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こんにちは。究進塾 編集部です。
今回は、慶應大学医学部、英語の入試問題の解説です。「私立最難関」と言われるだけあって、その出題内容はそれなりの難度を誇っています。でも、恐れることはありません。正しい対策をしていけば、「私なんて無理」と思っている方でも、十分合格ラインに届かせることができる可能性があります。
📝この記事のポイント ・出題の傾向と特徴 ・おすすめの参考書 ・効果的な練習方法 |
はじめに
こちらの記事は、究進塾の講師、細田朗先生の解説動画を参考に、解説しています。音声を聞ける環境の方はぜひ動画をご覧頂き、細田先生の講義の雰囲気を掴んでいただければと思います。
動画紹介
【究進塾】医学部受験チャンネル
【2022年版】慶應大学医学部-英語の傾向と対策(所要時間: 28分16秒)
講師:細田朗
早稲田大学教育学部英語英文学科卒。 第二言語習得法に基づいた音読を重視した英語指導法が特徴。TOEIC945点。英検1級取得。医学部受験生への指導経験・合格実績も豊富な講師です。☆医学部受験対策の詳細はこちら
解説の概要
慶應大学医学部の対策をしていく上で、キーワードになるのが「学習法の多様化」です。傾向と対策を紹介しつつ、「学習法の多様化」の方法を説明します。
問題の傾向
まずは過去問を参考に、問題の傾向を把握します。今回は2022年度の過去問を参考にしています。
解答時間:90分
出題の量を考えると、受験生にとっては、かなり短い制限時間です。過去問を見ると、
・記述
・読む文量
・自由英作文
がたっぷりあります。対策をしきれていないと、どうしても終わらなくなってしまう可能性が高くなります。とはいえ、しっかり対策を行えば、解き切ることも可能です。
解答形式:記述方式
私立大学とは思えないくらい、大量に記述を出題します。出題内容も、以下のように様々です。
・英文和訳
・和文英訳
・自由英作文
・内容説明 など
出題内容
大問数:4問
構成は、大まかに以下のとおりです。
大問1:長文読解
大問2:長文読解
大問3:長文読解
大問4:自由英作文
大問1~3は、「文章読解」とくくることはできますが、出題の仕方を見ると、「単純に文章を読めればいい」というだけではありません。
大問の構成
2020年度の医学部の過去問を参考に見ていきます。
大問1:文章読解
様々な能力が問われます。
・文章の空欄補充
・下線部の英訳
・単語の並び替え問題
これらが交互に続き、とにかく大量に書かせます。
(過去問の例) 「AからEに入れるのにふさわしい動詞を選択肢から選び、この場所にふさわしい形にして入れなさい。 |
この問題の場合、
・文脈から判断して、どれを入れるのかを選ぶ
・かつ、文法的な観点からどのような形にするか
これを同時に判断しつつ、しかも自分で考えて書かなければいけません。語句補充問題でありながら、作文に近い能力が試されます。
他の例として、以下のような問題の出題があります。
(過去問の例) 「下線部クで述べられている内容の理由を日本語75字以内でまとめなさい。」(2020年度 問9) ↳内容に関して自分の言葉で説明する問題 |
(過去問の例) 「下線部ケのthat next stepとはどのようなものか、日本語75字以内で説明しなさい。」 ↳文章を読んだうえで説明させる問題 |
💡出題の傾向
出題の特徴大問1を見ただけでも、とにかくたくさん書く必要があります。
マークシート形式が多い他の私立医学部とは一線を画した出題内容となっています。
大問2:文章読解
設問はやはり多岐にわたり、さまざまな形の空欄補充問題が出題し、色々な力を試してきます。
①内容を説明する形式(「日本語30字以内で書きなさい。」など)
②日本語訳
③内容を一致させる問題 (「本文の内容と一致するものにはAを、一致しないものにはBを、本文からは読み取れないものにはCを解答欄に記入しなさい。」など)
③は、より精度の高い内容一致が求められます。「正誤をはっきり言えるか、それとも判断できないか」を、しっかりと読むことができる必要があります。
大問3:文章読解
大問3以降は、設問もすべて英語で書かれています。本文の方が難易度が高く、質問の方が易しいので、質問が読めないことはないはずです。
・下線部の単語の類義語・対義語を書かせる問題
