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【英語】2025年9月実施分 日大基礎学力到達度テスト 大問2(B)
こんにちは、英語講師の松本です。私は毎年日大付属校に通う基礎学の生徒さんを担当しているのですが、昨年9月に実施された高校3年生の基礎学でユニークな問題が一問出題されていたので、みなさんにご紹介したいと思います。
下記の会話形式の問題が実際に出題されたものになるので、まずは解いてみてください。この問題は2025年度9月実施の大問2(B)からの抜粋で、最後の空所に入れるべき文を①~④の選択肢から選ぶという問題です。
A: Oh, you have so many books in your room.
B: Yes, my parents keep buying them. They heard somewhere that smart children have many books in the house.
A: Did you read all of them, or even some of them?
B: Of course not. ( )
① I’m not smart because I don’t have any books.
② I want to book my trip to the National Library.
③ I’m proving my parents are wrong.
④ I have reading books, especially science fiction.
問題のレベルとしてはさほど高くないので、もしかしたら簡単に解けたという人も多いかもしれません。
この問題の正解は③の選択肢で、“I’m proving my parents are wrong.” つまり「両親が間違っていることを証明しているところなんだ」とBさんは最後に言っていることになります。なかなか皮肉が効いていることに皆さん気付きましたか?
文章の全体の流れがよくわからなかった人もいると思うので、全文訳も載せておきますね。
A: わあ、君の部屋にはとてもたくさん本があるね。
B: そうなんだ、両親がずっと買ってくれてるんだ。賢い子どもは家にたくさん本を持っているというのを両親がどこかで聞いたらしくて。
A: これ全部読んだの?それとも少しだけでも読んだ?
B: もちろん読んでないよ。両親が間違っていることを証明しているところなんだ。
今回の問題は、両親が買い溜めた本が部屋にたくさんあるのにもかかわらず、当の本人が全く本を読んでいないという、両親に対してやや反抗気味なBさんの心理をスムーズに表現した選択肢が正解になっています。
子どもの部屋にたくさん本を置いておけば、子どもは自然と本を読むようになるだろう、そして勉強もできるようになるだろうという安易な親の思いが透けて見えてしまい、嫌気が差して反抗したくなるという気持ちは確かによくわかります。強制されてしまうとやる気がなくなるものですし、子育ての難しさも感じられるトピックですね。
基礎学の問題でこの手の皮肉が効いた問題はあまり目にしたことがなかったので、とても面白いなと思い、今回はご紹介させていただきました。ちなみに英語で「皮肉」を意味する単語は“irony”で、現代文でも「アイロニー」とカタカナで使用されることも多いので、ぜひ覚えておきましょう。
さて、では本当に本を読んだら頭がよくなるのか?ということに関してですが、読書量と学力には一定程度の相関関係(因果関係ではない点はご注意ください)があるということは、実は複数の研究で証明されています。
例えば、一つ研究例を挙げると以下の論文があります。
Mol, S. E., & Bus, A. G. (2011). To read or not to read: A meta-analysis of print exposure from infancy to early adulthood. Psychological Bulletin, 137(2), 267–296.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21219054/
では参考までにこの論文の内容を簡単にまとめてみましょう。
この論文では読書量と学力には一貫して有意な正の相関があると述べられています。日常的によく本を読む子どもほど、語彙力や読解力、文章理解力が高い傾向が一貫して確認されています。読書だけで成績が決まるわけではありませんが、読む経験の積み重ねが学力の「土台」を形づくることは明らかです。読む力が高いほど多く読み、読むことでさらに力が伸びる「好循環」が確認され、学年が上がるほど影響は大きくなっています。つまり、特別な教材よりも、普段から文章に触れる習慣そのものが、長期的に学力差につながる可能性を示唆しています。
この論文はあくまで一例に過ぎませんが、同様の結果を示す論文は複数ありますから、子どもの部屋にたくさん本を揃えておくということ自体には一定の合理性はありそうですよね。子ども目線でも親目線でも、どちらにしても議論の余地は十分にありそうですから、しっかりと親子で話し合ってみるということが大切ですね。
基礎学の過去問の解説を期待してこのブログを読んでいただいた方は少しがっかりしてしまったかもしれませんが、試験問題には意外と内容的に面白い問題も潜んでみたりするものなので、そういう問題を探しながら内容に興味を持って問題を解いてみるのも良いかもしれませんね。ではまた次のブログでお会いしましょう。

英語講師。ICU(国際基督教大学)卒。趣味はランニング、映画鑑賞、音楽ライブ鑑賞など。今年はエンタメを全力でたくさん楽しむというのが目標です。



