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【1】金利とは「お金を借りるための費用」

ニュースでは、「日本銀行が政策金利を引き上げた」「住宅ローン金利が上昇した」といった言葉をよく耳にします。しかし、「政策金利」とは何なのでしょうか。そして、日本銀行が金利を動かすことが、なぜ企業や家庭、さらに景気全体にまで影響するのでしょうか。

前回は、政府による財政政策と、日本銀行による金融政策について見てきました。政府は自ら支出することで需要を生み出します。一方、日本銀行は、金利やお金の流れを調整し、企業や家庭の行動に働きかけます。今回は、その中心にある「金利」について、少し丁寧に考えてみましょう。

そもそも「金利」とは、簡単にいえば「お金を借りるための費用」です。

例えば、銀行から100万円を借り、1年後に101万円を返すなら、元の100万円に加えて支払う1万円が借入れの費用になります。商品に価格があるように、お金の貸し借りにも価格があると考えると分かりやすいでしょう。

ただし、金利は一つだけではありません。「住宅ローン金利」「企業が銀行から借りるときの金利」「預金金利」そして「金融機関同士がお金を貸し借りするときの金利」など、さまざまな金利があります。


【2】政策金利と「無担保コールレート」の仕組み

ここで登場するのが「政策金利」です。現在の日本では、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」が政策金利として重要な役割を持っています。少し難しい名前ですが、言葉を分けて考えるとそれほど難しくありません。「コール市場」とは、銀行などの金融機関が短期間のお金を貸し借りする市場です。「コール(call)」は「呼べばすぐに返ってくる」という意味で、それほど短期間のお金の貸し借りを表しています。「無担保」は担保を付けずに貸し借りすること、「オーバーナイト物」は原則として翌営業日に返す、ごく短期間の取引を意味します。

つまり「無担保コールレート(オーバーナイト物)」とは、金融機関同士が担保なしで、ごく短期間のお金を貸し借りするときの金利です。

日本銀行は、この金利が金融政策決定会合で決めた水準の近くで推移するように働きかけています。ニュースで「政策金利を引き上げた」と報じられるときは、この無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導水準が引き上げられたということです

ここで、以前の金融政策についても少し確認しておきましょう。かつては、「公定歩合」という金利が金融政策の中心的な役割を果たしていました。当時は日本銀行が金融機関に直接お金を貸すときの金利である公定歩合が、金融政策の姿勢を示す代表的な金利でした。また、預金金利などが公定歩合と連動していた時代には、公定歩合が変更されると、私たちの身近な金利にもその影響が分かりやすく伝わっていました

その後「金利の自由化」が進み、公定歩合と預金金利などとの直接的な連動はなくなりました。現在、かつての公定歩合に相当する金利は「基準貸付利率」と呼ばれています。

ここで大切なのは、公定歩合が名前を変えて、そのまま現在の政策金利になったわけではないということです。かつての公定歩合につながる金利は基準貸付利率として残っていますが、現在の金融政策では、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」という市場金利に働きかけることが中心になっています。


【3】政策金利の変化は、なぜ景気を動かすのか

では、政策金利が下がると何が起こるのでしょうか。その影響は金融市場から銀行へ、さらに企業や家庭へと広がっていきます。企業にとって借入れの負担が軽くなれば、新しい工場や機械、店舗などへの設備投資を行いやすくなります

企業が設備投資をすれば、機械を作る会社や建設会社の仕事が増えます。そこで働く人の所得が増え、その所得が消費に回れば、別の企業の売上にもつながります。以前見た乗数理論と同じように、一つの行動の影響が経済の中を巡っていくのです。

反対に政策金利が上がれば、借入れの負担は重くなり、企業は投資に慎重になります。家庭も住宅や自動車などの大きな買い物を考え直すかもしれません。その結果、需要が弱まり、過熱した景気や物価上昇を落ち着かせる方向に働きます。

ここで大切なのは、日本銀行が政策金利を動かしたからといって、景気が直接動くわけではないということです。

政策金利の変更がさまざまな金利へ伝わり、それを見た企業や家庭が行動を変え、その積み重ねによって景気や物価に影響が及びます。


【4】「利上げ」「利下げ」のニュースを見るときのポイント

ニュースでは「利上げ」「利下げ」という結果だけが大きく報じられます。しかし、その間にはいくつもの段階があります。この途中の仕組みが見えるようになると、金利のニュースもずいぶん理解しやすくなります。

次回は、金利の変化が住宅ローンや預金、そして物価にどのような影響を与えるのかを、さらに私たちの生活に近いところから考えてみましょう。


執筆者プロフィール


S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学単位取得サポートコース(オンライン)を担当。

長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。


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