究進塾

インタビュー

INTERVIEW

K様 合格インタビュー③

添削指導に費やした時間

並木:ちなみにその指導は、どのぐらいから始めて、期間や回数を費やしたんですか。

K:4月ぐらいから始めました。

A:授業は週に2回していました。片方は物理を固定で受けていて、もう片方は数学の範囲が終わっていたので、後は過去問をじわじわ解きながら、現状維持+学校で新しい単元に入ったら復習として使い、塾では過去問演習をする形にしました。

なので、授業の最初か後ろの30〜40分ぐらいで、志望動機の添削をしていました。最初はやっぱり「ここが駄目、これが駄目」とずっと言っていたので、1時間半くらいかかっていましたが、後半の方になってくると、もうどんどんブラッシュアップして文章が出来上がっているので、かかる時間も短くなったんですね。

K:期間的には、多分9ヶ月ぐらいでした。

並木:1年近くずっと志望理由書添削は続けていたんですね。

K:そうです。

A:時間をかけて志望動機を作っていったのにも理由があって。例えばイギリスに行く機会があってそこで大学訪問をしたら、実際に見たからこそ「本当にここに行きたい」って思って書ける文章もきっとあるはずだと思ったんです。そういうふうに、Kさんの中で熟成して欲しかったといいますか。

並木:そうですよね。

A:将来的に、MBA(Master of Business Administration 経営学修士)で大学院に行きたいっていうことだから、その時にどうせ同じことをもう一回やることになるんです。それなら、今から自分を売り込むための文章をストックさせておこうと。なので、短期で集中的にやるというよりは、定期的にずっと毎週毎週取り組むっていう感じでした。

並木:実際に各大学の違いや特徴を探したりっていうのは、ホームページとかから調べていくわけですか。

K:そうですね。SOPって、単純に「志望動機を書いてください」しか言わないところもあれば、具体的に5個ほどクエスチョンがあって「この中から1個選んで自分の回答を書いてください」みたいなところもありました。大学によってその内容も若干違いました。

並木:違うんですね。

A:とりあえず書いてきてっていうと、やっぱり最初は当たり障りのない文章がアウトプットされるんですね。「この一行って、Kさんじゃなくて他の人でも書けるよね。同じ成績で同じ文を書いてくるネイティブの方がいた瞬間、より英語ができる分通りやすいから、これだと申し訳ないけど通らないよ」って言ったりとか。

並木:なるほど。そこの指導が割と大きかったんですね。

K:数学の指導はもちろん一番長くやっていたので大きかったんですけど、自分自身の成長として見て考えるとそこは大きかったです。

並木:そうですよね。入試を受けるためには、そこが結構肝になるということですね。

A:若干話は変わりますが、Kさんはすごく頑張り屋さんだと思います。

並木:そうですか。

A:学問的な成績は途中から「この調子でいったら問題ないだろう」っていうのは思っていたんです。でも、SOPはじっくり考えて書かないといけないし、大学側も他のところにも出してることぐらいは知っている、と。だから、いかに「あなたが第一志望ですよ」って思わせる文章を書くかの勝負なんですね。

A:とはいっても、一言一句全力を出さなければいけないわけではなく、定型文的に書いていいところと「この大学に自分がいかに合っているか」を全力で書くべきところがあります。何となくで書いた文章は、申し訳ないけど、向こうは一瞬で見透かすからね、と。

例えば「イギリスで上の方の大学だから、ここがいいな」みたいな感じの文章は、「別に他の大学でも当てはまっているよね」ってなっちゃう。もっと具体的に、「学科のシステムがこうだから」とか「3年で専門的な勉強ができるところに魅力を感じましたとか、そういうことを書かないといけないよね」っていう。

 

面接があるかどうかは「人による」

並木:試験では面接もあるんですか?

K:大学によってはあったんですけど、私は面接のところまで行かない段階で落ちちゃったりとかもしたので、結局面接はしないまま終わりました。

並木:そうなんですね。そうするとSOPがすごく肝になるっていうことなんですね。

A:面接試験に進むかどうかは、受験者のスコアのピークが関係しています。評価をスコアでつけたときに、スコアのピークのちょっと受かる側にいる人が面接されるんですよ。つまり、ちょっとでも他の人に比べて「競争力がない」と思われたらすぐに落ちるんです。逆にトロント大学のときのように「この子は受かるな」って思ったら、一発で奨学金と一緒に合格が来ます。

 

奨学金事情

並木:ちなみに、大学からの奨学金だったんですね。すごいですね。

A:向こうとしては多分、トロント大学に出願する人は、例えばマギル大学とかUBC(ブリティッシュ・コロンビア)などにも出願して、そちらからも合格がもらえるだろうから、同じランクで同じカナダの大学に選択肢がある人は、奨学金をたくさん出した方が入学してくる可能性がある、っていうことなんですよね。

並木:そうですね。

A:実際、UBCとかちょっと迷っていたよね(笑)。

K:はい、考えました。

A:合格をもらってから、「ここに行きます」という正式な手続きするまでに、何ヶ月かあるんです。なのでカナダの大学だけじゃなくて、イギリスやアメリカの合否も待っていたんです。すると、UBCは最初、奨学金がなかったんですけど、結局奨学金が出ることになったんです。

並木:すごいですね。

 

「3年制」の捉え方

並木:トロント大学は、最初からすごく行きたい大学だったんですか?

