究進塾

深掘り!講師インタビュー【第1回】面接・小論文:尾川先生④小論文、面接を教える難しさ

尾川先生の深掘りインタビューの続きです。

 

今度は、小論文や面接対策を教える中で感じることをお聞きしました。

 

どんな学生が伸びるのか、教えるときはどんなことに気を配っているのか、そして保護者様は受験生であるお子さんとどのようにかかわるのが良いのかなど、気になるお話がたくさんありました!

 

 

並木先生(塾長)
大学受験生に化学を教えています。趣味は読書と野球観戦(ベイスターズファン)、カレー食べ歩き、子どもの遊び場開拓。1児の父として子育てしていることから、最近は幼児教育にも関心を持っています。

 


尾川先生

株式会社熊本放送に総合職として勤務し、アナウンサー、ディレクターなどを経験。
その後、2003年から公務員試験、アナウンサー試験、大学受験、医学部受験などの面接、小論文の講師として活躍中です。

 

 

 

究進塾とのかかわり

 

並木:続いて、究進塾に関する質問なんですけど、究進塾に参加したのはいつ頃か覚えていますか。

 

尾川:2016年です。

 

並木:参加する前と比べて、何か変化したことはありますか?

 

尾川:基本的なベースは変わらないんですけど、個別指導なので、目の前で受講生が引っかかっていくところがわかりますよね。「こういうことで引っかかっちゃうんだな」「こういうことには時間がかかるんだな」とか、そういうことに気づけるようになりました。

 

並木:それまではマンツーマンっていうのは少なかったですか。

 

尾川:少なかったですね。知り合いの知り合いとか、友だちの親戚の方とかに「小論文を教えて」「面接対策をして」ということで、家庭教師的に小論文や面接の個別指導をしたことはありますが、こういう個別指導塾で働いて、目の前の受講生に一対一で指導したのは初めてなので、とてもいいなと思っています。

 

並木:ありがとうございます。現在の勤務形態はどんな感じでしょうか。

 

尾川:ご予約が入れば講義をするという形です。

 

並木:究進塾で「働きやすい」と感じるのはどんなところでしょうか。

 

尾川:スタッフの皆さんが優しいですし、色々なことを助けてくださるので、教えることだけに集中できるところです。これを全部、自分でしようと思うと掃除からしないといけないし、プリントをプリントアウトしたり、教材を揃えたり、集金もして、みたいなことをするのは大変なので、気持ちよく分業させていただいていて、働きやすいです。逆に色々と「あれやって、これやって」とお願いするので、図々しいかもと反省しています(笑)。やっぱり受講生が多いので、お願いすることも多くなるんですよね。

 

並木:そうですよね。1日に受講生10人とか。

 

尾川:来ますよね。多いときは1日に10人ぐらい見ることもあるし、それが1カ月続くこともあります。自宅からオンライン授業をしたり、塾からオンライン授業をすることもありますが、全ての事務的な処理をスタッフの方がしてくださるので、安心です。

 

並木:1日10人の受講生のうち、ほとんどが初対面という日もありますよね。

 

尾川:ありますね。どなたとも「初めまして」から始まって。

 

 

他の科目と違った難しさ

 

尾川:初回はやっぱり緊張しますよね。どういう生徒さんか分からないので、「どういうところまで聞いていいのかな」と不安にはなりますが、「今日は初回だから、色々聞かせてくださいね」と言いつつ、始めます。

 

並木:そうですよね。無口な方にでも書けるポイントを引き出してあげないといけないのがなかなか難しいところだと思いますよね。

 

尾川:そうなんですよ、そこがすごく難しいです。英語や数学のような科目は受講生が黙っていても何とかなる面があるのかもしれませんが、小論文は書いてもらわないといけないし、面接は口を開いてもらわないといけない科目です。受講生はそういうことが苦手だから来るわけですし、「書くことが苦手、話すことが苦手だから、誰かの手を借りたい」と思って来ているわけです。でも受講生自身も「何とかして変わりたい」「受かりたい」と思っているはずなんです。「自分は変わりたくないけど、受かりたい」という人はいないでしょうし、そこの糸口が何とか掴めればなという感じです。

