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いよいよ2024年が終わります。
昔は、年配の方がよく「歳を取ると、時間のたつのは早く感じるものだ」とおっしゃっているのを聞きましたが、それが年々実感できるようになりました。
今年1年を振り返って「どんな年ですか」といわれることもありますが、正直一言でお伝えできるような文才もなければ、一言で済ませるつもりもないので、ここでは措くこととします。
最後も、気になるニュース記事に頼るようですが、こんな記事を読みました。
予約7年待ちの料理人が問う「残された人生で何ができるか」――がん克服後、水上スラムで見つけた夢
この記事に登場する森田さんは、大腸がんの診断をきっかけに、ナイジェリアで水上レストランを開業されたとのことです。詳しくは記事に書いてあるので書きませんが、どのようなきっかけがあるにせよ「人生の転機はいつ、どこにあるのかわからないものだな」と改めて思います。
そういえば究進塾でも、ことし3月に「プロフェッショナルの先生たちと一緒に将来・キャリアを考えよう」というイベントを実施しました。文章におこした記事があるので、ご存じない方はぜひご一読ください。下のバナーからご覧いただけます。
このイベントは私がいろいろと進めてきたものでしたが、イベント当日までは「お手本としての先生方のキャリアについて、生徒が学ぶ機会にしてほしい」という思いでおりました。もちろん、その意味で参考になることも非常に多かったと思います。
ただ、実際には、いかに華々しいキャリアをお持ちの方々でも、一度の選択で何もかもうまくいってきたわけではない、ということが一番の教訓なのかなと思いました。
私のような劣等生にとっては「挫折」だったり「悩み」だったり、そうしたものにぶつかってばかりの人生ですから、「うまくいかない」ことがデフォルトなわけですが、実は、いややはり、そういうもんだよな、ということです。
この記事で紹介されている森田さんも、恐らく(失礼ですが)順風満帆なことばかりではなかったのだろうと思います。そしてある意味、こうした人の強さというのは、「順風満帆ではなかった」ことそのものにあるようにも思います。
この記事で私がいいなあと思ったのは次の箇所です。
日本での事業を切り盛りしながら、ただでさえ計画通りに進まないナイジェリアでマココの“支店”を立ち上げるのは容易ではない。「身体は1つですが、大丈夫ですか?」と尋ねると森田は少し考えながらこう答えた。
「わからないから、やってみるんです」
この「わからないから、やってみる」という言葉に、これまでご苦労されてきた森田さんの実感が垣間見えるように思います。「わからないけど」ではなく、「わからないから」やってみる、というところが、彼の強さであると思うし、何よりとてもかっこいいと思います。
受験生のみならず、いろいろな生徒さんに向き合っておりますと、とにかく「成功させないと」という意識ばかりが頭をもたげてしまいます。ある意味で「成功」へのお手伝いをする、それは職業柄正しいことではあるのですが、「成功」が1回のテストの結果だとか、誰かに褒められることだとか(それらももちろん大切なことですが)、細かなことに気を取られるばかりでは、少なくとも講師業としては失格だよなあ、と改めて思わされました。
少なくとも私のような反面教師から言えることとしては、「挫折」するのは当然のことで、また「挫折」からしか得られないものはあるよ、ということ。そもそもが、挑戦をしなければ挫折もないわけです。
大人がすべきことは「挫折するな」と伝えることではなく、「挫折したときに寄り添い、何を得られるのか一緒に考えてあげられる」ことなのだと思います。
それでは、来年も、誰もが「よい1年だった」と言えるような1年になりますように。
良いお年をお迎えください。
粕川優治
究進塾副代表。文系大学受験、および日大内部進学コースの責任者をしております。