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得意科目が1つあるだけで、人は驚くほど前向きになれる
中高一貫校に通う生徒さんや保護者様から、
「得意科目がないんです」
という相談を受けることがよくあります。
実際に話を聞いてみると、
学習習慣はある。
成績も極端に悪いわけではない。
それでも本人は、自分に自信が持てない。
なぜなら、
周囲に優秀な生徒がたくさんいるからです。
そして、この悩みは決して珍しいものではありません。
むしろ、進学校に通う真面目な生徒さんほど陥りやすい悩みだと感じています。
進学校の生徒たちに共通する悩み
究進塾の「中高一貫コース」には、中学受験で「難関校」の部類に入るような進学校の生徒さんが多くいらっしゃっています。
ただ、個別指導という受講形式が関係しているのだと思いますが、得意科目を伸ばす方よりも、苦手科目を底上げする方の割合の方が多いです。
もちろん、受講している科目については、長期的には伸びて行く方が多いのですが、最近多く相談を受けるケースがあります。
・定期試験での成績向上を目標に進めているけれど、全体的に真ん中付近にいる。
・得意な科目は特にない。
・相対的に好きな科目はあるが、成績は必ずしもよくはない。
「好きだった科目」が好きではなくなる瞬間
これは、ある意味自然なこととも言えます。それは、中学受験の上位層が入学していて、周りが全体的に優秀だからです。中には、「中学受験のときは得意だと認識していた科目もパッとしなくなって、好きでもなくなった」という声も(一度ではなく)何度も耳にしました。
これは、教育に関わる立場として、非常にもったいないことだと感じます。
本来、学問の好き嫌いは、順位で決まるものではありません。
しかし現実には、テストの順位や偏差値によって、「好きだった科目」が「苦手な科目」に見えてしまうことがあります。 得てして、中学受験の激戦を戦い、現在も中高一貫校で「戦っている」方が、こういう思考になってしまうのは十分に理解できます。
(何を隠そう、私もそうでしたので・・・)。なので、責めることはできないのですが、やはり大事なものを見失ってしまうことへの「悲しさ」を禁じえません。
真面目な子ほど陥りやすい落とし穴
ちなみに、こういった生徒さんには、次のような共通項が見られます。
・真面目な性格
・すでに学習習慣自体はある
・全科目をカバーしようとするあまり、得意科目を作れず、全体として中位に位置している。
こういうタイプの生徒さんへの助言としては、「まずは科目を絞って集中的に勉強しよう」です。
これは私の実体験に基づくアドバイスです。
私自身も「得意科目のない生徒」だった
私自身、中学3年の途中までは特に得意な科目があるわけではなく、全科目とも真ん中付近を行ったり来たりしていました。ですが、中学3年の途中から、英語の学習に目覚めました。きっかけは、隣のクラスの英語の先生が「めちゃくちゃわかりやすい」と評判で、友人からその板書ノートをもらって試験対策してみたら、定期テストの結果が急上昇したことだったと記憶しています。そして、高校1年でついに、その先生が自分のクラスの英語を担当することになり、さらに英語へのモチベーションが高まりました。 その結果、高1の途中から、英語だけは、クラスでも最上位に位置するという流れができました。元々の興味・関心が文系なので、理系科目は相変わらず真ん中付近でしたが、英語を足掛かりにして、自信をつけたように思います。
私の場合は現役では合格できずに1浪したので、必ずしも成功例とは言えないかもしれませんが、少なくとも、現役のときは「滑り止め」校の私大も含めて全滅したにもかかわらず、「英語はあれだけできるようになったから、他の科目も何とかなるだろう」と思えた点は、後で振り返ると大きいようにも思います。
得意科目が1つあるだけで、自信は大きく変わる
優秀な方が集まっている中にいると、つい自分が何が好きで、何が得意なのか、自信を失いがちになります。特に真面目な生徒ほど、「できていない部分」に目が向きやすく、自信を失ってしまうことも少なくありません。
ですが、科目を絞って対策すれば、その科目はきっと成果が出るはずです。
大切なのは、全科目を一気に変えようとしないことです。
真面目な生徒ほど、「英語も数学も国語も理科も社会も、全部きちんとやらなければ」と考えます。もちろん、その姿勢自体は立派です。
しかし、すべてを平均的に頑張った結果、どの科目でもはっきりした成功体験が得られないまま時間が過ぎてしまうことがあります。
それよりも、まずは1科目でよいので、「この科目なら前よりできるようになった」「この科目なら少し戦えるかもしれない」という感覚を作ることが大切です。
得意科目が1つできると、単に点数が上がるだけではありません。勉強に対する見方そのものが変わります。
「頑張っても変わらない」から、「やり方を変えれば伸びるかもしれない」へ。
この変化こそが、中高一貫校で自信を失いかけている生徒さんにとって、大きな意味を持つのだと思います。
「まず1科目」は大学生にも通用する
実は、これに近い話は、大学単位取得コースで主力として活躍している永島講師からもよく聞きます。
彼が担当する生徒さんの中には、単位を多数落として、留年している方が一定数います。そういった方は、自信を完全に失っている状態から永島講師が担当することになります。
そういったケースでは「今学期はまずは1科目、確実に取れそうな科目に集中することから始める」ことが多いそうです。
狙った科目の単位が取れた場合、その生徒さんは一気に自信を取り戻すのだそうです。
つまり、中高一貫の定期試験に限った話ではなく、大学での学びにも通じる話です。
では、どの科目をターゲットにするべきか?