K:そうですね。元々カナダの高校も行ったし、割と環境に慣れてるっていうところを重視するなら、トロント大学に行きたいと思いました。

A:最初は「イギリスの大学に行きたい」って言っていたよね。学部が3年度ということもあって。

並木:短いんですね。

A:短いです。「大学卒業後すぐか、ちょっと社会人経験を積んだ後かは未定だけどMBAに行きます」ということだったので、「僕は物理を教えていて、自分で言うのもあれだけど大学をトップの成績で卒業したけど、未だに学部の本って研究しているときに読み返すよ」って言ったんですね。今でも「ここわかんないな、どうだろう」って見返すことって、たくさんあるんですね。Kさんの高校物理を教えるのに授業準備をしているときですら、正確に教えないといけないから、ちょっと先取りしたところも補足で言えるように調べ直したりもするので。

3年って、よく言えば早く勉強できるけど、悪く言うと大学院に出すときに必ずしも競争力があるとは限らない。3年で出るってことは、同じ能力の人が4年で出たときに、こっちの人の方が研究経験を積めているわけじゃないですか。そうなったときに、大学院に出願して、落ちて院試浪人することになったら、この1年のアドバンテージって無駄になってしまう。優秀だから「3年でパスしろ」と言われたらきっと3年で卒業できるけど、でもその1年間では色んなことができるはずです。

どんなに学部でいい成績だったとしても、3年っていうのは、良くも悪くも短いんじゃないかなと。だから、「3年間で短いっていうところだけにこだわりすぎない方がいいよ」と言ったんです。それもあって、アメリカも出願することにしたんですよね。

K:そうですね、最初は出すつもりはなかったです。

A:他の試験を追加で受けるのは効率が悪いので、調べてみてIBでどうにかなるところがあれば、ついでにそこも受けようって。受験料は親御さんに支払っていただく形になりますけど、とりあえず出してみたんです。勉強していく中で、イギリスやカナダよりアメリカの方が合うってなる場合もあるし。

大学院は、もちろんカナダとかイギリスにもいいMBAの大学があると思うんですけど、でも数だけで言ったらどの分野でもやっぱりアメリカが一番多いのもあります。英語圏の大学院に行くってなったとき、自然、アメリカが候補に入ってくる。そうなると、各大学のSOPの違いを掴んでおくのも大事だし、アメリカの学部に行くことになったら、アメリカの大学院に進学できるからそれもそれでいいんじゃないの?っていうことで「アメリカも受けてみたら」って言いました。

並木:そうだったんですね。

 

留学中の同級生

並木:ちなみに高校では、日本人って同じクラスにどのくらいたんですか。

K:いたにはいたんですけど、割合は少なかったと思います。学年が30人ぐらいだったんですけど、そのうち日本人が3、4人くらいでした。

並木:お友達は国籍に関係なく仲良くなったんですか?

K:そうですね。日本人と一緒にいることはあまり無かったです。

並木:当たり前ですけど、普段の会話もずっと英語ですよね。

K:はい。

A:カナダ以外の国から留学に来ている人って、日本人に限らずいたと思うんですね。でも話を聞いていると、Kさんと同じ熱量で勉強していた人はあまりいなかったんじゃないかな。

K:多分。全員が全員めちゃくちゃやる気があるわけではなく、いわゆる日本の進学校とはちょっと違う雰囲気でした。

K:国際生も結構いて。私みたいな感じで、中国など違う国から来たりとかしてる子もいたんですけど、カナダの大学を目指している人が本当に多かったです。アメリカとイギリスの両方に出した人は、多分学年で私しかいなかったんじゃないかと思います。

並木:そうなんですね。

K:アメリカへは確かもう1人誰かいたんですけど、本当にそのくらいのレベルで。

A:カナダへ留学に来ているから「そのままカナダの大学に行きます」っていうのは分からなくはないですが、もうちょっとイギリスやアメリカへ行く人がいてもいいんじゃないかなっていう感じは受けましたね。

Kさんと同じぐらいの熱量の人がもう何十人かいたら、もう何人ずつかはアメリカ、イギリス、オーストラリアに出願してみよう、と思ったんじゃないかなと。

K:多分、学校のサポートが薄かったところも生徒にとっては不安だったんだと思います。出願も、国によって若干違うんですよ。まずサイトが違ったり、提出しなきゃいけないものも微妙に違ったりします。学校の先生はカナダの出願については大体知っているので、サポートもある程度はしてくれるけど、アメリカとかイギリスとかになると全然違うから、「勝手にやって」みたいな(笑)。そんな感じになっていました。

並木:学校の先生からしたら、探すのも難しいし守備範囲じゃないよ、っていう感じなんですかね。

A:Kさんが優秀なので、任されていたっていう見方もできますけど。学校の先生の言い方とかを聞くと「カナダの大学に出せば受かるよ」みたいな。危機的な状況じゃないから勝手にやって、と言われているような感覚も、個人的には受けました。

K:A先生から「マッチングの問題だから、いっぱい出してもどのぐらい受かるか分からないよ」とすごく言われていて不安だったので、オーストラリアの大学も受けようかなと考えたりもしていたんです。それを学校の出願担当の先生に言ったら「カナダだけでいいんじゃない?」みたいな(笑)。

並木:なるほど。日本の進路指導だと、そこまで丸投げなことはないと思いますね。

A:そう思います。筆記試験一発で受かるわけでもないのに、「受かるでしょ」って。学校の先生はそう言うのは簡単だけど、本人は「書類が大部分でそれで決まる」っていうのが結構ストレスがかかるし。

並木:そうですよね。