 

並木:そうですよね。そこは本当にやっぱり、すごく難しいことだと思います。

 

尾川:ただ、それもアナウンサーのときの経験が活きているのはあるのかなと思います。インタビューって、最初から人間関係を作らないと「いい話」は聞けません。街頭インタビューならともかく、「この人にこの話を聞く」というときには初対面の印象や事前の準備も大事です。そこで放送局の上司から言われたのが 「インタビューで大事なことは相手の内面を“ビュー”することだ」という教えで、それも大事にしています。

 

 

並木:それはいいお話をありがとうございます。僕もインタビューする機会が増えてきたので。

 

尾川:その内面をぽろっと言ってくれたことを何かのヒントにしていきたいと思っています。

 

並木:そうですよね。いろんな生徒さんがいますしね。

 

尾川:本当にそうですよね。公務員試験対策の場合は自分より年上の方もいらっしゃいますしね。

 

 

伸びる生徒、伸びない生徒の違い

 

並木:小論文に関しては、“伸びる”っていう言い方が適切なのかどうかも含めて伺いたいんですけど、一般的な学科科目でいう「伸びる生徒」「伸びない生徒」の違いは何でしょうか。

 

尾川:ほかの科目の先生がおっしゃるような「真面目に努力すること」「自己管理ができること」が大切だというのは小論文にも当てはまりますし、ほかの科目との違いはないと思います。そして素直な生徒さんが伸びますね。

 

並木:小論文の場合はどうしても、先生が課題を出して書いてきてもらうっていうのが必要ですよね。

 

尾川:そうですね。

 

並木:だからそこを「どれぐらいちゃんと力を入れるか」みたいな話を生徒としないといけませんよね。

 

尾川:それはそうですよね。ただ学校の授業も大事ですし、中間テストや期末テストの時期とかもあるので、宿題をやってこなかったからといって、私はあまりガーガー言わないんです。

 

並木:書いてこない方もいますか。

 

尾川:いますね。「難しかったです」という理由もあるし、こういうご時世なので「寝込んでた」とかもあれば、テストや探究といった学校の課題や部活動などで忙しいという理由もあります。小論文だけに向き合える時間を高3になってすぐの時期には作りにくい状況です。英検もありますしね。高3の1学期に入塾する受講生が多いですが、初対面では「この子は伸びるのか、伸びないのか」はまだ分からないです。それが分かるのは英数などの科目よりも遅いかもしれません。

 

並木:そうですか。

 

尾川:そのような気がしますね。小論文に真剣になれる時期が遅いので、ほかの科目の先生方のほうが「この子は伸びるな」と気づかれるのが早いと思います。

 

並木:そうですね。1カ月ぐらいあれば、ある程度見えてきますよね。

 

尾川:小論文の場合、1カ月では見えにくいですね。見えたほうがいいのでしょうが。

 

 

小論文で大切な能力

 

並木:小論文って、言語化能力みたいなのはやっぱり大事ですよね。

 

尾川:言語化にあたって、語彙力はすごく大事ですね。読解に関しては「語彙力、文法力、論理力」で、表現に関しては「具体性、論理性、表現表記」ですね。

 

並木:それは入ってきたときに、ある程度は分かりますか。

 

尾川:分かりますね。でも話しているときに言葉数が少ない子でも、書いている文章を見ると「こんな言葉を知っているんだ」「こういう言い回しもできる子なんだ」と気づかされることもあるので、それは面白いところですね。

 

並木:それは会話だけでは分かりきれないところですね。

 

尾川:そうなんです。やっぱり会話と書くことの両方で見ていきたいところですよね。その意味で、習い事や部活動をしている受講生はそのパフォーマンスを上げることに慣れているかもしれません。

 

 

並木:そうですか。

 

尾川:習い事とか部活動をすると、本番で全力を発揮しないといけないわけで、その本番に向けての準備をした経験は活かされますね。それから目標というのは常に自分の実力よりも背伸びしたところにあるわけなので、そこに向かって何をしないといけないことなのかも習い事や部活動から身につくことですね。そして、習い事や部活動は子ども同士でするものではなく、大人から教わるものですので、大人の目を通して、自分を客観化する経験になります。

