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話題の映画「ルックバック」を見てきました。

私の不勉強で、原作の漫画が2021年に発表されて話題になっていたことも知らなかったのですが、信頼している映画評論家・ラッパーで、巣鴨学園の先輩でもある(※直接の面識はありません)宇多丸さんがラジオ番組で取り上げていることから知りまして、映画館に足を運びました。

これが素晴らしかった!

以下、一部ネタバレを含むので「これから見たい」という方はご注意いただければと思います。

原作者の藤本タツキをモデルとするであろう主人公、小学4年の藤野と、ひきこもりの同級生、京本の交流、そして時は流れ、現在、突然起こる事件・・・というのが大まかな流れです。すべての魅力的な映画についてそれが言えるように、この映画の魅力を一言で言い表すことは大変難しいのですが、時間の経過、四季の移ろいなど、映画的な道具が感涙を誘うしかけになっていました。

その中でも、物語の根幹となるのは、主人公藤野の「マンガを描くことにひたすら打ち込む」という一貫した姿勢です。事実、この映画は、(厳密には、空から降りてくるカメラ視点のカットではあるものの)夜遅くに机に向かって一生懸命にマンガを描く主人公の背中から始まり、大人になったラストシーンでもマンガを描く背中で終わります。

相棒となる京本の存在も学級新聞でのマンガを介して意識することになります。京本という学級新聞でのライバルの登場によって闘争心に火が付いた藤野は、次々とマンガの画法を鍛錬して身に着けて行きます。その描写としては、画法の本が次々と増えて行き、窓の外の景色により季節が移って行く過程を見るわけです。

そして、京本との出会いの場面。京本の家に忍び込むように入ると、廊下に積み重なったスケッチブック。そして、会ったことのない京本から「崇拝」とも言うべき熱量の想いを告げられる劇的瞬間。

主人公藤野は、原作者藤本タツキ自身がモデルのキャラクターだと思いますが、
この映画では、理想的な成長における3つの大切な要素が描かれていました。

1つは、夢中になれるものがあるということ
2つは、それを続け、膨大な時間を費やすことの尊さ
3つは、自分の才能を全肯定する他者との出会い

いずれも教育、子育て・教育の世界で、とても重要とされる要素です。
その中で、大人になった今でも痛感するのは、特に2つめの要素の大切さです。

これを書いていて、ふと最近Youtubeで見た動画で、コンサルタントの波頭亮さんが話していたことが頭をよぎりました。それは、「超一流の人は、一万時間の壁を越えている」「天才と言われる大谷飛翔平だって、藤井聡太だってその壁を越えている」という言葉でした。

この映画では、主人公藤本が漫画家として一万時間の壁を越えて行く姿が描かれます。
それが何といっても根幹にあります。

この映画の魅力はテーマだけで説明できるものではなく、細部に宿っているというのは言うまでもないことですが、教育に携わるものとして、どうしてもこれだけは伝えたいと思ったしだいです。

皆様もご興味がありましたらぜひ足を運んでみてください。

並木陽児

究進塾代表。最近ハマっていることは、川遊び(ガサガサ)と魚の飼育です。

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