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【1】「中古車なのに新車より高い」はなぜ起こる?

「中古車は、新車より安い」
普通は、そう考えるのではないでしょうか。ところが最近、一部の人気車では、「中古車なのに新車より高い」という少し不思議な現象が起きています。特に、納車まで長く待たなければならない人気車では、新車価格を上回る中古車が販売されることもあります。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。


【2】新車の供給が増やせない理由

まず、新車を取り巻く状況から考えてみましょう。
自動車を作るには、鉄やアルミ、樹脂、半導体など、たくさんの材料や部品が必要です。近年は、世界的な資源需要の高まりや原材料価格の上昇、部品不足などが自動車の生産にも影響しています。
材料や部品が十分にそろわなければ、生産できる台数にも限界が生じます。また、原材料などの価格が上がれば、新車そのものの価格にも上昇圧力がかかります。
さらに人気車では、

「欲しい人は多いのに、すぐには作れない」

という状況が起こります。
すると、新車を注文したくても注文できなかったり、注文できても納車まで長く待たなければならなかったりします。


【3】「今すぐ欲しい」という需要が中古車市場へ向かう

ここで「中古車市場」に目を向けてみましょう。
新車が欲しい。
でも、すぐには手に入らない。
すると、
「高くてもいいから、今すぐ欲しい」
と考える人が出てきます。
その需要が中古車市場へ流れます。さらに、日本の中古車には海外からの需要もあります。人気の高い車では、国内だけでなく海外の買い手も加わるため、限られた中古車を多くの人が欲しがることになります。
つまり、

新車の供給が足りない

納期が長くなる

「今すぐ欲しい」人が中古車へ向かう

中古車を欲しい人が増える

人気中古車の価格が上がる

という流れです。

 


【4】需要と供給、そして「時間」の価値

ここで、経済学の基本である「需要」と「供給」が登場します。
「需要」とは、その商品を買いたいという動きです。「供給」とは、その商品を市場に出して売ろうとする動きです。
欲しい人が多いのに、売られている商品が少なければ、価格は上がりやすくなります。

価格は「新品か中古か」だけで決まるのではなく、その時点の「需要」と「供給」によって決まります。

これが、「中古車なのに新車より高い」という現象を理解する大きなポイントです。
さらに、もう一つ大切なのが「時間」です。
例えば、新車なら比較的安く買えるとしても、実際に手に入るのはかなり先。一方、中古車なら価格は高くても、すぐに乗ることができる。
この場合、買い手は単に「車」という商品だけにお金を払っているわけではありません。
「今すぐ乗れる」
という価値にもお金を払っていることになります。

「待たなくてよい」という時間にも、経済的な価値があるのです。

そう考えると、一見すると不思議な現象も見え方が変わってきます。
「中古車が新車より高い」という現象も、需要と供給から考えると、それほど不思議ではありません。
市場では、「新品だから高い」「中古だから安い」と機械的に価格が決まっているわけではないのです。


【5】次のテーマは「売り手と買い手の情報の違い」

では、ここで別の疑問が出てきます。
これほど高い中古車を買うとして、その車が本当に良い状態なのか、買う側には完全に分かるのでしょうか。
車を売る側は、その車の状態について多くの情報を持っています。しかし、買う側には分からないことがあります。
次回は、この「売り手と買い手が持っている情報の違い」から、中古車市場をもう一段深く考えてみましょう。


執筆者プロフィール


S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学単位取得サポートコース(オンライン)を担当。

長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。


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