インタビュー
INTERVIEW
石様合格インタビュー3
東大を目指した理由
並木:東大の大学院を目指したっていう理由っていうのは、本音のところ、何が一番の理由なんでしょうか。
石:私は独学で、数学と情報学をいろいろ学びました。それを自分のその成果をみんなに示したい。そこで、東大に入ることが一番良い、努力の証みたいになると私は思いました。
並木:なるほど。ご自身ですごく頑張ってた時期っていうのは、やっぱり大学3年のときですか?
石:3、4年生のときです。
並木:最初は必ずしも「何が何でも東大」っていうわけではなかったんですか。
石:いえ、最初から東大を目指しています。
並木:そうですか。ほかの大学院を目指していなかったのは、なるべくステップアップしたかったっていうことですか。
石:そうですね。元々東京理科大学にいたので、受験してまで別のところに行くなら東大の大学院を目指そう、ということですね。
並木:それはわかりやすくていいですね。確かに、中国でも東大といえば多くの人が知ってるっていうネームバリューがありますね。
大学入試受験期のスケジュール
並木:石さんから他に、話しておきたいことはありますか。
石:受験の時に自分が用意した大学院入試のタイムラインをお話したいです。
並木:タイムラインっていうと、受験のスケジュールってことですか?
石:そうですね、そういう感じです。具体的には、大学院入試の前の準備です。「いつから何を勉強したのか」「いつから何を準備したのか」っていうことについてです。大学院入試を準備し始めたのが、2020年の4月ぐらいですね。大学3年生の前期、4月ごろからです。まず英語のTOEFLを準備し始めて、大体3年生の後期の夏休みに試験を受けてちゃんとTOEFLの点数を取れてから、情報系向けの数学と、情報学の専門知識を独学で勉強し始めました。
並木:なるほど。その情報は、インターネットで手に入れたんですか。
石:大体は手に入れました。知り合いの先輩からも、東京大学の大学院の入試が夏の入試と冬の入試の2つがあると教えてもらいました。
並木:なるほど。そこに向けてどういう参考書をやればいいかっていうのも、ある程度その先輩から聞けたんですか?
石:そうですね。
並木:大学の1年のときにオンラインとはいえ、数学の授業もありましたよね?必修とかで。そこと繋がる内容だったんですか?
石:いや、全然違う内容だと思います。大学時代の学部の数学は本当に基礎的な数学なので、情報学向けの数学っていのうはもっとその深い知識が必要になって、その分難易度も結構高くなります。
並木:本当にゼロベースで勉強しだした感じですか?
石:はい、そうなんです。
並木:そのとき使った教材は、日本人向けの日本語の教材をやってた感じですか?
石:いや、違います。中国語の教材を使っていました。数学は言語的なものもなくて、ひたすら数式なので、中国語の教材の方がわかりやすかったんです。なので中国語バージョンで。
並木:中国語の、中国で出版されている大学の内容の数学を勉強されてたっていうことでしょうか。
石:はい。
並木:情報の勉強でも中国語の教材を使っていましたか。
石:情報は、英語の教材を読みました。
並木:なるほど。アメリカとかイギリスの出版社が出しているようなものですかね。
石:はい。
並木:なるほど。結構そこが一番最初に固めたところなんですかね。その教材をやってから、過去問を解きだした感じですか?
石:はい。そんな感じです。
並木:それは何年生の何月ぐらいから?
石:ちょうど1年間くらい勉強したと思います。
並木:2022年の8月ぐらいから過去問を解き出した?
石:はい。
並木:なるほど。そのときは、それである程度解けましたか。
石:そのとき、最初はやはりちょっと難しかったと思います。問題も、過去問を最初に見たときに、やはり全然見たことのない問題がたくさんあるという感じです。その後、やり慣れていったら、問題も大体似たような感じで出されていることがわかってきました。
並木:最初に数学は中国で出版されてるもの、情報は英語で出版されてるもの、それぞれ1冊ずつやってから過去問に移った感じですか?
石:いや、違います。全部の教材をやった後に過去問をやりました。
並木:数学は何冊ぐらいやったんですか。
石:数学は、微分積分、線形代数、確率論の、3つの科目をそれぞれ1冊ずつ終わってから過去問に移りました。
並木:なるほど。情報も1冊分終わってから?
石:情報は結構分野が広いので、10冊ぐらいはあると思います。
並木:10冊もやったんですか!それはかなりやりましたね。
石:はい。アルゴリズム、オペレーティングシステム、オートマトン…あとはデジタル回路など、範囲が幅広いです。
並木:ちなみに、大学ではその分野の授業はほとんど受けてないと聞きましたが、元々そういうことに関心があったんですか?
石:そうですね、元々関心があったんです。大学2年のとき、コンピュータに触れる機会が多かったのもあり、自分でプログラミングを勉強し始めました。
並木:独学ですでにされてたんですね。
石:はい。
並木:そのときから、そういうプログラミング系の本は読んでたわけですね?
