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こんにちは。究進塾 編集部です。

今回は、産業医科大学医学部の入試について解説します。

産業医科大学医学部は、出題の傾向が全く私立大学らしくありません。漠然と私立大学用の対策で臨むと、痛い目を見る可能性があります。

問題の傾向、対策法についてお伝えしていきます。

📝この記事のポイント
・出題内容と難易度
・入試問題の特色
・おすすめの問題集
・過去問使用は有効か

はじめに
こちらの記事は、究進塾の講師、細田朗先生の解説動画を参考に、解説しています。音声を聞ける環境の方はぜひ動画をご覧頂き、細田先生の講義の雰囲気を掴んでいただければと思います。

動画紹介
【究進塾】医学部受験チャンネル
【2022年版】産業医科大学医学部 -英語の傾向と対策(所要時間:21分24秒)

講師:細田朗

早稲田大学教育学部英語英文学科卒。 第二言語習得法に基づいた音読を重視した英語指導法が特徴。TOEIC945点。英検1級取得。医学部受験生への指導経験・合格実績も豊富な講師です。☆医学部受験対策の詳細はこちら

問題の傾向

解答時間・形式

解答時間:100分
解答形式:記述式

100分という制限時間は、それなりに余裕があると思います。記述がある分、長めに設定されています。

もちろん英語が苦手な場合は足りなくなる可能性もありますが、英語が合格レベルに届いている生徒なら、間に合わない解答時間ではありません。

しっかりと記述の構想を練る時間、見直しの時間もあるはずです。

 

出題内容

大問数:4問

長文読解が3つ、大問4は自由英作文です。

 

大問の具体例

具体例として、令和2年度の入学試験問題を見ていきます。

 

大問1:長文読解

文章読解です。形式は一般的で、文章の中に「あ・い・う・え・お」と空欄があり当てはまるものを埋めていく問題です。しかし、選択肢がありません。

「”あ~こ”に入れるのに最も適当な英語1語を、それぞれ書きなさい」

このように、受験生が自分で考えて単語を入れる形になっています。

・前後の文脈
・文法の知識
・熟語の知識

これらを踏まえて、正しい単語を選択し単語を入れていく形式です。選択式と比べると、難易度は高くなります。しかし「自分で書く」という形式は珍しいものの、“特殊な能力が必要”というわけではありません。

①長文を正確に読める力
②文法・語彙・熟語などの基本的な力

これが必要というだけです。

💡これが出来ていれば大丈夫!

他の問題形式でも必要とされている、基本的な英語の力がきちんと身に付いていて、かつアウトプットできるレベルまで達していれば、特別な対策をする必要はないといえます。

 

大問2:長文読解

文章のレベル
英検準一級くらいです。

テーマ
医学に特化した内容だけが出題されるわけではありません。2020年度の問題では「insect eating=昆虫食」に関する話題が出てきました。このように、幅広い分野の話題が出るということは知っておいてください。

問題形式
設問1:内容説明
↳例「下線部1の理由を、本文の内容に沿って60字程度の日本語で具体的に書きなさい。」

設問2:内容説明
↳例「下線部2について、コオロギ食が環境にもたらす良い影響を見て、本文の内容に沿ってそれぞれ60字程度の日本語で書きなさい。」

設問3:日本語訳
↳例「下線部3を日本語に訳しなさい。」

設問4:内容一致系
↳例「本文の内容に関する次の文1~5を読み、正しいものには〇、間違っているものには×をそれぞれ記入しなさい。」

設問1、2は、本文の内容を説明する出題です。本文を正確に読解できる力、設問で問われている内容をピックアップし記述していく力が問われます。

設問3は、本文の下線が引かれたところを訳す力、一文を正確に読む力が試されます。

設問4の内容一致は、非常にオーソドックスな問題で、他の私立大学でもよく出題されます。本文と照らし合わせて正しいものは〇を付け、間違っているものには×をつける問題です。この設問は比較的簡単で、文章がきちんと読めて、本文の内容と照らし合わせていけば、それほど迷うことなく解答できます。難易度は標準的であると言えます。

