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成年後見制度の基本 ― 試験に出るポイントを押さえよう
こんにちは。今回は民法の中でも試験で頻出の成年後見制度を整理してみます。特に、成年後見開始の審判・成年被後見人の行為能力・成年後見人の権限の3つの観点から、司法書士試験受験生が押さえるべきポイントをまとめます。
1.成年後見開始の審判
まず入口から。成年後見制度は、事理を弁識する能力を欠く常況にある人を保護する仕組みです。そのスタートとなるのが「成年後見開始の審判」。
根拠条文は民法7条。家庭裁判所は、本人・配偶者・4親等内の親族・検察官などの申立てにより、成年後見開始の審判をすることができます。
ここで重要なのは「常況にある」という点。一時的な判断力の低下では足りず、日常生活全般において判断能力が欠けている状態を指します。試験対策としては、申立権者をしっかり覚えておきましょう。
2.成年被後見人の行為能力
成年後見開始の審判が確定すると、対象者は成年被後見人と呼ばれます。ここで一番のポイントは行為能力の制限です。
民法9条によれば、成年被後見人がした法律行為は取り消すことができるとされています。ただし例外もあり、
- 日用品の購入など日常生活に関する行為は有効(民法9条ただし書)
択一・記述の双方でよく出題される論点です。また、取消権は被後見人自身と成年後見人の双方に認められていることも押さえておきましょう。
3.成年後見人の権限
成年後見人の権限も試験頻出テーマです。基本は、
- 包括的代理権
- 取消権・追認権(民法859条、120条以下)
成年後見人は被後見人に代わって財産に関する法律行為を行うことができます。ただし婚姻・養子縁組・遺言などの身分行為は代理できません。
成年後見人は財産に関する包括代理権を持つため、制限行為能力者制度の中でも最も広い保護が与えられています。試験では「保佐人・補助人」との比較問題が出やすいので、成年後見はフルセット(包括代理権+取消権・追認権)と覚えておくと整理しやすいです。
まとめ
成年後見制度を効率よく学ぶには、次の流れで押さえましょう。
- 開始審判:申立権者は誰か?
- 被後見人の行為能力:原則取り消し可能。ただし日常行為など有効な場合も。
- 後見人の権限:包括代理権+取消権・追認権。ただし身分行為は代理不可。
試験では特に、保佐・補助との横の比較がカギです。「この制度ではできるが、別の制度ではできない」といったひっかけ問題に対応できるよう、制度ごとの理解を深めましょう。