石:本じゃなくて、そのときはネットで動画を見ながら。
並木:そういうバックボーンがあったから、いざ情報系の本読み出しても、読み進めることができたってことですね。
石:そうですね。やはりプログラミングを最初に勉強しないと、理解ができないと思います。
並木:そうですよね。なかなか、いざ情報に行きたい!っていっても全くやってないとちょっときついですよね。
石:確かに。
並木:それで、1日に大体何時間ぐらい勉強されたんですか。
石:本当にひたすら勉強するので、1日10時間以上やる日もあります。
並木:10時間以上!
石:勉強すること以外に、ノートの整理、問題を解いた後のその解説を見つけることとか、いろいろなことがあるので、そこで結構時間がかかってしまったと思います。
並木:なかなかね、10時間って結構辛いっていう人もいますけど。その辺は別に全然苦じゃなかったんですか?
石:すごく大変でしたが、でもそのやりがいもあると思います。
並木:すごいですね。勉強場所はご自宅でされてたんですか?
石:違います。私は自宅では全く勉強できないタイプなので、ほぼカフェあるいは貸し切り自習室とかで勉強します。
並木:毎朝決めて、起きたらすぐ出て。カフェや自習室で勉強をやる、みたいなルーティンだったんですか。
石:はい。大体朝の8時か10時ぐらいにカフェに行って、その後ずっと勉強して。お昼はそのカフェで軽くパスタとか食べてて、夜の大体9時か10時ぐらいまでずっと勉強している、みたいな。
並木:大学1年ぐらいから、ずっとそんな感じの生活をしていたんですか?
石:違います。大学1年と2年のときは、大学での授業を中心にやっていたので。
並木:そのときの方が、勉強時間は少ないんですか。
石:そのときの勉強時間も結構、長かったと思います。大学での単位は、ほとんど1年と2年のときに全部取ったので。
並木:そうでしたね。しかも結構…AとかSとか、いい成績を取れたんですか?
石:オンラインの授業だから、Sが取りやすいと思います。オンラインだと、ほぼレポートを課されるだけでしたが、対面だと試験があるので、逆に復習とかもしないといけないのでもっと大変だったと思います。でもその代わりにレポートはたくさん課されてしまいました。
並木:でもそれをちゃんと出して、SやA評価を中心で取られてた感じなんですね。
石:はい、そうですね。
並木:じゃあすごく…やっぱり勉強に対してしっかり努力できる方なんですね。勉強することに対して「なかなか時間を作れない」っていう人は結構多いので。
石:そうですね。でもあのときはコロナだし、勉強する以外にできることもあんまりなかったのも大きいですね。外に出かけようとしてもやはり危険だと思いましたし、自宅あるいは貸し切り自習室で勉強した方が安全だと思って。そこでずっと勉強してきました。
並木:良くない例だと、家にこもって関係ない遊びの動画をずっと見ちゃう人とかもいるんですよね。
石:確かに。自分もそういうときもありましたけど、そういう生活は何年間も過ごせないと思います。やはり何かやらないといけないと思うので、そのときにできる範囲のことをやれば、その時、その後の自分に対して満足できると思うんです。
並木:それは確かに、おっしゃる通りですね。なかなか、そこは受験生にとってテーマというか、どう時間を作り出すかっていうところと、安定的にそれを続けるって結構みんな苦労するところなので。1日10時間ぐらいずっと勉強することを約1年以上続けたってことですよね。
石:はい。
並木:それはすごいことだと思います。
石:でも、自宅にいると、やはり何かベッドでゴロゴロしちゃったりするとか、YouTubeで動画を見たりするんですよね。そこで、カフェや自習室に行くことで、周りにいる人たちもみんな仕事をしたり、勉強していて、そこでサボると心がちょっと痛むので。少なくとも私にとってはそういう環境で勉強することがよかったんだと思います。
並木:ちなみに、特に高校生とか中には大学生の方も、自分1人だとなかなかそこまで自分を律することができないので、友達と約束してカフェで勉強したりする人もいますよね。
石:確かにありますね!日本語学校に通っていた頃は、友達と一緒にカフェで勉強していました。でも、みんな別々の大学に入って、住んでいる場所も違うから、友達とカフェに行く機会があまりなくなって、結局ほぼ自分1人でやっていましたね。
並木:すごいですね。それができる人はかなり希少だと思います。
石:ありがとうございます。
並木:ちなみに親御さんとは、どのくらいの頻度で会われましたか?来日したり、石さんが中国に戻ったりっていうのは、お正月のときぐらいでしょうか。
石:大体そんな感じですね。でもコロナのときは1回も帰ったことがないです。
並木:そっか。じゃあもう本当に、完全に1人でちゃんと目標に向かって進んでいる実感が長かったわけですよね。
石:はい。
並木:すごくためになるお話を聞いた感じがします。ありがとうございます。今回は、石さんから中国と日本の大学受験の違い、大学院入試の準備の仕方など、非常にためになるお話を聞きました。
石:ありがとうございます。
並木:今日は貴重なお時間をありがとうございました。
石:ありがとうございました。
石さん、合格おめでとうございます!