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【1】国民経済計算の土台:用語の暗記から理解へ
これまで、GDPやGNI、三面等価原則、フローとストックについて、少しずつ順番に学んできました。ここまで読み進めてきた人は、国民経済計算の「土台」が、かなりしっかりしてきているはずです。
用語をただ覚えるだけでなく、「なぜそうなるのか」を考えることが重要です。
【2】多くの大学生が直面する壁:4つの指標の混同
しかし、多くの人が、このあたりで一つの壁にぶつかります。
それが、 「GDP・GNI・GDE・GDIの違いがよく分からない」という悩みです。
名前はよく似ている。
出てくる数字も近い。
説明を読んでも、違いがはっきりしない。
その結果、「結局、全部同じようなものでは?」と感じてしまう人も少なくありません。
しかし、これは大きな誤解です。
これら「四つの指標」は、同じ経済活動を見ていますが、見ている「位置」がまったく違います。

【3】GDP(国内総生産):「生産」の視点
まず、
GDPは「生産の側」から経済を見た数字です。
国内で、どれだけの付加価値が生み出されたか。これを測っているのがGDPです。企業がどれだけ価値を生み出したのか、その結果を集計したものだと考えると分かりやすいでしょう。
【4】GDE(国内総支出):「支出」の視点
一方、
GDEは「支出の側」から見た数字です。
生産されたモノやサービスが「消費・投資・政府支出・純輸出」として、どれだけ使われたか。これを合計したものがGDEです。「誰が、何に、どれだけお金を使ったか」という視点で見た数字だと言えます。
【5】GDI(国内総所得):「分配」の視点
そして、
GDIは「分配の側」から見た数字です。
生産によって生まれた価値が、「賃金・地代・家賃・利子・配当・利潤」として、どれだけ人々に分配されたか。これを測っているのがGDIです。
つまり、
「GDP=生産」「GDE=支出」「GDI=分配」という関係にあります。
【6】三面等価の原則:なぜ3つは一致するのか
すでに学んできた三面等価原則を思い出してください。 「生産されたもの」は必ず「誰かの所得」になり必ず「誰かの支出」になります。
だから、
「GDP=GDE=GDI」が、理論上は必ず成り立つのです。
【7】GNI(国民総所得):「誰が稼いだか」と海外取引
では、GNIは何を表しているのでしょうか。
GNIは「誰が稼いだか」に注目した指標です。
GDPは「どこで生産されたか」を重視しますが、GNIは「誰が所得を得たか」を重視します。そのため、海外との取引が関係してきます。
| ①「日本の居住者が外国で得た所得」→GDPに加算 ②「外国の居住者が日本で得た所得」→GDPから控除 |
これが「海外からの純要素所得NF」です。GDPを修正した結果がGNIになります。
【8】4つの指標の数式と整理
| 「GDP+NF=GNI」 「NF=①-②」 ①>②→外国からの受取超過→「GDP<GNI」 ①<②→外国への支払超過→「GDP>GNI」 |
このように定義すると 四つの指標の関係は次のように見えてきます。
「GDP:国内の生産を見る」
「GDE:国内の支出を見る」
「GDI:国内の分配を見る」
「GNI:国民の所得を見る」
見ている角度は違いますが、すべて同じ経済活動を、別の方向から切り取っているだけです。
この関係が頭の中で整理できると、数字の意味がはっきり見えてくるようになります。
【9】実力確認:確認問題にチャレンジ
それでは、確認問題にチャレンジしてみましょう。
| 【確認問題】 次のうち、正しいものはどれか。 ① GDPは海外で得た所得も含めて計算される。 ② GNIは国内外を問わず、自国の居住者の所得を合計したものである。 ③ GDEは企業の利益のみを集計した指標である。 ④ GDIは消費支出だけを表す指標である。 ⑤ GDPとGNIは常に完全に一致する。 |
どれが正しいか 理由もあわせて考えてみてください。 答えと詳しい解説は 次回のブログで説明します。 今回の内容を、「何となく分かった」で終わらせず、自分の言葉で説明できるかどうかを意識して復習してみてください。それが、国民経済計算を確実に身につける近道です。
執筆者プロフィール

S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。
長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。



