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2021年以降、大学入試における総合型選抜・学校推薦型選抜の割合が増加しています。
比較的センセーショナルな形で「大学入試の定員の約半分が総合型選抜・学校推薦型選抜に」という報道がされたのも記憶に新しいところです。
参考記事:【大学受験】総合型選抜の割合増加…全1,071大学の入試実態調査(リセマム)
この業界に長くいると、
座学での「勉強」というものについてはそれなりに理解しているつもりでいて、「高3の1~2月に間に合わせる」というルーティンに慣れ切っているため、
こうした「人物重視」の大学入試への急激な変化に追いついていくことはなかなかに大変だと感じています。
究進塾のYoutubeなどでも、総合型選抜などについての動画をいくつかアップしています。是非参考にしてみてください。
多くの受験生の皆さんに「総合型選抜」「学校推薦型選抜-公募入試」「学校推薦型選抜-指定校推薦」など、
入試対策をするために究進塾へお通いいただいているのですが、
今回お話したいのは「いつ始めるべきか」ということです。
結論から申し上げますと、「志望校の決定も含め、1日でも早い方が望ましい」です。
なぜかというと、
①書類の準備など、出願前の準備
②個別試験(小論文・面接)の準備
③一般入試と並行させる必要がある
など、準備に充分な時間が必要であるから、そして準備の種類も多いからです。
書類の準備など、出願前の準備について
総合型選抜を例にとってみますと、選抜に必要な提出書類としては主に下記のようなものがあります。
調査書(成績表)
卒業(見込)証明書
志望理由書
自己推薦書
※事前課題(小論文形式のものが多い)を課すところもあります
とくに下の「志望理由書」「自己推薦書」については
・高校生活で力を入れてきたこと
・大学のアドミッションポリシーに対しての自己アピール
・上記2つについて、綿密な自己分析
が必要となり、これは間違っても「出願直前」にスタートする類のものではありません。
●みなさんは「高校生活でどういうところに力を入れてきたか」という質問に対して、「具体例を挙げて端的に」回答することができるでしょうか?
→おそらく、きちんと準備をしている人でなければかなり難しいはずです。
●「行きたい」という大学があったとしても、「なぜその大学でなければならないか」「自分がどうしてその大学を志望しているか」を説明できますか?
→こちらも、きちんと普段から大学・学部・学科について調べ、考えを文章化する訓練をしていなければ、難しいでしょう。
大学・学部によっては、出願に際して英検をはじめとした外部検定試験のスコアを要求されることもあります。こうしたことは高3になってからスタートしても、手遅れになることが多く、残念ながらそうした生徒さんを多数見てきました。
そして、近年特徴的なことが、「事前課題…小論文など」を課す大学が増えているということです。
「小論文」とは「作文」とは違い、個人の「感想」を述べるものではありません。テーマなり課題文なりが課されたときに、問題点や論点を抽出・あるいは自ら設定して、「論理的に」述べる能力を見られています。普段から訓練していなければ、到底大学側の求めるものにはならないでしょう。
事前課題については、下記の動画も参考にするとイメージがわくでしょう。
個別試験への準備
事前書類等が済んで一安心している余裕はないのが総合型選抜です。中には学力検査ということで簡単な筆記テストが課されることもあり、後述のように一般入試への備えもしておくことが理想的です。
そして、個別試験の柱は主に二つです。
■小論文
■面接
小論文については措きますが、面接について。こちらも、必要な準備と「多くの練習」が必須です。
なにしろ「初対面」で、「自分よりもはるかにいろいろなことを知っている」大学教授が相手です。
中途半端な知識や、表面上ちょっと格好をつけたとしても、簡単に見透かされてしまいます。
また、事前課題で提出したもの、志望理由書なども大学側は完璧に把握していますから、そことの矛盾がないような立ち振る舞いが求められます。
(かつて、提出した志望理由書のデータを紛失してしまっている学生などもいました…こうしたことも事前準備にしっかり時間をかければ防げることなので、気をつけたいものですね)
※大学によっては、「プレゼンテーション」という形式のところもあります。これも準備の勘所が違うので、要注意ですね。
面接については、やはり指導者のもとで練習を積み重ねることが重要です。そしてそれには「自分の志望する大学・学科・専攻に関する知識」も「論理」も必要になります。
大学によっては、次のような質問がなされました。
☆「フェアトレードについて説明してみてください」
☆「日本と海外、どちらで働きたいと考えていますか?また、それぞれのメリットとデメリットを述べてください」
☆「〇〇学部だったら▲▲大学でも良いのではないか、どうしてうちの大学なのですか?」
当日、何の考えもなしにこうしたことに回答できる受験生はおそらく皆無といえるでしょう。
想定質問を数多くこなし、それぞれにフィードバックを受ける。こうした訓練は「一人ではできない」ものなので、やはり指導者のもとで練習しなければなりません。
一般入試と並行させる必要がある
指定校推薦などを除けば、総合型選抜・学校推薦型選抜(公募)については一般入試を併願せざるを得ない受験生が多いでしょう。
なぜかというと大学ランキング(偏差値)などのように、合否を考えるうえでの客観的(数字で判断できる)指標やデータがないために、合格可能性は読み切れません。また、学力検査を課す大学もあるからです。
また、ここが総合型選抜や学校推薦型選抜への対策を難しくしているのですが、多くの大学では8月~9月に出願、10~11月に試験という流れです。
これまで述べてきたように、総合型選抜や学校推薦型選抜については、年々大学側からの要求が高くなり、高倍率になっていますから、一般入試の勉強にかかりっきりになった状態で「片手間で」「適当に」準備できるようなものではなくなってきています。
いっぽうで、仮に総合型選抜や学校推薦型選抜で不合格になったとして、それは高3の11月~ですので、そこから一般入試の対策を始めても手遅れです。当然受験学年になったら、もうすでにスタートしていなければなりません。
こうしたことを考えると、「1日でも早く対策を始めるべきだ」ということもお分かりいただけるのではないでしょうか。
一般入試の厳しさは、いろいろなところで耳にするはずです。総合型選抜を課す大学が増えてきて、一般入試の定員もかなり少なくなってきています。
以上のことから、「高3の夏から」では遅すぎるということが言えます。遅くとも高2の秋ごろには始動しなければなりません。
究進塾の面接・小論文講座では短期(3時間か5時間)講座もご用意していますが、これは「最後の見直し」「もう1ランク面接・小論文の精度を上げたい」という受験生にはマッチするものの、「何も準備していないので、ゼロからやってほしい」というご依頼ですと、できることはほんのわずかです。何しろ事前課題なども既に提出してしまっているからです。
もはや「片手間で」「短期間で」は通用しない、それが総合型選抜・学校推薦型選抜です。
上述のように、英検のスコアを要求するところは多いですし、また学校の評定も少なからず関わってくることを考えれば、「実質的に高1・2のうちに勝負は始まっている」とも言えます。
いち早く志望大学を決定し、そして準備を開始しましょう。
粕川優治 究進塾副代表。文系大学受験、および日大内部進学コースの責任者をしております。 |