総括すると、大問2は記述量が多いところがポイントといえます。

 

大問3:長文読解

文章のレベル
英検準一級と同等程度。最大でも準一級レベルの文章が出ます。

出題形式
出題形式に関しても大問2と同様、大問3にもしっかりと記述系の問題が出ています。

〇内容説明系
↳例「内容を80字程度の日本語で具体的に書きなさい。」「下線部イの理由を、本文の内容に沿って120字以内の日本語で書きなさい。」等

〇日本語訳
↳例「日本語に訳しなさい。」

「120字以内の日本語で書きなさい」という設問を見ると「120字も書くの?」と思う人がいると思いますが、記述量はそこまで問題ではありません。設問で問われている部分をちゃんとピックアップすれば120字程に収まります。自分で色々考えて書かなければいけないわけではなく、本文でしっかりと正しい場所を見つけて、それを余すところなくちゃんと書く力があれば、文字の多さはそれほど問題になりません。

設問4は、大問2と同様、内容一致系の問題で〇と×をつけていくものです。標準的な問題であり、点数の稼ぎどころです。

 

大問4:自由英作文

最後に自由英作文が出題されます。

過去問の出題例「環境の変化につれて、今後未来において人間の体に変化が生じる可能性があると思いますか。あなたの考えを100語程度の英語で書きなさい。」

このように、とっつきやすいテーマともいえないが非常に抽象的でもない、難しくも簡単でもない、というテーマです。全く書けないということはないでしょう。

過去問や標準的な自由英作文の問題集などを使い、しっかりと英作文の対策をすれば十分に対策ができ、しっかり得点が稼げるレベルの英作文です。

語数は100語程度であり、標準的な長さです。

 

出題内容の総括

記述が多さからわかる通り、出題形式は国立大学入試のイメージで考えると良いです。私立の出題形式を漠然と想定していると、全く私立大学らしくない出題に痛い目を見る可能性があります。

そして長文のテーマは医療系に偏らず、様々なジャンルから出題されるところもポイントです。私立医学部ではありますが、やはり漠然と医療系の文章を読んでいけばいいと考えると失敗する可能性があります。注意が必要です。

 

難易度

文章の難易度は、最大でも英検準一級レベルです。医学部の入試には、非常に高い難易度の文章が出ることが多くありますが、産業医科大学は、他の医学部に比べると読みやすい文章が出ます。

とはいえ、英検準一級くらいのレベルではあるので、それなりの難易度であることに変わりはありません。

記述問題が多く、記述がメインとなる試験です。そのため、記述対策ができているかどうかで差が開きます。ぶっつけ本番では対応できず、焦ってしまう可能性が高いです。

対策をしていなければ点数が取れずに差がつけられてしまいますが、しっかり対策をしていけば、そこまで難しくはありません。

時間制限は100分あるので厳しくありません。それほど時間に余裕がないことはないでしょう。

全体の難易度としては、「標準~やや難」程度です。文章自体、英作文自体の難易度は高くはありませんが、単純に記述量が多いため、やや難と言えます。

 

対策用テキスト

今回は、産業医科大学の受験対策に特化して、おすすめしたい参考書のみをピックアップしてご紹介します。

 

長文読解対策テキスト

まずできなければいけないのは「長文読解」です。文章読解自体ができなければ、空所補充も内容説明もできません。

おすすめ①『英検 文で覚える単熟語
英検対策用の参考書です。長文の中で単語を覚えていく形式で、単語を覚えること、長文読解の能力を鍛えることの両方が一気にできます。しかも、産業医科大学の場合には幅広いテーマの文章に触れた方がいいので、そういった意味でも英検の参考書をおすすめしています。レベルは、準一級までをしっかりとやっていくことをおすすめします。

