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【1】マクロ経済学とは何を扱う学問か

今回からマクロ経済学に進みます。復習のために本ブログの過去記事(下記URL)を参照ください。

「ミクロとマクロ」
「景気とは?」
「所得と収入の違いについて」
経済学の学び方

マクロ経済学の「マクロ」は「巨視」という意味で「国全体の経済活動を大きくとらえる」ということです。マクロ経済学では、ミクロ経済学のように「ミクロ=個々の取引」にこだわらずに「国全体を意識」します。

たとえば、ミクロ経済学では「個人が何をどこの店で買った」「企業が原材料をどこから仕入れた」などの個々の取引を中心にとらえます。

一方、マクロ経済学では「国全体の景気」を重視します。「国全体の景気」は「GDP(国内総生産)」という経済指標で測定します。


【2】従量税の余剰分析と市場均衡の変化

それでは「従量税の余剰分析」に入ります。グラフをご覧ください。
国内生産」はGross Domestic Productの頭文字をとって「GDP」と表し次のように定義します。

「GDPとは1年間に国内で生産された付加価値の合計である」


【3】GDP定義を構成する4つのキーワード

4つのキーワードについて説明します。

①「1年間」→国内の経済活動の集計期間(経済指標の作成期間)
暦年(1月~12月)、年度(国によって異なる/日本4月~翌年3月)
国ごとの景気判断は年度統計、国際比較の場合は暦年統計を使用

②「国内」→基本的には領土
国内=領土-(米軍基地+外国大使館・領事館)+日本大使館・領事館
米軍基地と外国大使館・領事館は日本の領土内にありますが計算上は「外国」とします。
日本大使館・領事館は外国にありますが計算上は「国内」とします。

③「生産された」→生産活動(業種を問わない)

④「付加価値の合計」→「人々の所得合計」
「付加価値=所得」「所得=賃金+地代+家賃+利子+配当+利潤」
詳細については本ブログ「所得と収入の違いについて」を参照してください。

「所得と収入の違いについて」


【4】GDPと景気判断の関係

定義に戻ると

「GDPとは1年間に国内で生み出された所得の合計である」

といえます。
人々の所得は生産活動に基づくもので「好景気=所得増加」「不景気=所得減少」と判断します。


【5】GNP(国民総生産)とは何か

次にGNP(国民総生産)の説明に入ります。

「国民総生産」はGross National Productの頭文字をとって「GNP」です。

GNPをGDPと比べると違いはN(National国民) と D(Domestic国内)です。

GDPが場所(国内)を重視するのに対してGNPは人(国民)を重視します。

「国民」とはその国の「居住者」のことをいいます。「居住者」はその国に住んでいる個人・法人であり、国籍を問いません。細かな定義には触れず、本質的な部分でいうと「日本に住んでいる人はどこの国出身かに関係なく国民経済計算上は日本国民として扱う」ということです。「日本に住んでいる外国人留学生」「外国企業の日本支店」などは「日本の居住者」となります。

逆に「外国に住んでいる日本国籍を持つ個人」「日本企業の外国支店」は「外国の居住者」となります。


【6】GNPとGDPの関係、そしてGNIへの名称変更

GNPを定義すると次のようになります。

「GNPとは1年間に国民(日本の居住者)が生産した付加価値の合計である」

GDPとの違いは「国民が生産した付加価値の合計」という部分です。この場合の付加価値には国内で生産した付加価値外国で生産された付加価値が含まれていますので

「国民の付加価値(GNP)=国内生産の付加価値+外国生産の付加価値」

となります。
「国内生産の付加価値=GDP」ですので、「国民の付加価値(GNP)」は「外国生産の付加価値」の分だけズレます

「付加価値=所得」ですので「外国生産の付加価値=日本の居住者が外国で稼いだ所得」となります。

現代のように経済がグローバル化している状況では「日本の居住者」が「外国で所得を稼ぐ」ということが常態化します。「外国で稼いだ所得」は「外国の生産活動による付加価値」で日本の生産活動と無関係です。生産活動というより所得ととらえた方が実情にあっているという理由から「GNP(国民総生産)」は「GNI(国民総所得)Gross National Income」に名称変更されました。

「GNP=GNI」は「外国の生産活動による付加価値」を含んでいます。純粋に国内景気を判断するためには国内の生産活動の成果(付加価値)である「GDP」が重視されます。実際の国民経済計算においては「GDP」を基準に計算が行われています。かつては「GNP」が重視された時代がありましたがその役割を終え、「GNI」に名称変更されました。

しかし、各種試験やテキストでは現在も使われることがありますので「GNP=GNI」という関係を理解しておいてください。


執筆者プロフィール


S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。

長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。


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