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こんにちは、究進塾 OB の佐藤慧一です。去年8月に交換留学生として NTU(南洋理工大学)へ渡ってから9か月。もうすぐ帰国の日が近づいて参りました。授業・生活・人間関係ぜんぶひっくるめて、良かったことも苦労したことも包み隠さず記録しておきます。


留学前に立てた3つの目標
 1. 英語力の底上げ – 特にスピーキングとリスニング
 2. 新しい文化に触れる – 多民族・多言語社会のリアルを体感
 3. コネクションづくり – 同世代の “面白い人” とネットワークを作る
半年後に読み返すと「欲張り過ぎたかな…?」と思いますが、少なくとも“挑戦状”を自分へ叩きつけた効果はありました。

最初の1か月──“聞けない・話せない”地獄
なんとか日常の会話はできるものの、授業となると完全に話は別でした、、、一回逃すと文脈での推測も出来ず、どんどん理解が遅れていく。自分の描いていた理想と現実とのギャップでかなりメンタルがやられていきました。

教室へ向かうバスで毎回「行きたくねぇーー」と愚痴るのが朝の日課に…。
 • 聞き慣れないアクセント
 • 3時間ぶっ通しの講義+グループディスカッション
 • 突然指名されても脳内は空白
理解度は体感2割。けれど「単位は可/不可の二択」と開き直り、
 1. 事前にスライドを眺め、出てきそうな単語をメモ
 2. 授業後は隣の席の友人をつかまえて要点を復唱
わからんと言える勇気” と “即復習ルーティン” で沈没だけは回避しました。


[取った中で一番エグかった授業]
Entrepreneurship──<9時間ぶっ通し>の超集中講義
シンガポール式「実践主義」の象徴が、毎週1回・9時間Entrepreneurship
 • 講師は現役ジュエリーブランド創業者
 • 午前〜昼:ケーススタディ:ひたすら先生の実際の経験談を聞きました。これは結構楽しい。
 • 午後:グループで即席ビジネスプランを作成し、それについて話し合う。
 →最後の授業でこれのプレゼンをするというのが最終課題の授業

また、たまにミニゲームもやりました。こっちからすると全然ゲームじゃないですが、、
たとえば採用側と求職者側に分かれ「いかに安く雇うか/高く売り込むか」を競う交渉ゲーム。“聞く・考える・アウトプットする” が一気通貫で、9時間後は脳が湯気を噴いていました。
日本の「聞いてノートに写す」型と真逆で、“話さなければ存在しない” くらいの強制力がある。というか話さないと「こいつなんでいるの?」みたいな空気になります、、、


平日のリアルな1日とコスト感覚
 • 07:30 起床:食堂で朝食(カヤトースト S$2.5)←オススメ!
 • 08:30–12:30 午前講義(午前講義は週2だけ)←朝起きたくないので笑
 • 12:30–14:00 昼食:授業メンバーと学食(S$5–8)
 • 14:00–17:00 午後講義
 • 17:30–19:00 復習 or 街へ遠征:課題を片付けるか、気分転換にMRTで市内へ
 • 20:00–23:00 課題・雑談:夜がいちばん英語が出やすい
 • 24:00 就寝:エアコンは課金制なので消してまた付けてを繰り返すw
1日の平均出費:S$25(約3,000円)。学食とバス中心なら、物価高でも意外と財布は耐えます。


寮生活──同居人ガチャとプライバシー問題
 • 部屋タイプダブルルーム(2人1部屋)/月額 S$400
 • 良かった点:講義棟まで徒歩5分、ガス/水道は無料
 • 不満点:同居人は運任せ。同じ空間でずっと生活するので、“ひとり時間ゼロ”
  が地味に堪える。エアコンが課金制。
慣れるコツは、自分の境界線を早めに言語化して共有すること。「深夜は電気を消したい」「夜中は電話しないで欲しい」――言葉にすれば意外とすんなり受け入れてもらえました。


監視カメラに救われた財布紛失事件
今学期2週目の金曜、昼休みにホーカーで食事を食べたあと普通に友人と話しながら帰宅。そして、いつもの定位置に財布を置こうとした瞬間、ない。嫌な予感がして、青ざめたまま店に引き返し、テーブル下をのぞいたが、影も形も見当たらない。
最後の望みをかけて大学のセキュリティオフィスへ駆け込み、CCTV 映像を一緒に巻き戻す。すると画面いっぱいに映ったのは、食べ終わった直後の自分がポケットから財布を滑り落とし、まったく気づかず悠々と立ち去る姿。係員さんの「ここ、ここ!」の指差しに、思わず「うわぁぁ…」と声が漏れた。
ひたすら映像を追跡すると、通路を歩いていた店員さんが財布を拾い上げ、そのまま隣のジューススタンドへ預けてくれているところでストップ。場所をメモしてダッシュで駆けつけると、レジ奥の棚から茶色い革財布が「ここだよ」と言わんばかりに鎮座していた。回収まで所要30分。

“監視社会コワい” が“一生ありがとう” に一瞬で塗り替わった昼下がりでした。


ローカルフード
Best  チキンライス: 店によってだいぶクオリティーは変わる。特にチャイナタウンのチキンライスはベスト。
Worst  インド系カレー: シンプルにどの店も味薄めです。あんまり自分好みなカレーではなかった。


カルチャーショックはトイレから
シンガポールといえば「罰金が厳しい」「街がきれい」というイメージが有名です。ところが学生寮のトイレ事情は――
 • 流し忘れ率、体感4割
 • 便座はなぜか常に濡れている
 • 開けっ放しのやつ
 • 掃除当番が巡ってきても翌日にリセット
初めは絶句しましたが、2週間もすると「まあ、東南アジアやしね」と脳内フィルターが自動調整。逆に、日本人同士がきれい好きすぎるんちゃう? と感じる場面もあり、“綺麗 / 汚い” の基準は文化次第 だと実感しました…


ローカルの輪に飛び込む難しさと楽しさ
多民族国家とはいえ、地元の学生たちは基本的に同郷・同語で固まりがち。中国系/インド系同士など。英語が拙い留学生が割って入るのは想像以上に高いハードルでした。結局、最終的に仲良くなったローカルはバンド仲間の数人程度でした。それ以外はほとんど留学生。1学期目はヨーロッパ系(スイス/ノルウェー/フィンランド、、)、二学期目はアジア系(台湾、韓国、香港、、)と一緒に過ごすことが多かったです。


留学で得たもの・残った課題
【得たもの】
  ある程度話せる英語力
  “話しながら学ぶ” 実践型の思考回路
  多様性を雑多さごと受け止める耐性
  監視カメラが味方になる驚きの安心感(?)

【課題】
  ネイティブ同士のハイスピード討論にまだ耳が追いつかない
  やはり、ローカルとの壁はまだ感じる。文化の壁。


まとめ── しんどいけど、楽しかった!!

以上、ご拝読いただきありがとうございました。

 

執筆者:佐藤慧一(さとうけいいち)さん

2023年入試において早稲田大学人間科学部に合格を果たした究進塾の卒業生。

巣鴨高校卒で、塾長の後輩にあたります。

聡明さとたくましさを兼ね備えたナイスガイです。

 


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