・語彙知識
・空欄補充系の問題
・”translate into Japanese”=日本語に訳する問題
・”choose the most appropriate section title” =タイトルを選ぶ問題
このような問題が出ます。タイトルを選ぶ問題は、本文の全体像がつかめているかどうか、つまり要約の能力が試されます。このように、細かい箇所から大きな流れをつかむところまで、様々な能力を問われます。
大問4:自由作文
100単語程度で、自由英作文をする問題です。難易度は標準的です。
(過去問の例) “Do you think the machine will ever be able to replace doctors? How do you think new technology will be used in health care in the future? Write about 100 words in English on this topic.”「機械が医者に取って代わることができると思いますか。新しい科学技術が将来医療においてどのように使われると思いますか。100単語程度で英語でこのトピックに関して書きなさい」 |
テーマは、「AIなど機械が発達して人間社会をどう変えていくか」というかなり頻出な類のもので、割りに書きやすく、対策もしやすいです。しかも、書く単語数も100語程度と、特別長いというわけでもありません。
・基礎的な英文の作り方
・ある程度まとまった文章の作り方
これらがしっかりとわかって練習をしていれば十分対策ができ、合格ラインを目指せる問題です。
出題内容の特徴 まとめ
長文読解では、
・空欄補充
・内容説明
・英文和訳
・和文英訳
・内容一致
・語句整序
など、設問形式が多岐に渡ります。長文読解のような見た目をしていますが、設問は様々な種類の内容です。
そして、長文の出典は英字新聞が多いという特徴があります。私立医学部医療系の文章なども出やすくはありますが、その他に様々なトピックから出題があります。
自由英作文は比較的書きやすいテーマであり、語数も100字程度と標準的です。
難易度
問題自体の難しさ、記述問題の難易度が高いのもありますが、やはり厳しいのは時間制限です。「時間さえあれば解けるのに、こんな短い制限時間では全部できない」という生徒が多いと思います。慶應大学医学部の対策をする際には、やはり「時間制限内に終わらせられる処理能力」を獲得する必要があります。
<特徴> ・長文の難易度は英検準一級程度で標準的 ・ただし読解スピードを求められる ・記述自体の難易度も特別高くない |
文章自体の難易度は、医学部としては特別高いレベルが高いではありません。どの医学部でも、英検準1級程度のレベルの文章は読める必要があります。しかし、読解スピードが求められるのが特徴です。ゆっくり読んでる暇は全くありません。
記述の難易度は一見高く見えます。記述問題が非常に多いため、記述系の対策ができていないと相当難しく感じます。一般的な私立大学はマークシート方式が多いですが、マークシートの対策だけをしていると、慶應大学の問題を見た瞬間に面食らうはずです。
しかし、1つ1つの記述の難易度がすごく高いわけではありません。きっちり対策さえしていれば、問題自体は十分に解くことができると思います。対策ができていれば、難易度は特別高くはありません。
全体的な難易度:やや難~難
・時間制限の厳しさ
・記述の多さ
・様々な能力が問われること
これらを踏まえると、やはり私立最難関というだけあって、難易度としては「やや難~難」と言えます。
対策用テキスト
対策に際して、各分野ごとのおすすめテキストです。
①長文読解用テキスト
(1)『英検文で覚える単熟語』
文章の中で単語を覚えていくコンセプトの参考書。レベル別にわかれているため、慶應医学部を目指す場合は準一級まで使っていくのがおすすめ。
(2)『パラグラフリーディングのストラテジー』
河合塾が出している参考書。文章の構造をつかむ練習ができる。慶應の場合、単純に「英単語を知ってる」「文法がわかる」というだけでなく、文構造を掴んでいく能力が求められるので、その練習にはテキストがおすすめ。1~3までのレベルがあるので、最終的に3まで使えたらベスト。
(3)『国公立大医学部の英語』
「国立大学だ」という感覚で対策をしていった方がいいため、こちらはおすすめ。
