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ここ最近、中学受験の開始時期が低年齢化しているという記事を見ることが増えました。
人気の大手塾では、小学校3年生の4月から出ないと入れなくなっているとのことです。

この件については、様々に思うところがあります。

まずは、「保護者様がこれまで以上に焦っているのではないか?」という点です。
日本でも格差が広がっている状況です。そんな中で、ママ友や会社の同僚などから「あの塾は小3からじゃないと入れないらしい」と聞くと、気持ちがざわついてくる。その奥底では「うちの子はなんとか良い学校に入れて、できれば勝ち組に、少なくとも負け組にはならないでもらいたい」という気持ちがあるのでしょう。

これは穿った、意地悪な見方でしょうか?そんなことは考えておらず、ただ純粋に「幸せになってほしいだけ」でしょうか?

その純粋な気持ちは、小3から塾に入れて勉強させるという行動と矛盾はありませんか?

親として、こういった感情が生じてしまうこと自体は、理解できます。

ですが、親のある種の「脅迫観念」から、自分の人生を判断するのに達していない子に受験をさせるというのは、やはり引っかかるものがあります。

そういった感情がベースにあるとすれば、子供の成績が上がらない場合、親はやはり同じ脅迫観念から子供につらく当たってしまうのではないでしょうか?その結果として、本人の自尊心は大きく傷つくことにならないでしょうか。

次に懸念点として、本人の主体性の芽を摘むのではないか?という点があります。

仮に、本人が自分で小3になるまでの段階で「私(僕)、中学受験したい」というのであれば、親として後押ししてあげたいと思うのは自然なことです。ただ、実際そのようなケースはどのくらいあるのでしょうか?割合としては少数派ではないでしょうか。

もっとも、私の知り合いでも、親がのびのびとした校風の私立小学校に入れたけれど、その雰囲気が合わずに公立に転校し、自分から「塾に行きたい」と言って中学受験をしたお子さんはいます。その他にも、お兄さんやお姉さんの影響を受けて、自分も行きたいと言い出したという子もいます。

ですが、やはり大多数は、親が主導で「私立のよい環境で、よい刺激を受けて育ってほしい」「あの中高一貫校がよいらしい」といった親心で中学受験に強いと言われる塾に入れるケースではないでしょうか?

私は「主体性」こそが育っていく際に重要なことだと考えています。

何かにチャレンジしたい→もっと上手くなりたい→色々と工夫する

というサイクルこそが人を成長させるというのを、これまでの指導経験から実感しています。
だからこそ、親主導での主体性の芽を摘んでしまいかねない危険性を孕んでいると思います。

もちろん「それを待っていたら出遅れてしまう」「うちの子は主体性が弱いから、親でリードしてあげないといけない」という反論もあるでしょう。

ですが、私に言わせれば、それでも主体性が育まれていれば、何とかなります。

仮に、小学5年から「中学受験したい」と言って、間に合わず志望校には入れなかったとしても、その経験から本人が自分で感じて学ぶものはきっと大きいはずです。

むしろ、当塾のこれまでの指導経験を振り返ったときに、主体性が弱かったり、モチベーションが低い、という生徒さんほど講師が苦労することはありません。また、そういった生徒さんには、共通して「低年齢の時期から保護者様が主導して塾(または公文など)に入って勉強させられていた」という傾向がありました。

だからこそ、中学受験の低年齢化には一抹の不安を覚えざるを得ません。

保護者様には、ぜひ泰然自若として、本人の主体性を潰すことのないよう、見守って育てていただけくことを願ってやみません。

並木陽児

究進塾代表。最近ハマっていることは、川遊び(ガサガサ)と魚の飼育です。

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