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サピックスに通っているのに成績が伸び悩んでいる方に
「サピックスに通っているけれど、思うように成績が伸びない…」というお悩みを抱えるご家庭は多く、サピックスのフォローとしての個別指導や家庭教師を検討する方が非常に多いです。
そういったご家庭の生徒様が共通してお持ちの傾向と、すぐにでも出来る簡単な対策についてまとめてみました。
受験のみならず、物事の改善は「現状の正しい認識」から始まります。
同様の悩みを持つ保護者の方々にとって、少しでもヒントになれば幸いです。
① 授業は「楽しい」けれど、肝心の定着が進んでいない
サピックスの塾講師の試験は非常に難しく、それに合格された先生方の授業はどの教科も聞いていて面白く、テンポも良いので飽きませんし、サピックスの授業は少人数&参加方に設計されており、発言の機会も多く設けられているので必然的に授業に集中してしまうシステムになっています。
そして何より、参加型ですので楽しいです。
帰宅したら頭から抜けていってしまう事柄でも「あ〜、今日も沢山勉強した!」と、充実感に満たされて勉強した気になって帰宅するという現象が起こりがちです(それを防ぐために、サピックスは復習を重視する訳です)。
しかし“勉強している実感”と“成績アップ”は別物です。その場の「楽しさ」と充実感に安心して通い続けていても、成績に結びつかないケースが多々あります。
対策アドバイス:
模試の結果を細かく分析して、教科別の現状を確認。授業と実力のギャップに気づくことが改善の第一歩です。
少しでも「あれっ?」と思う箇所があったら、市販のテキストで苦手分野を潰すなどの家庭でのフォローアップは必須です。
しかしながら、ご家庭でこの分析を正確に行うのは難しい部分でもあります。そこで役立つのが個別指導型の塾や家庭教師というシステムです(後述)。
現状の分析・把握に少しでも不安や疑問を感じたら、躊躇せずプロの手を借りる柔軟さ・俊敏さも良い結果を出すためには必要と言えるでしょう。
② 塾のブランドに安心してしまっている
サピックスは入塾テストで落ちる人が多くいるほど難関の塾ですので「サピックスに入れたから大丈夫」「難関校の合格実績が多数あるからうちも」…という安心感から、一度通い始めてしまうと本当にわが子に合っているかの検証を怠りがちになります。
また、特に下位クラスの生徒ほど、「サピに通っている自分」にアイデンティティを感じ、成績改善より通い続けることを優先してしまう傾向がありますが、これが良くありません。
ついていくのがやっと、ということは、サピのシステムを有効活用出来ていないという事になります。有効活用出来ていなければ、通い続けても結果が出ないのは日を見るより明らかです。
まずはその「誤認」を正して、冷静に自己分析するべきです。
対策アドバイス:
大切なのは「通っている塾」ではなく、「成績が確実に伸びているかどうか」です。迷ったら、他の塾に移ることも検討する勇気を持ちましょう。「集団か個別か」「難関塾か中堅塾か」「通いかオンラインか」によっても、お子さんのタイプ次第で伸びる伸びないが大きく変わってきます。塾選びにブランド志向は捨て、「最も苦手な部分を最も埋めてくれる形式の塾」を選びましょう。
③ 復習重視で安定はするが、飛躍しない
サピでは復習を徹底する方針ですから、確かに定着には有効です。
しかしながら「必死で復習しているのに、ちっとも成績が上がらない」という声も少なくありません。特に5, 6年生になると復習だけでは限界が出やすいです。
そしてそもそも、サピックスの復習の宿題は大量です。30年以上塾や家庭教師で指導して来て、数多くのサピックスのフォローもお受けして来ましたが、はっきり申し上げてしまうと、フォローを依頼して来るご家庭の実に9割以上は「復習の宿題が多すぎて手をつけられていないです」とおっしゃり、その場で確認をさせていただくと、もらってきて手をつけていないサピックスの復習用のテキストが重ねられています(しかも、下から上へ!)。
成績が上がる絶対条件は、「復習用のテキストを全てこなす(もちろん理解する)+苦手を潰す+市販のテキスト等で応用力をつける」です。よほど要領良くこなさなければ、毎日これを継続していくのは至難の業です。
対策アドバイス:習ったことの復習に加えて、「新しい思考パターンの習得」や「弱点克服の演習」にも時間を配分する学習設計にシフトすることが重要です。それには何より「情報処理能力の改善」が必須、という事になります。
④ 塾の勉強に追われて家庭での学習環境が置き去りに
サピはとにかく、課題量が多いです。サピ通塾が進むほど後手後手になっていき、「この大量の課題を何からどう捌けばいいのか」が親も子も不明確になっていき、溺れていきます。
そして、本当は宿題だけでなく苦手分野の把握と克服を行わなければならないところを、家庭学習の質と量が足りず、伸び悩むケースが多々あります。
対策アドバイス:
家庭での学習時間を“見える化&効率化”し、苦手の把握 → 反復演習 → 解説チェック → 振り返り、というサイクルを意図的に回していく必要があります。それにはまず、家庭学習の時間をしっかり確保する必要があります(結論から言うと、前項でも書いたように、サピの宿題を超高速で片付ける術を身につけるしかありません)。
⑤ 「塾がすごい」という思考が子どもの自信を過剰に
サピックスに通っている事実そのものが“アイデンティティ”になり、「サピにいれば大丈夫」と誤認してしまうことがあります。
その結果、成績が低迷していても「サピだから…」と自分に言い訳してしまうお子さまが少なくありません。
対策アドバイス:
子どもには「サピにいるからすごいのではなく、サピで実際どれだけ成長したかが大切だよ」と、実際の成績や学習課題に基づいて伝えることが大切です。また、それを伝えるだけでなく、成長できる仕組みを整えてあげることが親の最善のサポートです。ここで言う「成長できる仕組み」とはまさに「家庭学習を中心とした学習管理」を指します。
以上、中学受験を担当していると年間に少なくとも10件は入ってくるご相談をご紹介しました。
目指すべきは第一志望の学校であり、塾はそこに到達するための手段の一つですから、「難関塾」に入ることに重きを置くべきではないと、よくお伝えしています。
中学受験で勝者になるためには「自分に合ったペースと方法で淡々と毎日勉強を続けていくこと」です。そして中心となるべきは塾の授業を受ける時間ではなく、家庭学習の時間であるべきことは決して忘れてはならないと思います。
成績が下がると言うことは、現状の行為のうち何かが「合っていない」からだと判断し、合っていない部分を突き止め、見直すことが大切です。
最後に蛇足ですが、究進塾 中学受験コースでは、最初のカウンセリングの段階で、私がどこに問題があるのかを把握した上で、お子様それぞれに合った、無理のない家庭学習メインの学習設計をさせていただきます。
興味がある方は、ぜひご相談下さい!
平山美帆
中学受験のスペシャリストとして、これまで20年間携わり、多数を合格に導いてきた。保護者様とのコミュニケーションを積極的に取り、ご本人、保護者様と講師が足並みを揃えることを大切にしている。