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以前英検リニューアルに伴う問題形式の変更点に関するブログを上げたのですが、今回はその変更点の中でも最も大きな変化となる要約問題の対策についてお話したいと思います。

まず最初にそもそも要約問題とは何かという点ですが、要約問題には100語程度の課題文が必ず与えられており、その課題文が伝えようとしている要点を押さえながら、自分の言葉で一定量(級によって指定語数が異なります)の文章を書き、内容をまとめるというタイプの問題になります。

自分の意見を適当に書いても点数はもらえませんから、きちんとした要約を書くには課題文を正確に理解するということが前提となります。その上で「内容・構成・語彙・文法」という英検が設定している4つの採点項目に沿った形で適切な文章を書く必要があります。答案はもちろん適当に採点されている訳ではなく、英検は採点項目をちゃんと公表していますから、項目別に得点を獲得するという意識を持つことが大切です。

ここまで読んでも、「じゃあどうやって対策をすれば良いのか」ということが分からないと思います。ほとんどの中高生は要約問題の演習などしたことがありませんから、そう感じるのは当然のことです。ただ、ライティング全般に言えることとして、独学が非常に難しいという側面があります。例えば自分なりに答案を作成したとしても、その答案の何が間違っていてどのように改善したら良いかを自分で考えて気付くのはとても難しいですよね。

ここからは、どのようなポイントを意識して書けばよいのか?減点事項はどのようなものがあり、採点項目の採点基準はどこにあるのかなどについて、独学する方も対象とした上で、それぞれ攻略法を解説をしていきたいと思います。

Point①:課題文のメッセージをパラグラフごとに押さえる
パラグラフが分かれているということにはそれ自体に大きな意味があります。「各パラグラフで筆者が言いたいこと一つのみ」という原則があります。例えばパラグラフが3つあるということは、筆者が言いたいことは3つ存在していることになります。その3つのうち1つあるいは2つしか答案に盛り込まなかった場合は、「内容」の採点事項で大きな減点を受けることになります。また、具体的な記述のある箇所を要約してしまい、メインメッセージが解答に含まれていないというケースも減点材料になりますから十分に注意しましょう。

Point②:ディスコースマーカーを使って論理構成を明確にする
ディスコースマーカーとは、howeverやon the other handのような、文章の論理展開の起点になる単語やフレーズのことを指します。今回のリニューアルに伴い、新形式の出題例と解答例が公表されていますが、どの級の解答例にも必ずディスコースマーカーが入っています。ディスコースマーカーの使用の有無が「構成」の採点事項に大きく関わっていることは英検公式のYoutube動画を見る限りでも明らかです。例示を表すfor example(例えば)や、逆接を表すhowever(しかしながら)、原因と結果を表すas a result(結果として)やtherefore(したがって)などの主要なディスコースマーカーは必ず暗記して即座に使える準備をしておく必要があります。

Point③:本文の表現をパラフレーズ(言い換え)する
これは意識していない人も多いのですが、課題文と全く同じ単語やフレーズを繰り返していては高得点は望めません。例えば課題文中に“oil,coal,gas”という記載があった場合、自分の答案では“various natural resources”のように言い換える必要があります。この「言い換え」のことを英語では「パラフレーズ」と呼んでいます。パラフレーズする時は単純に別の語で言い換えるだけでなく、抽象的な表現を使用して、具体→抽象というように変換するのがベストです。特に要約問題では字数制限が厳しいことも多く、抽象化することで文字数を節約できるというメリットもあります。

以上の3つのポイントを意識しながら答案を作成する練習をしてみましょう。自分で演習をする際に非常に重要なのは、英検公式サイトや問題集に記載されている模範回答をよく見て分析することです。独学で取り組んでいると、どうしても我流になってしまいがちですが、模範解答で使用されている表現や論理展開を真似すれば必然的に高得点が出ます。模範解答が最も正解に近いものなのは当然のことですし、そこからできる限りの知識を吸収するのが最善手なのですが、実はこのことを理解できていない受験生も多いです。勉強法の1つとして、模範解答を音読・暗唱したり、写経することもとても効果的です。とにかく良い表現を盗んで自分のものにすることを大切にしましょう。ライティングで困ったら、まずは定型の表現を暗記する、これに尽きます。

私自身数多くの生徒の答案を添削してきましたので、典型的な文法ミスや論理展開のミスの例などを挙げ始めると枚挙にいとまがないので、今回はこの辺で終わりとしたいと思います。独学ではどうしてもスコアが上がらないという人は、究進塾での指導を含めて他の人に添削をしてもらいフィードバックを受ける機会を持つようにしましょう。ある程度文法の素地がある人であれば、一ヶ月程度の指導で劇的に答案の質が上がるケースも珍しくありません。独学で行き詰まってしまった場合は、早い段階で適切な指導者を見つけると良いでしょう。

松本先生

ICU(国際基督教大学)卒。物腰が柔らかで話しやすく、生徒の性格に合わせた指導が特徴の英語講師です。大学受験英語のほか、四技能指導を得意としており、英検やTOEIC・TOEFLなど英語資格試験の指導でも活躍中。

 


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