おすすめ②『パラグラフリーディングのストラテジー
河合塾が出版している参考書です。記述ができるようになるためには、文章の構造を正確に理解している必要があります。漠然と文章の流れを追っているだけでは、いざ記述するときに「どこから取っていいか」がわからなくなってしまう可能性があります。この参考書は、しっかりと文構造をつかむ練習に適しています。文構造のつかみ方を丁寧に説明してくれています。1から3まであり、できれば3までやりましょう。

おすすめ③『国公立大医学部の英語
国公立大対策用テキストです。こちらを使用し、しっかりと記述対策いってください。

 

単語帳

英検でる順パス単
英検の単語帳です。英検の単語帳はレベル別になっているため、自分のレベルに合わせて選びやすいのが利点です。準一級まで仕上げることができれば、単語レベルでは問題ないと思います。

 

文法対策

VINTAGE
文法、熟語、語法などを網羅している参考書です。ただし、文法網羅しているもので、既に使用しているものがあればそちらで構いません。何でも大丈夫です。とにかく1冊を極めてください。

 

英作文

自由英作文編 英作文のトレーニング
大問4の自由英作文の対策用です。こちらはZ会が出版している参考書です。丁寧な解説があり、非常に演習量が多いので、たくさん経験を積める点がおすすめの理由です。

 

対策のポイント

産業医科大学医学部に合格するための、対策のポイントをお伝えします。

 

①国立大学の入試と思って対策する

私立大学ではなく、国立大学の入試だと思って対策をしましょう。

・内容説明
・和訳
・自由英作文

特にこれらの出題が特徴です。対策のやり方としては、普段から長文の問題集を読む際、長文の内容を自分で説明できるかどうかを試してみたり、長文を口頭でもいいので和訳ができるかを試してみるなど、説明の練習をしましょう。

自由英作文は、産業医科大学の出題傾向を意識した対策を普段から行うようにします。具体的には、自由英作文の参考書などを使い、普段からたくさん書く練習をしましょう。

 

②文章を正確に読解

産業医科大学の出題には、記述がたくさんあります。記述問題と聞くと、

「記述の対策をたくさんしなきゃいけないんじゃないか」
「どうやって枠の中に収めるか、などテクニックを知らなきゃいけないんじゃないか」

と思う人も多いでしょう。

確かに記述問題は、技術や形式に慣れる必要がそれなりにあります。しかし前提として、文章が正確に読めていることが必要です。文章読解がおぼつかない状態では、どこを選べばいいのかが判断できません。文章が正確に読めていないのに記述の対策だけしても、とんちんかんな記述になってしまう可能性が高いです。

まずは、文章を正確に理解できる練習を行います。きちんと文章が読めて、かつ文章の構造もはっきりとわかるようになれば、記述の力は自然とある程度まで身に付いていきます。

そして正確な文章読解力を身につけた上で、記述に特化したテクニックを学んでいくと良いです。

 

③過去問より参考書を極める

「過去問が大事」と、よく言われますが、確かに過去問を使うと、問題の傾向がつかめたり、今の自分に足りていないものがわかったりします。

しかし、「過去問を解けば英語の力がすごく伸びる、点数が高まる」というわけではありません。もちろん問題形式に慣れることで少し上がることはありますが、過去問を使うだけでは、点数の向上に限界があります。

例えば、内容説明で点数を上げたいのであれば、参考書を使って内容説明の練習をたくさんした方がいいし、和訳、自由英作文に関しても過去問だけでは和訳の経験が全然足りないので、問題集を使ってたくさん経験を積んでいく必要があります。

過去問を使うことは大事です。しかし、自分が持っている参考書をしっかりと極めていき、きちんと定着させることをした上で並行して過去問を使っていくと、過去問の効果が高まります。

過去問よりも参考書を極めていくことを重視しましょう。

 

おわりに

今回の解説は以上です。

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究進塾 編集部


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