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自分らしさに悩むあなたへ

みなさんは、「自分らしい」と感じられていますか。
高校2年生のころの私は、「自分らしいって、いったい何だろう」とよく考えていました。

周りを見ると、将来やりたいことがはっきり決まっていたり、行きたい大学まで具体的に考えていたりする人が多く、正直とても驚いた記憶があります。
自分は、やりたいことさえまだ分かっていないのに、みんなはどこでそんなことを教えてもらってきたのだろう——そんなふうに、少し後ろの方から眺めているような気持ちでした。

実際に私が進路をはっきりと決められたのは、高校3年生の夏を過ぎてからです。
それまでは、「よく分からないまま、それでも一生懸命に“自分らしさ”を探していた」のだと思います。

もしかしたら、このブログを読んでいる方の中にも、同じような悩みを抱えている人がいるかもしれませんね。
今日は、そんな「自分らしさ」について、心理学の視点から少しお話ししてみたいと思います。

心理学者のエリクソンは、「心理社会的発達段階理論」という理論を提唱しました。
簡単に言うと、人生には年齢ごとに直面しやすい“壁”があり、それにどう向き合い、どう折り合いをつけていくかが大切だという考え方です。

中学生から高校生くらいの時期に直面しやすい壁は、
「アイデンティティの確立 VS 同一性拡散」
と言われています。

これは、「自分は何者なのか」と悩む時期であり、同時に、さまざまな体験を通して「自分は自分でいい」と理解していく大切な時期でもあります。
もし今、「自分らしさが分からない」と悩んでいるのであれば、それは決して間違いではありません。むしろ、とても自然で大切なことなのです。

そして、「自分は自分である」と感じられるようになることで、
「この場所にいてもいい」「ここに所属していていい」
という安心感を少しずつ得られるようになります。

では、「自分は何者なのだろう」と思ったとき、どのように悩めばよいのでしょうか。
ここで、悩み方のコツを4つご紹介します。

① 時や場所が変わっても「これが自分らしい」と思える選択を意識する
② 自分がどんな人生を送りたいのか、少し先の未来を想像してみる
③ 他の人から見た自分について、勇気を出して聞いてみる
④ 「ここが自分の居場所だ」と思える場所を探してみる

これらは、エリクソンが言う「どう向き合い、どう折り合いをつけるか」という部分にあたります。
意識してみると、「あれ、これは自分には合っていないかも」と気づくことがあるかもしれません。

自分らしくないと感じるものは、無理に抱え続けなくても大丈夫です。
また、時間が経ってから「自分らしさ」が変わっていくことも、まったく問題ありません。

大切なのは、
自分で悩み、自分で考え、自分で選び取っていくこと。

周りの人にできることは、答えを押し付けることではなく、そっと見守ることなのだと思います。

ちなみに、AIに「アイデンティティとは何か」を聞いてみたところ、
「一生をかけて更新していくOS(基本ソフト)」
という表現に出会いました。とても素敵な言葉ですよね。

人は、成長とともに、環境や経験によって少しずつアップデートされていく存在です。
「今は分からない」という状態も、その途中なのだと思います。

エリクソンの心理社会的発達段階理論では、このように人生を通して、年齢ごとにさまざまな壁があることが示されています。
興味がある方は、ぜひ調べてみてください。生まれてから老いていくまで、人がどのような課題に向き合っていくのかを知ることができます。

お手本通りに生きていけるわけではありませんが、
人生の道のりに迷ったときの「ひとつの手がかり」にはなるかもしれません。
身近な人や、お父さん・お母さんと一緒に読んでみるのも、きっと面白いと思いますよ。

【執筆者】犬童

究進塾のカウンセラー兼講師(看護学)
困ったときに話してみたいと思ってもらえたら嬉しいです。
色々なことに挑戦したりするのが好きなので、ゲームから登山まで多趣味です。


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