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【中学受験】社会科の資料問題、ここが狙われる!
近年の中学入試では、図表・写真・文章資料などを用いた問題の出題比率が大幅に増加しています。特に地理や歴史において、「資料を読み取る力」「背景を考察する力」が重視されており、単なる暗記型の学習では対応が難しくなってきています。
■なぜ資料問題が増えているのか?
図表問題は、基礎知識の範囲であっても高い思考力を要する良問を作ることができるため、中学入試で好まれます。しかもこれは、社会科に限らず理系教科でも必要とされる“情報を読み解く力”であり、今後ますます重要性が高まっていくと考えられます。
■地理:図表をどう読み解くかが勝負
地理では以下のような図表・資料が頻出です:
- 地形図・雨温図
- 都道府県別の面積・人口・農業・工業生産の統計データ
- 農産物の生産順位グラフ
例えば「ぶどうの生産順位」は、1位:山梨、2位:長野、3位:岡山。このデータだけでも、地形(盆地)や気候(瀬戸内式)との関連性を見抜く力が試されます。さらに、これに面積・人口・工業データを組み合わせれば、記述型の複合問題も作成可能であることがわかります。
対策のポイント
- 教科書・塾テキストの図表は必ずチェック
- 『国勢図会』『日本のすがた』などの資料集も活用
■農業と工業の“つながり”を見抜こう
三大工業地帯は、もともと畑作や養蚕が盛んな地域でした。これが機織り機→機械工業→金属工業へと発展し、やがて化学繊維→石油化学工業へと広がっていきました。つまり、農業と工業は独立したものではなく、地形や気候と密接に関係しているのです。
この視点を持つと、数値データが“背景を読み解くヒント”に変わり、資料問題への理解が深まります。
■歴史:人物と出来事のつながりに注目
歴史では、以下のような資料問題が頻出です:
- 肖像画・写真・絵画資料
- 古文書や法令の現代語訳
- 人物と出来事の関係を問うカード問題
たとえば紙幣の肖像に使われている人物と、それに関連する歴史的出来事を結びつけて問われることがあります。人物・出来事・年代をリンクさせて覚えると、年代順の並べ替え問題もスムーズに解けるようになります。
■史料読解のコツ
- キーワードを素早く見つける
- 「誰が・いつ・何をしたか」の視点で整理
■資料問題は「思考の力」を試される
一問一答型の知識だけでは、資料問題には対応できません。なぜなら、異なる角度から問い直されるからです。たとえば:
- 複数の資料を組み合わせて答えを導く
- 一見バラバラなデータの共通点を見抜く
- 時系列に沿って社会現象を分析する
これらはまさに、情報処理力+論理的思考力が問われる問題です。正確に読む力だけでなく、「なぜそうなるのか?」を考える力が求められています。
■「社会は暗記科目」ではない時代へ
中学受験では、どうしても算数・国語・理科を重視しがちです。しかし、社会も“考える力”を問う教科へと進化しています。
そのため、限られた時間の中でも、社会の資料問題に対応するための時間をしっかり確保することが、合格に向けた大きな差になります。
「社会は暗記だけで乗り切れる」時代は終わりました。
いま求められているのは、「読み取る力」「考える力」「つなげる力」です。
資料問題を制する者が、合格を引き寄せます。
佐々木哲
受験指導歴は25年以上。中学受験から東大・医学部受験まで100名以上の合格をサポートしてきました。
「常識を疑う」を信条に、あらたな戦略を研究し、社会が苦手な受験生も合格に導きます。
スーパーマーケットのチラシも立派な教材です。
趣味は早朝ランニングと歴史研究(実は研究書著書あり)。
著書に『東大入試で遊ぶ教養』日本史編・世界史編ほか。