ブログ
BLOG
みなさんは「経済」という言葉からどのようなイメージを持ちますか?
私はこれまで30年以上にわたり、大学生や専門学校生に経済学を教えてきました。講義の最初にこの問いかけをおこなっています。
答えとしてまず一番多いのが、「お金のこと」という回答です。この回答に対して私はいつも、「間違いではないけれども他に違う意見はありませんか?」と問いかけます。しかし、次の回答がなかなかでてきません。しばらくすると「銀行」とか、「日銀」とか、「株取引」などと、やはり「お金」に関する回答ばかりが聞こえてくるのです。
このように、一般的には経済とは、「お金に関するイメージ」が強いようです。しかし、お金は「表に見える現象」でしかなく、その「裏側にあるもの」を見る必要があります。
つまり、「なぜ、お金が必要なのか」ということです。
お金のことを「貨幣」といいます。貨幣の「貨」の字は、「貝殻が化ける」と読めます。かつて中国やアジア諸国では貝殻が貨幣として機能していた時代があったようです。たしかに、貨幣をはじめ、「財産」、「買う」、「貸す」、「貯める」等、お金にかかわる意味を持つ漢字には「貝」を使うものが多いです。
貝殻を探し求める行動の前に何かがありそうです。人間を含む動物にとって、生存のために「食糧を確保すること」が最優先事項です。特に人間の場合は食べるだけでなく、住む場所や衣服も必要です。つまり、「衣食住を確保すること」が生存のための絶対条件なのです。そこで、自給自足には限界があるため、物々交換がおこなわれるようになったと想像できます。物々交換はとても不便ですので、人間の知恵として物々交換の仲介役として貨幣を誕生させたのです。物々交換では自分が欲しいと思っている商品を売ってくれる人を探さなければなりません。さらに、相手が持っている商品を自分と交換する意志がなければ取引が成立しません。貨幣を持っていれば、「商品の価値に見合う金額(貨幣数量)」を支払うことで、取引を成立させることが可能になります。このようにして貨幣が取引の主役に見えるようになりました。だから、経済とはお金というイメージが定着しているのだと思います。
物事の本質を見極めるためには、表面的な現象を「深堀り」していくことが必要です。貨幣の裏側には人々の「生活」があります。生存の絶対条件である、衣食住をおこなうことを「消費活動」といいます。消費するためには働かなければなりません。働いて成果(物、貨幣)を得ることを「生産活動」といいます。消費活動と生産活動は絶えず繰り返されます。【消費→生産→消費→生産……】と無限に循環しながら続きます。このような循環を「経済循環(経済活動)」といいます。むずかしく聞こえますが、「人々の毎日の生活のこと」なのです。「生きるために働く」これこそが経済活動の真の意味なのです。
このように、毎日の生活を学問的に完成させたものが「経済学」です。経済の意味と同時に経済学という学問を少しだけでも身近に感じていただけるとうれしいです。
執筆者プロフィール
Y.S講師
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。
長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。