究進塾

深掘り!講師インタビュー【第1回】面接・小論文:尾川先生⑤地方大卒が仕事の役に立った

尾川先生の深掘りインタビューの続きです。

 

最後は、大学卒業後の仕事に、熊本大学を卒業したことが活きた、などのお話です。

 

アナウンサーという仕事に、どうして母校が役立つことになったのでしょうか?

 

 

並木先生(塾長)
大学受験生に化学を教えています。趣味は読書と野球観戦(ベイスターズファン)、カレー食べ歩き、子どもの遊び場開拓。1児の父として子育てしていることから、最近は幼児教育にも関心を持っています。

 


尾川先生

株式会社熊本放送に総合職として勤務し、アナウンサー、ディレクターなどを経験。
その後、2003年から公務員試験、アナウンサー試験、大学受験、医学部受験などの面接、小論文の講師として活躍中です。

 

 

 

当時の国立志向と大学選び

 

並木:妹さんは割と自由にのびのびと。

 

尾川:そうです。割と自由な感じはしていました。私は岩国高校の普通科で、妹は理数科でした。普通科の3年生には国立理系と国立文系の選抜クラスみたいなクラスが1クラスずつあり、私は文系の選抜クラスに入るために高2のときに猛勉強したのですが、妹は普通科ではなく、最初から理数科に入っていました。

 

並木:理系っていうことですか。

 

尾川:妹は理系なんですよ。微積までやっていて、高3の最後の最後に文転しました。

 

並木:そうなんですね。

 

尾川:だからSPIもちゃちゃっと解けます。身内を褒めるのは良くないですが、評定も高かったですし、賢い人だと思います。

 

並木:そのときの勉強が活きているんですね。ちなみに、妹さんは大学はどちらですか。

 

尾川:山口大学の人文学部です。国語学と国文学を専攻していました。

 

並木:山口大学だったら、家から通ったんですか。

 

尾川:通えないんですよ。実家は岩国市で、山口大学は山口市だから。

 

並木:遠いんですか。

 

尾川:高速に乗っても、2時間近くかかると思います。

 

並木:そうなんですね。

 

尾川:山口県ってすごく横に広いんですよ。

 

並木:岩国市は広島に近いんですか。

 

尾川:広島のすぐ隣なんですよね。

 


参考:岩国駅から山口駅までは、車で約1時間30分~2時間、約100kmほどの道のり。

 

尾川:それで、妹も一人暮らしをしていました。でも山口市は熊本市よりも不便なので、車を買ってもらっていました。

 

並木:そうなんですか。

 

尾川:妹は最初、学校の先生を目指していたので、山口大学に行ったのだと思います。

 

💡山口大学の教育学部は、1874年(明治7年)4月の教員試験所に端を発し、以降、山口県の師範学校として教員を育ててきた歴史がある。

 

尾川:でも大学3年ぐらいになったときに「CAになるわ」とか言い出して、CAになりました。

 

並木:ちなみに当時って、国立志向ですか。お2人とも国立へ行かれていますよね。

 

尾川:それはもう高校の指導の賜物ですね。

 

並木:そうなんですね。やっぱり国立志向が。

 

尾川:ものすごく強いですよ。

 

並木:尾川先生自身は迷ったりしませんでした?「東京出たい!」とか、そういう気持ちは。

 

尾川:いや、迷いもなかったですよね。もう「センター試験!!!」みたいな感じの教育なので。

 

並木:なるほど。

 

尾川:東京だったら、逆にそんなに受けられるところはないですね。学芸大、外大、お茶大みたいな選択肢になると思います。

 

並木:今みたいに「GMARCHと天秤にかける」とかみたいなのは。

 

尾川:なかったですね。父も叔父も岩国高校出身ですけど、父が立教で、叔父が明治なんです。立教も明治も身近な存在でしたが、私の頃は受験生が多いので、国立の滑り止めにGMARCHというのは難しかったと思います。そもそもGMARCHという言葉もありませんでした(笑)。

 

並木:そうですか。

 

尾川:お茶大にピアノの実技が入試で必要な学科があり、二次試験が国語と英語とピアノだったんですね。それで一応、課題曲の過去問を見て、それは弾けるようにしておきました。

 

並木:お茶の水女子大学は大学としては立派な大学ですけど、女子大自体あまり行きたくなかったっていうことですか。

 

尾川:それもありますよね。やっぱり大きな大学が良かったみたいなのは。色々な学部があった方が楽しいかな、みたいな気はしていました。

 

規模感の違い

在学者数は、熊本大学=9学部7,600人(2023年)、お茶の水大学=4学部2,060人(2024年)。
学部数は倍、学生数は3倍以上、という規模の違いがある。

 

 

熊本大学卒は仕事にも活きた

 

並木:熊大は結果的にはどうでしたか?

 

尾川:結果的には良かったと思います。色々な学部もあったし。その後、熊本放送に入ると、熊本放送と熊本大学とは密接な関係があり、熊本大学公開講座とか放送講座とか、そういう講座を色々としていましたし、熊大の先生方にインタビューをしてコメントをいただく機会も多くありました。地震があれば土木工学の先生とか、節分の由来を中国史の先生に伺うとかですね。子育て番組を担当したときは教育学部の教授や附属病院の小児科の教授にもお話を伺いました。そういうときに先生方や職員の方々が「OGが来た!」みたいに歓迎してくださることが嬉しかったです。その意味で、地方の国立大学から同じ地域の放送局に入るのは大きなメリットだと思います。

 

並木:そうなんですね。

 

尾川:そのメリットはあまり知られていないのですが、有り難いバックアップをいただけます。

 

 

並木:熊大は熊本出身の人が多いんですか。

 

尾川:福岡が一番多いみたいですよ。

 

並木:九州の人が集まっているんですね。

 

尾川:そうです。学生数で言うと「福岡が一番多い」って聞きましたけどね。

 

並木:逆に、関東の人とかはほとんどいないですか?