 


 

色々な経験が文章表現に活かされるんだきゅ~

 

保護者の適度な距離感やバックアップとは

 

並木:保護者様とお会いする機会は少ないですよね。

 

尾川:保護者様との面談は事務局の先生方がしてくださっているので、そんなにはないですよね。

 

並木:初回で会う方はいらっしゃいますよね。

 

尾川:体験授業のときにいらっしゃる方も多いですし、体験授業のときは子どもさんだけが来て、入塾が決まって1回目の授業の日にご挨拶をということで来られる親御さんも多いです。その後の受講中に「ちょっとお話ししたい」ということでいらっしゃる親御さんもおられます。全くの無関心やめちゃめちゃ過保護ではなく、適度な距離感をお持ちの保護者の方はいいなと思います。

 

 

保護者の方が“受験チーム”になるご家庭も

 

尾川:一般選抜では併願が当たり前ですが、総合型選抜も大学によっては併願可能です。それで「A大学は◯日までに出願しないといけない」「B大学の試験を◯日に受ける」といった表をエクセルで作られる保護者の方もいらっしゃいます。そういう方もいいですね。「そういう事務的なこと、お金の振込などはお母さんがします。あなたは勉強を頑張りなさい」という役割分担をして、チームみたいになっているご家庭はいいなと思います。

 

並木:確かに。今やそうせざるを得ないというか。僕も最初は「ちょっとそれ、やりすぎじゃないか」って思ったんですけど、今の入試制度を見ると、せざるを得ないですよね。

 

尾川:複雑ですもんね。せざるを得ないと思います。

 

並木:気持ち的にはそのぐらいがいいのかなと思いますね。

 

複雑化する入試制度

文科省の方針により、受験生の「学力の3要素」を多面的・総合的に評価する入試に転換する「入試制度改革」が、2020年から本格化。2025年には第2弾がはじまる。これにより、近年、大学入試が複雑化。大きく「一般入試選抜」「学校推薦型選抜」「総合選抜」の3つに分かれるが、入試方式の多様化が起こり、わかりにくさも挙げられる。

補足:「学校教育において重視すべき三要素」とは?
① 知識・技能
② 思考力・判断力・表現力
③ 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度

 

尾川:私は文系だったので、センター試験の点数次第で、受験先は大きく変わります。文系は理系のように二次で逆転することが難しいので、二次試験は色々な大学の受験の可能性を考えておかなくてはいけません。それで私の母も二次試験の受験先候補の近くのホテルをめちゃめちゃ押さえていました(笑)。

 

並木:すごいですね。

 

尾川:それで、センター試験のあとに友だちが「岡山大学を受けるんだけど、ホテルがない!」と言っていると、「私、予約してるよ」と譲ったりしました(笑)。

 

 

並木:すごいですね。じゃあキャンセルする前提で予約、ってことですよね。

 

尾川:そうです(笑)。めちゃめちゃ押さえていたので、友だちからは感謝されていました。

 

並木:センターの後だと、ホテルを予約するにはもう遅いというか。

 

尾川:当時は受験生も多かったですし、ホテルも今ほどないですもんね。今はAPAホテルとか、東横インのようなホテルがどこの都市にもありますが、あの頃はビジネスホテル自体が今ほど多くなかったように思います。

 

並木:確かにそうですよね。お母様自身がそういうサポートを率先するところがあったというか。

 

尾川:そういうことがすごく好きだったんでしょうね。専業主婦だったし、“受験チーム”みたいなことに参画したかったんじゃないかなと思います。

 

ビジネスホテルはいつからある?

