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英語はリスニング中心に学べ Part2

―読解スピードを決めるのは「耳の力」だった―

前回の記事 「英語はリスニング中心に学べ Part1」 では、
「リスニングは他の3技能(読む・書く・話す)に転移するから、リスニング中心に学ぶべき」
という話をしました。

「遠回りでは?」という疑問に先に答える

入試でリスニングを使わないなら遠回りじゃない?

読解だけ伸ばしたいなら、リーディングだけやった方が近道では?

結論から言うと、リーディングを伸ばしたい人にこそリスニングが必須です。
ここでは、リスニングが読解スピードを劇的に上げる理由を、第二言語習得論の知見をもとに解説します。

受験生の最大の悩み:「時間が足りない」

共通テストや難関大の問題は長文化が進み、速く・正確に読む力が欠かせません。

  • 「英語長文、最後まで解ききれない…」
  • 「読むのが遅くて、内容理解以前の問題だ…」

ネット上には「精読派」「多読派」「音読派」など様々な意見があります。どれも有効ですが、
本当に読解スピードを上げたいなら、その前にすべき学習法があります。それがリスニングです。

読解とリスニングは「脳内」でつながっている

研究によれば、人は英文を読むとき、まず頭の中でに変換してから意味を理解します。
例:I am a student. を読むと、(アイ アム ア スチューデント)と無意識に音を再現し、その後に意味を取っています。

つまり読解の処理は、文字 → 音声 → 意味 の順で進むため、読解スピードを上げるには次の2点を鍛える必要があります。

  1. 文字→音声 の変換を速くする
  2. 音声→意味 の理解を速くする

この2つを同時かつ効率的に鍛えられるのが、リスニング学習です。

読解スピードを上げる実践法(今日からできる)
  • 聞き読み:音声を聞きながらテキストを黙読。

    音と文字を同期させ、文字→音声の変換を自動化。
  • パラレルリーディング:音声を聞きつつ、すぐ後を追うように音読。

    音声→意味の処理速度とプロソディ(英語の抑揚)を体得。
  • 音読(仕上げ):自力で声に出して読む。

    ただし最初は自己流発音が固まらないよう、上の2つで「正しい音」を入れてから。

最初から自己流で音読のみを行うと、誤った音が固定化するおそれがあります。
まずは「聞き読み」や「パラレルリーディング」で正しい音をインプットしてから段階的に進めましょう。

まとめ:読む力は「耳」から伸ばすのが最短ルート

読解の本質は音声処理にあります。だからこそ、リーディングを速く・正確にしたいなら、リスニングを優先するのが近道です。

次回 「英語はリスニング中心に学べ Part3」 では、リスニングを日常学習に組み込む
具体的なルーティンを紹介します。

参考文献
  • 門田修平(2015)『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』コスモピア.
執筆者プロフィール


細田朗
当塾英語講師。早稲田大学の教育学部英語英文学科で第二言語習得論を学びながら、塾講師としての経験を積む。音読による学習のプロで、2023年にはわずか半年間の学習で韓国語能力試験(TOPIK)の最上級である6級に合格。2024年度入試では東京大学文科三類に合格し、現在も塾講師をしながら学生生活も送っている。


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