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千代田区立麹町中学校の元校長で、現在は横浜創英中学・高校校長でもある教育者、工藤勇一先生の「子どもが生きる力をつけるために親ができること」を読みました。

教育改革を行った教育者として著名な工藤先生のインタビューなどを目にする機会が何度があり、共感する部分がありましたので、読んでみました。

章立てが非常にシンプルで、読みやすく、まとまっている本で、子育てに参考になる部分が多くありましたが、ここでは特に、究進塾の代表として、保護者に向けてお伝えしたい内容をピックアップしたいと思います。

・子どもはもともと主体的な生き物
保育園や幼稚園、小学校と進んで行くと、「大人の言うことを聞く子がよい子」という価値観が大きくなり、主体性を失って行く→子どもの主体性を取り戻して行くことが必要

・手をかけないほど子どもは自律する
親は子どもにずっとついていくことはできない

・親はいい加減くらいでちょうどよい
真面目な話はほとんどせず、ダメな自分をさらすこと。そうすることで、子どもたちは安心し、親を信頼する

私の経験上、保護者が前のめりであるほど、本人の主体性が弱いという傾向が顕著に見られました。この本を見て、合点が行きました。

保護者が手をかけすぎ、神経質になりすぎることで、子どもは主体性を失って行くのでしょう。

個別指導という形式が集団授業以上に手厚いという特徴を持つため、仕方のないところではあるんですが、やはりそれが行き過ぎている、その結果として主体性が育たないのはもったいない、と感じる場面はこれまで何度もありました。

そして、保護者様が熱心で、生徒への期待度が高ければ高いほど、成果が期待に満たないと、「これだけ投資しているのに、なぜ結果が出ないんだ」という苛立ちを募らせることになります。

その矛先は、たいていの場合、担当講師と本人に向かいます。

担当講師は、保護者様に問い詰められると、実情を率直にお話しすることとなり「実はご本人が出した課題をやってこないんです」と言うと、怒りの矛先はご本人に向かいます。その結果、本人は益々モチベーションが下がって、勉強嫌いになってしまいかねないところまで追い込まれます。

まさに負のスパイラルですね。

これは単に不毛であるだけでなく、本人の自尊心、さらには本人と保護者の関係性にまで悪影響を及ぼします。

ですので、この記事をお読みになっている保護者の方には、ぜひ、胸に手を当ててみて、「手をかけすぎていないか」「前のめりになっていないか」をチェックしていただければと思います。私の予想では、おそらく「手をかけすぎているかも」と思う方が多いはずですので、これまでよりも手をかけずに、いい加減になることを意識してみてください。

親が神経質にならずに泰然自若としていること、加えて、自分の人生を楽しんでいること、これが子育てで何よりも大切だと、信じてやみません。

 

<この記事に登場する書籍>
工藤勇一『麹町中校長が教える 子どもが生きる力をつけるために親ができること

並木陽児

究進塾代表。最近ハマっていることは、川遊び(ガサガサ)と魚の飼育です。

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