(4)『慶應の英語』
慶應の過去問などを集めた参考書。こうしたものを使って、慶應に出やすい問題の対策をすると良い。医学部以外の学部の問題も、出題傾向に共通する部分はあるので、医学部に限らず色々な学部の問題を解いていき、経験を積めると良い。
②単語帳
『英検でる順パス単』
準一級までの単語を完璧にしておくと良い。
③文法対策用テキスト
『VINTAGE』
文法網羅系の参考書を1冊仕上げておくというのが重要。ただし、『VINTAGE』でなくても、文法網羅系の問題集があれば、今使っているものでも良い。とにかく1冊をしっかり固めること。
④英作文対策用テキスト
(1)『英作文のトレーニング』(Z会)
「始める編」
「必修編」
「実践編」
「自由英作文編」
計4種類。基礎からやりたい人は「始める編」から順番にやっていき、最終的に「自由英作文編」まで使っていくと良い。
学習方針
最後に、慶應慶應大学医学部に合格するための対策の方針についてお伝えします。
①学習を多様化させる
慶應大学の問題は、受験生の英語力を様々な角度から試してきます。
・和訳
・英訳
・作文
・内容説明
このように、とにかく色々なことができるようにならなければいけません。普段の学習をする上でも、1つの学習だけを行うのではなく、様々な学習を行って慶應の問題に対応できるようにしていきましょう。
(練習の例)長文の参考書を使うとき
ただ文章が読めるというだけで終わりにするのではなく、 〇その長文を和訳・英訳できるかどうか このように、1つの参考書を使って、様々な学習を行うと良いです。 |
ちなみに、「慶應の入試対策なのに、何でリスニングが必要なんだ?」と思った方もいるかもしれません。
慶應の問題自体にリスニングは出なくても、リスニングの能力が上がると、読解スピードが大幅に向上します。リスニングで内容を理解できるということは、文章が耳に入った瞬間からどんどん理解できることを意味します。
これが、文章読解においても、英語を前からどんどん理解していく能力に繋がります。読解スピードを上げていくために、リスニングの学習は必ず行ってほしいと思います。
②国語力を高める
慶應レベルの文章になってくると、
・単純に英単語を知ってる
・英文法についてわかっている
それだけではなく、
・文章の流れをしっかりと整理できるか
これも試されます。文章の内容を整理する能力は、いわば国語の「現代文」と同じ能力です。
・あまり国語が得意ではない
・文章の内容を整理するのが得意ではない
そういう方は、国語力、特に現代文の力を高めるという対策をすると良いです。
(練習の例) 参考書の中でも、 ・文章の対比に関して説明をしている参考書 ・文章の因果関係に関して説明をしている参考書 ・現代文の流れを整理して読むための基本的な参考書 こうしたものを使うのも、1つの手段です。 |
また『パラグラフリーディングのストラテジー』という参考書を使い、英語で文章の流れを整理する能力を身につけていくというのも、1つの手段です。なんにせよ、しっかり文章を整理する能力を身につけるようにしましょう。
③大量の読解経験を積む
慶應大学医学部の場合、長文がたくさん出てきます。「文章がスラスラ読めるのが大前提」のような出題傾向です。文章がスラスラ読めなければ、時間内に解き終わることは絶対にありません。これは必要条件です。
💡どうしたら「文章がスラスラ読める」状態を手に入れられる?
「大量の読解経験を積む」ということを必ず意識してください。英語がスラスラ読めるようになるためには、「量を読む」ことが大切です。
もちろん、文法や文の構造を細かく考えたりすることも大事です。しかし、最終的には量が物を言います。「質より量」と言っても過言ではないぐらいです。
英語を学習するときには、必ずと言っていいほど、文章を読むことをしてください。
まとめ
3つポイントをお伝えしました。
・学習法を多様化させること
・国語力を高める(文章を整理しながら読んでいく能力を高める)
・大量の読解経験を積むこと
今回の解説は以上ですが、究進塾では医学部対策に特化したコースを設けて、生徒1人1人に合った指導を行っています。ご興味のある方は、ホームページの「無料体験授業をご希望の方」からお気軽にお問い合わせください。
究進塾 編集部
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