これは、次のいずれかだと思います。
①大学受験から逆算して、受験の主要科目に集中する
一般的には、英語、数学、国語というのが、多くの大学で重要になる科目ですよね。
ただ、すでに私大理系受験を決めている場合は、国語は外してもよいかもしれません。
逆に私大文系受験を決めている方でしたら、数学を外す可能性もあり得るでしょう。
また、必ずしも3科目に絞る必要はありません。むしろ、国語はさらに、現代文・古文・漢文と別れているので、それを別々と考えると、5科目をカバーするのは現実的ではありません。このうちまずは2科目、それも最重点科目1科目と次に重点的に対策する科目もう1科目に絞るのが得策だと思います。
私が出会ってきた多くの中高一貫生は、実に「合理的」(=「実利的」)に判断される人が多いので、このパターンが受け入れやすいでしょう。
②自分の好きな科目だけに集中する
「これだけは」と言う科目が見つかっている方は、その科目に集中するというのも手だと思います。ただ、このパターンは、科目がマイナー科目(特に地歴公民などが顕著ですが)だと、保護者様の理解が得られにくいというのが難点です。「せっかく激戦の中学受験を乗り越えて、ここまで来たのだから、何とか大学受験も乗り切ってほしい」という保護者様の想いはひしひしと伝わって来ます。そして、「マイナー科目だけ得意でも、大学受験でメリットが少ないでしょ」と保護者様が思わず口を出してしまうケースがいかに多いか・・・・。とは言え、実際には、本人がすでに、そういった保護者様の価値観を内在化しているパターンも多いので、表面化すらしないケースも多いことでしょう。
ここについて、私の意見を明らかにしておきますと、これからのAI全盛の時代は「どれだけ尖がれるか?」と言われています。テレビ番組の「博士ちゃん」のように、好きを究める、オタクタイプの子の方が「食べていける」そして「幸せになれる」傾向にあります。なので、大学の偏差値ランキングで少しでも上の大学、知名度の高い大学を目指すことが正義という価値観は意味をなさなくなっているように思います。なので、本音では、②のパターンを推奨したいのですが、これはご家庭の価値観も関わる問題なので、強制はできないところです。
受験戦略よりも大切なこと
ここまで読むと、
「結局、受験で有利な科目に集中するべきなのか、それとも好きな科目を伸ばすべきなのか、どちらなのだろう?」
と思われるかもしれません。
正直なところ、これは生徒さんの性格やご家庭の価値観によっても答が変わる問題だと思います。
大学受験を見据えれば、英語や数学といった主要科目に力を入れることには大きな意味があります。一方で、本音を言えば、「好き」をとことん追求できる子どもたちには、大きな可能性を感じています。
ただ、どちらの立場に立つにしても、共通して言えることがあります。
それは、「まずは1科目、武器になる科目を作ること」です。
私自身、英語が得意になったこときっかけに、
「努力したらちゃんと結果が出る」
「自分にも得意なことがあるかもしれない」
という感覚を持てたことが大きかったように思います。
中高一貫校の生徒さんを見ていると、真面目な子ほど、すべての科目を何とかしようとして苦しくなってしまうことがあります。
しかし、全部を一度に変える必要はありません。
まずは1科目。
それも、自分が少しでも前向きになれる1科目です。
受験のためでも構いません。
好きだからでも構いません。
その1科目で成功体験を積むことが、思っている以上に大きな転機になることでしょう。
もし今、
「得意科目がない」
「何を勉強しても自信が持てない」
と感じているのであれば、ぜひ一度、全科目を頑張ることをやめましょう。
そして、自分の武器になりそうな1科目、もしくは武器にしたい1科目を探してみてください。
やる気が湧いてきませんか?
並木陽児![]() 究進塾代表。子育て経験に伴い、幼少期の学びに関心が強まっている今日この頃です。 |




