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【1】はじめに:本質的な理解を目指して

これまでのブログでは、GDP・GNI・GDE・GDI、そして三面等価原則について、順番に時間をかけて整理してきました。

用語を暗記するのではなく「なぜそうなるのか」「どこでつながっているのか」を意識するよう心がけてください。

前回は、確認問題を通して自分の理解度を確かめてもらいました。「何となく分かったつもり」になっていないか。「説明できる理解」になっているか。それを確認するための問題でした。
今回は、その問題を振り返りながら、なぜその答えになるのかを、もう一度ゆっくり確認していきます。
知識を「分かったつもり」で終わらせず、「使える理解」に変えることが目標です。


【2】確認問題の出題内容

■確認問題をもう一度見ておきましょう。

【確認問題】 次のうち、正しいものはどれか。
① GDPは海外で得た所得も含めて計算される。
② GNIは国内外を問わず、自国の居住者の所得を合計したものである。
③ GDEは企業の利益のみを集計した指標である。
④ GDIは消費支出だけを表す指標である。
⑤ GDPとGNIは常に完全に一致する。

■正答は<② GNIは国内外を問わず、自国の居住者の所得を合計したものである。>です。


【3】解答解説:GDPGNIの根本的な違い

■ 解答解説
この問題は、GDPとGNIの基本的な違いを、本当に理解できているかを確認するための問題です。
まず、GDPは「国内でどれだけ生産されたか」を見る指標です。
ここで重要なのは「国内」という点です。

誰が働いたかではなく、どこで生産されたかを基準にしています。
そのため、日本国内で行われた生産であれば、外国の居住者が働いて得た所得であってもGDPに含まれます

逆に、日本の居住者が海外で働いて得た所得は、GDPには含まれません

一方、GNIは、「誰がどれだけ所得を得たか」を見る指標です。ここでは「居住者かどうか」が基準になります。日本に生活の拠点を持つ人が得た所得は、国内であっても海外であっても、すべてGNIに含まれます

このように

GDPは「場所」
GNIは「人」

に注目している点が大きな違いです。この視点で考えると②が正しいことが自然に理解できます。


【4】各選択肢の詳細チェック

<①GDPは海外で得た所得も含めて計算される。>について
海外所得を含めるのはGNIであり、GDPではありません。
この選択肢は、GDPとGNIの区別があいまいな人が選びやすい誤答です。

<③GDEは企業の利益のみを集計した指標である。>について
GDEは支出の合計を表します。
企業利益だけを集計する指標ではありません。

<④GDIは消費支出だけを表す指標である。>について
GDIは賃金・地代・家賃・利子・配当・利潤など、人々に分配された所得の合計です。
消費支出だけではありません。

<⑤GDPとGNIは常に完全に一致する。>について
海外との経済取引があるためGDPとGNIは必ずしも一致しません。


【5】発展問題(総復習)への挑戦

【発展問題(総復習)】 次のうち、正しいものはどれか。
① 三面等価原則では、生産・支出・分配は一致しない。
② フローは一定時点の量を表す概念である。
③ ストックは一定期間の動きを表す概念である。
④ GDP・GDE・GDIは理論上等しくなる。
⑤ GNIは国内生産だけを集計した指標である。

【6】結びと次回予告

■ 次回予告
次回は、この発展問題の解答と解説を通して国民経済計算の全体構造をさらに深く整理していきます。
三面等価原則、フローとストック、GDPとGNIの関係が、一つの流れとして理解できるようになるはずです。


執筆者プロフィール


S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。

長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。


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