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行きたい大学・学部・学科がはっきり決まっていて、そこに向けて一生懸命邁進している生徒さんの場合、合格ラインまで開きがあったとしてもそれほど大きな問題はありません。

ただ、その目標設定が非常にぶれている生徒さんに会うことがあります。具体的には、最初は「医学部」と言っていたのに「理工学部」になり、それが難しいとなると、「文学部」、最終的には「GMARCHレベルであればどの大学でもいいので入れる学部」と数カ月ごとに方向性がまるで変ってしまう生徒さん。そして、「なぜそこに行きたいの?」と聞くと「就職率がよいと聞いたから」。こうなると迷走しているとしか言えません。

こういった生徒さんは保護者様もかなり迷っているケースが多いです。わが子の将来をとても心配しているので、何とか行ける大学を探すのですが、その価値観が「少しでも名の知れた大学に行ってほしい」←→「医療系であれば仕事が安定しているかも」といった形で、大きなブレがあります。

もちろんこのようなケースでも、その子に器用さがあって、実際にGMARCHレベルまで持っていければ問題はないのですが、実際には、それには程遠く、名前が知られていない大学の中で、少しでも就職率がよい大学、よい教育システムを整備した大学を探すというケースが度々あります。

このような場面では「そこまでして大学に行く必要が本当にあるのか?」という疑問がふつふつと湧いてきます。立場上、困っていらっしゃる保護者様に対して、なかなかはっきり言いにくい雰囲気はあるのですが、それでも思わず「そこまでして大学行かなくてもいいんじゃないですか」と言ってしまったことは一度や二度ならずあります。

大学は本来何かしら勉強したい学問があって行くべきところです。それが本来の大学の意義だと思います。ただ、もちろんそれ以外の動機があってもよいと思います。というか、むしろ、それ以外の動機の人が多いのも事実です。「専門性を身につけて、社会で活躍できる人になりたい」「よい就職につなげたい」「稼げるようになりたい」「ライバルの彼(彼女)よりも勝ちたい」「モテたい」など。私が高校生のときも決して純粋な動機だけで目指したわけでもありません。「なんかわからんけど、東大に行けばすごいやつに出会えるかも」というのは大きなモチベーションでした。

ただ、現在つくづく感じるのは「大学に行く目的もモチベーションもないのであれば、行く必要は全くない」ということです。それでは、何をすればよいのか、というと、まず働いてみるとよい、と思います。就職するのが難しければ、アルバイトでもよいです。その中で、もし何かの壁を感じて、スキルや知識を身に着けたいと思えば、専門学校なり大学なりに行けばよいですし、仕事が楽しければそのまま仕事に打ち込めばよいと思います。

「皆から数年遅れて大学に入ったら友達ができないんじゃ・・・」と不安に思うかもしれませんが、そういった脅迫観念で大学に行くべきではありません。それよりかは数年間、社会経験(アルバイトでも)を積んでから大学に入った方がよほど経験値、人間的魅力も上がるので、友達ができないかも・・・といった心配をする必要もなくなるでしょう。

ちなみに、起業家としてニット編み機の世界トップシェア企業、島精機を創業したカリスマ経営者の島正博まさひろ氏は、8歳から工場で働きはじめ、16歳のときに手袋編み機の特許を取得した、という伝説的なエピソードがありますが、「カンブリア宮殿」(テレビ東京)に出演した際に「まず働け」という名言を残しています。

保護者様にぜひお伝えしたいのは、明らかに勉強に向かう姿勢でないお子様を、無理やりどこかの大学、またはそのための塾・予備校にねじ込むのではなく、逆に「それじゃあ勉強しなくていいから、自分でどこまで稼げるかチャレンジしてみなさい」というスタンスの方が、長期的に見て確実にお子様のためになる、と私は思います。

並木陽児

究進塾代表。最近ハマっていることは、川遊び(ガサガサ)と魚の飼育です。

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