 

尾川:ほとんどいないですね。医学部にいるぐらいですよね。

 

並木:へえ。

 

尾川:九州各地のトップ校と言われる高校から集まっている感じです。

 

並木:ちなみに熊本って、関係ない話ではあるんですけど、半導体の企業が来たんですよね。

 

尾川:そうなんです。台湾のすごい企業が。それでバブルになっているようです。

 

並木:台湾の有名な企業ですね。

 

世界最大の半導体受託製造企業「台湾積体電路製造(TSMC)」によるバブル

食堂のパートが時給3,000円で募集していた。熊本県の最低賃金は898円。コストコの1,500円と比べても倍額という高額。地元では人手不足、土地代の高騰などの経済的影響があり、農家でも、農業に行き詰まりを感じていたことから土地を売る人も。

 

尾川:すごいですよね。熊本は土地もあるし、水も豊かなので、地震がありましたが、また盛り上がっていくといいなと思います。

 

熊本の土地・水 事情

菊陽町は、以下の特徴がある。
・土地が安価
・交通の利便性
・良質の地下水が大量に存在

半導体の生産過程では、ごみを洗浄するため純度の高い大量の水が必要となる。菊陽町の地下貯水量は琵琶湖の3.2倍相当。

 

並木:熊本の市内は住むとどうなんでしょうか。

 

尾川:熊本市自体は人口60万人以上いるので、不自由はないです。

 

並木:広島とあまり変わらないですか。

 

尾川:広島のほうが人口は多いですよね。

 

並木:そうなんですね。じゃあ割と暮らしやすかったですか。

 

尾川:そうですね。街の暮らしやすさに加えて、熊本大学からの熊本放送というのは歓迎していただけるんですよね。20代のときは凹みやすかったりもしますが、その時代を割と肯定感を持って生活できたのは良かったです。 「地方の国立か、東京・東京近隣の私立か」と悩んでいる受講生もいますが、その子のキャラにもよるかもしれないけれども、地方の国立も悪くないですよ。先生方との距離も近いです。GMARCHの英文科ですと1学年150人ぐらいいますが、私の頃の熊本大学では15人でした。その15人に対して、英語学2人、英文学2人、イギリス人の先生1人の5人がいらっしゃるし、当時の教養部所属の先生方も教えにきてくださるので、アットホームな雰囲気で面倒見がよく、とても丁寧な教育を受けました。卒論も英語で書きましたが、英作文も熱心に指導していただきました。それは国公立大学の良いところだと思います。東大もそうですよね。

 

並木:そうですね。そこがいいところですよね。

 

尾川:夫は東大の表象文化論ですが、1学年8人しかいないのに、先生方はとても多くて、野村萬斎さんにも習ったと言っていました。

 

並木:そうですか。

 

 

生徒に向けてメッセージをお願いします

 

並木:最後に、ありきたりな質問ですけど、生徒さんに向けて何かメッセージをお願いします。

 

尾川:高校生に対しては自分の可能性を信じましょうと言いたいです。コロナ禍以降、自分自身に自信がない、自分が経験したことや学力に自信がなく、凹みやすくなっている高校生が増えてきました。今は辛いかもしれませんが、自分の可能性を信じて、努力してほしいです。

 

並木:総合型選抜を目指す方が今一番メインだと思うんですけど、理想はどのぐらいからスタートすればいいですか。

 

尾川:実際には高3になってからいらっしゃる人がほとんどですが、高1、高2からでも全く問題ありません。高1ですと小論文の練習に早めに取りかかれますし、色々なタイプの小論文に当たることができます。入試小論文のタイプとして、課題文型小論文が最も多く出題されますので、早く始めることで、色々な課題文に出会えることがメリットです。課題文に書いてあることがそのまま背景知識にもなります。過去問の課題文は情報の宝庫ですね。

 

並木:高1ぐらいだと、月2ぐらいで受講がいいでしょうか?

 

尾川:高1ぐらいだと、月1でも十分です。

 

並木:高3になってからは?

 

尾川:月2から月4ですね。

 

尾川:入試直前は「面接練習したい」と言って、月8で来る人もいますよね。

 

並木:そうですね。

 

尾川:特に緊張しやすい人とか。

 

並木:そうか、面接と両方の対策が必要ですよね。

 

尾川:そうですね。最初は月1ぐらいで始めても、最後は月8だったみたいな、最後に集中的にいらっしゃる人もいますよね。

 

並木:確かに。本日は貴重なお話をありがとうございます。

 

尾川:ありがとうございます。

 

 


 

究進塾 編集部

究進塾は、「学問の楽しさを伝え、結果を出す喜びを体験してもらうことで塾生の人生を豊かにしたい」という考えから、学習に役立つ情報や学習のコツなどを発信しています。
マンツーマン個別指導専門で、大学入試や大学院入試、単位取得、日大基礎学力テスト対策など、多様なニーズに対応。