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未経験でも行政書士として開業できる?~合格者からのよくあるご相談にお答えします~
「合格したのですが、開業となると不安で……」
そんな声をこれまで何度も受講生の方から伺ってきました。
今回は、そうした不安の中でも特に多い「未経験で開業できるか?」というテーマについて、実体験を交えてお話しします。
■ 結論:未経験でも開業は可能です!
私自身、行政書士事務所での勤務経験がないまま、いわゆる“ゼロから”開業しました。
今から20年以上前の話ですが、当時も不安はありました。しかし、初年度には開業にかかった費用を回収でき、着実に事務所経営を軌道に乗せることができました。
ただし、未経験での開業には「乗り越えるべき壁」があるのも事実です。
よくある質問をもとに、そのポイントを解説していきます。
Q1. 試験に合格しただけで仕事はできるのでしょうか?
正直に申し上げると、「ノー」です。
たとえば行政書士の代表的業務である「建設業許可申請」。これは、試験に出るような基礎知識だけで対応できるものではありません。行政庁が発行している「手引き」を見れば一部は対応できますが、実務はそれだけでは済まない“イレギュラーな案件”も多くあります。
そのため、書籍やネットで調査し、最終的には行政庁とやり取りすることも必要になります。
※ネットの情報には誤りもあるため、裏付けを取る慎重さも求められます。
行政書士試験で試されているのは、「法律知識」だけでなく「基礎力・応用力」です。
試験に合格したということは、実務知識を“これから身につけていける力”があるという証拠。
しかし、それには合格後も相当な勉強が必要であることも事実です。
「試験勉強で燃え尽きた」「もう勉強はこりごり」
そう感じている方にとっては、開業はおすすめできません。
私自身も、開業後に多くの時間をかけて実務の勉強を続けました。
※実務知識の身につけ方については、別の記事で詳しくご紹介します。
Q2. 開業したらすぐに依頼は来るのでしょうか?
こちらの質問には、はっきりこうお答えします。
「開業しただけでは、依頼は来ません」
依頼を得るために必要なのは、
「自分の存在を、必要とする人に知ってもらうこと」
これに尽きます。
私が開業した当時は、年賀状での近況報告がまだ効果的でした。
その後、ホームページやブログが主流に。現在はSNSや動画、Googleビジネスプロフィールなども活用されています。
ここで重要なのが、「誰に、どんな依頼をしてほしいか」を明確にすること。
たとえば相続・後見業務を扱いたいなら、若い世代をターゲットにしても効果は薄いでしょう。
広告・営業は絞り込んで初めて成果が出ます。
■ 私のケース:集客には時間がかかる
私は開業当初、
総合的な行政書士サイト
特定分野に特化した専門サイト
の2本柱で集客に取り組みました。
実際に最初の依頼が来るまで約3か月。
安定して仕事が入るようになったのは2年目以降です。
開業から成果が出るまでには、最低でも3か月〜半年は覚悟が必要だと思います。
ただし、今は発信手段が多様化しており、SNS等で短期間に依頼につなげる人もいます。
ご自身に合った方法を見つけていただければと思います。
■ まとめ
✅ 未経験でも開業は可能(ただし継続的な勉強は必須)
✅ 試験合格=スタートライン。実務力は別途養成が必要
✅ 集客には戦略が必要。「誰に何を届けたいか」を明確に
✅ 成果が出るまでには時間がかかるのが普通
行政書士としての開業は、確かに簡単ではありません。
けれども、社会人として得た経験や人脈は、必ず武器になります。
「本気で取り組めば、ゼロからでも道は開ける」
それを私は自分の経験から確信しています。
あなたの一歩を、心から応援しています。
【執筆者】
Y(イニシャル表記)
究進塾の行政書士コースの担当講師。
国立大学大学院修士課程修了。
行政書士事務所を運営しながら、大手予備校で法律系国家試験の講師を20年間
担当してきました。法律について大学院で研究もしてきました。
「暗記より理解」が講師としての信条で、条文の理解のためならば、千年以上前
のローマの話もします。「法律の理解に資する方法を探す」ことを趣味としていて、
さまざまな文献に目を通します。蔵書は数百冊におよびます。