格に繋がりました。こういう特殊な状況で、そういうサポートを頂いたのはすごく有難かったです。
並:それは良かったです。
イ:こちらこそ。受験の度に場所を毎回取るとすると、貸会議室を借りることになってお金がかなりかかるんです。でもここをお貸しいただいたのはかなり助かった点です。
並:情報系の科目は前職でご専門だったんですか?
イ:実務では一応経験がありますが…。学習理論とかアルゴリズムとか、そういう専門の先生がいるので、多分入ってからより専門的に学習していくんだと思います。今も一応、入学までにまずコーディングは出来るようにしとこうと思っています。人工知能に興味があるので、それを自分で消化してから入ろうと思ってて。そこは独学でやってます。
並:本日は貴重なお時間ありがとうございました。
イ:ありがとうございました。
- Part.1 大学院受験全体のスケジュールについて
- Part.2 コロナ禍での研究室訪問・面接・志望動機について
- Part.3 講師から見たイさんの印象・指導時のポイントについて