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行政書士の年収は500万程度とする情報をよく見かけます。行政書士は本業以外に、副業で様々な収入を得ている人も多いので、それらが合算されていると思います。副業の代表例は保険の代理店などです。
ですので、行政書士の年収は、サラリーマンと同等くらいとイメージしてもらってよいでしょう。ですが、それぞれの行政書士の年収の格差は非常に大きいと思います。その原因は仕事の選択です。どうすれば高い年収を得られるのでしょうか。
その答えは「どれだけリスクを取るか」です。高い報酬には理由があって、相応の危険がともなうこともあります。たとえば、高い報酬が得られる仕事として風営法の許認可(キャバクラ、パチンコ、性風俗など)があります。案件によって数百万の報酬が生ずることもあります。風営法の許認可庁である警察の対応は、他の行政庁と比べれば厳格です。反社会的勢力や社会秩序の乱れと関係を生じやすい風営法の業種を考えると仕方ありません。風営法の申請には現地調査が必要となるのですが、これが大変です。それゆえ、この調査をせず、または、いい加減な調査しかしない行政書士も現れるのですが、そうすると、申請が拒否され、許認可取得に失敗します。この場合、行政書士に過失があれば依頼者から損害賠償を請求されます。過去には、数千万円の損害賠償を請求された事例があり、行政書士の間では語り草になっています。風営法には現地調査以外にも、内装工事をめぐる建設業者との衝突など、申請の失敗につながる様々なリスクが存在しています。
ただ、風営法業務に限ったことではありませんが、人脈や特別な知識や経験がある場合、業務のリスクを最小限に抑えることもできます。このような行政書士は当然成功して高額な年収を実現できます。実際、警察官が行政書士となって、風営法専門の事務所を開いて成功しているという話をこれまで何度も耳にしました。
【開業費用】
自宅で開業をする場合、開業費用は概ね50万程度と言われます。内訳は行政書士会の入会費用が30万前後、固定電話回線設置・行政書士印・看板のように設置が義務付けられているのもの、それと関連するパソコン・プリンターなどの費用です。安いものを選んでいけば、50万円くらいで開業することは可能です。少なくとも自宅開業ならば100万円はかかりません。
脱サラして独立して商売を始めることを考えると、初期投資の低さに驚かれる人が多いです。軌道に乗ればすぐに開業費用は回収することができます。また、行政書士は専業規定がないので、サラリーマンをしながらでも開業をすることができます。低費用で、サラリーマンを辞めずに開業ができるのも魅力の一つです。
【行政書士特有の固定費】
開業後、どれだけ固定費がかかるかというのも、行政書士開業を検討する上では必要だと思います。行政書士特有の固定費は会費です。実は、会費は各都道府県で異なるのですが、東京では月額7000円(会費6000円+政治団体会費1000円)になります。3か月ごとに引き落とされます。行政書士会の会費は他の士業と比べると安いと思います。弁護士に会費の話をするとあまりの安さに驚かれます。これも行政書士の魅力の一つでしょうか。
行政書士試験は明らかに難関資格になってしまいました。勉強は大変ですが、将来のことを考えてモチベーションを維持して、日々勉強に励んで頂きたいと思います。その一助になれれば幸いです。
【執筆者】Y
究進塾の行政書士コースの担当講師。
国立大学大学院修士課程修了。
私立大学非常勤講師の経験を持ち、大手資格予備校で行政書士をはじめとする法律系国家資格の指導歴は約20年。
行政書士実務についての著書・論文もあります。
<塾よりひとこと>
誠実で実直な性格が特長の講師です。