日本初のビジネスホテルは1920年創業「法華倶楽部」だが、高度経済成長で出張がさかんになった1960年代後半頃からブームに。

1970年代後半、「宿泊偏重型」のビジネスホテルが活発化。東急イン、ワシントンホテル、ホテルサンルートなど。

1980年代後半のバブル期にはシティホテル並みの設備を拡充したビジネスホテルが出現。1991年のバブル崩壊の影響で需要がなくなる。

1990年代後半には、低価格の宿泊特化型ホテルで朝食付きシングル5,000円~7,000円台などの「宿泊特化型」ビジネスホテルが登場。出張費から逆算して生まれたとされる。東横イン、スーパーホテル、ルートインホテルズ、ドーミーイン、後続のAPAホテル、ホテルメッツが有名。
近年はさらに、朝食なしの素泊まりタイプ、エコ清掃(数泊ごとの清掃)、QRコードによるチェックインの簡易化など、時代に合わせてさらに変化している。
(参考:教えてホテル「ビジネスホテルについて」)

 

 

母との関係性

 

並木:ご自身のお母様との関係性は、尾川先生自身としてはすごくいい距離感というか、それほど過干渉ではなかったというか。

 

尾川:いや!今はもうこんな感じで喋っていますけど、当時はとても嫌でした。あの頃に「うざい」という言葉がなかったのが残念です(笑)。「うるさい!」と思っていましたね。

 

並木:過干渉だったんですか。

 

尾川:過干渉でしたね。でも、受験生が多い時代ですし、塾などの選択肢が少ない地方にいましたので、そのぐらい過干渉でないとここまで来られなかったかもしれません。当時はまだ「女の子は短大でいいよ、近くの女子大でいいよ」という親御さんも大勢いる中で、家庭教師や塾などで勉強するという道を作ってくれたことは良かったです。

 

並木:お母様の中では、そこは強い信念とかあったんですか。

 

尾川:「学校の勉強はさせないといけない」という程度で、「絶対、立派な子にしなきゃいけない」「アナウンサーにしたい」みたいな野望はなかったと思いますよ。

 

並木:そうですか。よく子育てであるのが、漫画とかゲームとかを制限したりとか。まあ当時は漫画もゲームも今よりももっとハードルが高いものだと思うんですけど、その辺はかなり厳しくされました?

 

尾川:当時は私を含めて、女の子はあまりゲームには関心がなかったですね。男の兄弟がいる女の子が兄弟と一緒にファミコンをしているのを見ていた程度でした。漫画に関しては自由でした。

 

並木:そこは自由に読んでいたんですね。

 

尾川:そうですね。私が大学4年生のときに母方の祖父母と曾祖母が岩国の実家で同居することになったのですが、それまでは母方の祖父母と曾祖母は柳井市に住んでいました。その3人が私と妹に割と甘くて、よくお小遣いをくれていたんです。それで柳井市の書店で、普通に漫画を買っていました。

 

並木:普通に買って。

 

尾川:はい。普通の本もよく読んでいましたが、漫画だと小学校低学年の頃は男の子たちと一緒に『ドラえもん』とか、アラレちゃんが出てくる『Dr.スランプ』とかを読んでいて、3年生ぐらいからは少女漫画雑誌の『なかよし』や『りぼん』を毎月読んでいました。

 

並木:その辺は別にうるさくはなかったんですね。

 

尾川:ないですね。

 

並木:テストの結果とかにも、結構うるさかったですか。

 

尾川:うるさかったです。小学校のときは単元ごとのテストってありますよね。それは絶対に見せないといけないし、悪いと何かネチネチと言われたりもしていました。

 

並木:「勉強しなさい」とか、結構言っていましたか。

 

尾川:すごく言っていました。中学、高校のときもそうですね。高校での模試の成績もよく見ていて、「ちょっと数学が悪いよね」とか言われていましたね。センター試験のあとで、どこの大学に出願するかを決める三者面談が高校であったのですが、担任の先生がたまたま私のデータを間違えてお話しされたときに、母が「先生、それ違います」と指摘していました(笑)。

 

並木:じゃあかなり熱心な。

 

尾川:受験のこととかはすごく調べていたと思います。私が受験した年は国公立大学の中で前期・後期という分離分割方式と、A日程・B日程という連続方式が混在していたので、併願の仕方も分かりにくく、私は大阪大学を前期日程で受けて、熊本大学をB日程で受けたのですが、そういうシステムを把握していたのは母でした。

 

並木:じゃあかなり熱心なんですね。

 

尾川:かなり熱心だと思いますよ。でも妹のときはもう息が切れていたような気がします(笑)。

 


 

究進塾 編集部

 

 

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