インタビュー
INTERVIEW
ミンタン様合格インタビュー②
日本での留学生活について
並木:日本での留学生活で慣れない部分もあったと思いますが、困ったことはありませんでしたか。
ミンタン:日本に来てから特に困ったことはありませんでしたが、一番困ったのは日本の冬の寒さですね。ミャンマーはものすごく暑い国ですので、日本に来たばかりの、10月ぐらいの頃は寒いと思いました。朝起きれなかったり、冬の間はずっと体も震えていましたが、今はだいぶ慣れてきました。
並木:日本は最近、夏の暑さもすごいですけど、それはミャンマーとそんなに変わらないですか?
ミンタン:ミャンマーは夏になると、よく40度を超えたりしますが、日本は湿度が高いのでちょっと質が違うかなと思います。 ミャンマーだと湿度があんまり高くないので・・・。日本の夏も、暑いのは暑いけど、元々自分も暑い国から来たので夏は特に問題はありませんでした。冬だけですね。
並木:アルバイトはしていたんですか。
ミンタン:飲食店でアルバイトをしています。
並木:それは大変ではなかったですか。
ミンタン:人生で初めて働くことになって、大変さもありましたが、今までやってきて慣れてきました。
並木:今も同じアルバイト?
ミンタン:今も同じアルバイトを続けています。
並木:1日の勉強時間はどのくらい取られたんですか。
ミンタン:日によって違います。例えば、平日でバイトがある日だったら、午前中は日本語学校に通って、帰宅してすぐにバイトに行きます。バイト後は1時間の休憩時間を取って、3時間ぐらいは勉強できました。バイトがない日だと、1日5~6時間ぐらい勉強できていました。
睡眠時間も、1日大体5~6時間は寝ていました。
並木:もうちょっと寝たいところですか。
ミンタン:僕は、5~6時間で足ります。
並木:素晴らしいですね。
合格の手応え
並木:新井先生は、ミンタンさんが「合格できそうだな」っていう手応えみたいなものは感じられていましたか。
新井:通常であれば、数学は抵抗感を取り除くのに時間がかかったりするので「あとこれぐらいかかりそうだな」っていうのを僕は決めたりしますが、ミンタンさんの場合、数学への抵抗感に関していうと、問題を粘り強く読んでいくことについては問題がなかったので。
だから僕が一番「やらなきゃいけないな」と思ったのは、どこを深掘りしてあげるのかというのと、時間が何年もあるわけではない中で、どういうルートでミンタンさんに合った内容で歩ませてあげられるか、ということを対話の中から取り出すところです。

新井:あとは、やるべき内容の整理です。計算の技術で初めての分野があるのか、概念の部分で深堀しなきゃいけない部分があるのか、どこを体系的にまとめてあげられるのかっていうところを、一緒に整理しながら半年ぐらいやっていきました。「意外にこの単元は1ヶ月で終わったな」「これがちゃんとここの内容と繋がってるんだな」ということは、数Ⅲのゴールにそろそろたどり着くというところで、だんだんそれを感じてきましたね。
並木:受講期間としてはどのくらいだったんですか?
新井:2024年の12月からスタートしているので、今は10ヶ月ぐらいです。
並木:結構長いですよね。
新井:そうですね。大体12月から始めて、7月ぐらいには数Ⅲと、今の数Cの複素数平面の内容まで全部さらってあげることができて、過去問も全部解いたので、そうすると全体像がだんだん見えてくる。
宿題を出したときに「ここまで自分でできたんだ」と本人が感じることが、一番大事だと思っています。この短期間でよくここまでさらえたなっていうところは、ミンタンさんはすごかったなと思います。
並木:ミンタンさんは、実際のEJUの数学はどのぐらい取れたんですか。
ミンタン:平均的な点数ぐらいはできました。
並木:先生の授業内で、過去問とかテスト的なものも時間を計ってやったりしましたか?
新井:大体「これだったら、これぐらいはかかるんだよ」ということを、目安にしてやったりはしました。
並木:その時もある程度取れてるなというか。
新井:そうですね。単元によっては、僕がアドバイスしないままでやっても、普通に15分とかで解けていた問題もありました。 問題になるのは、EJUだと3⃣番と4⃣番で、「微分積分の部分は、そもそも方針が立てられていても、計算が大変なんだよね」っていうのをお互い確認したり。解いた答えを使って下の問題に進むタイプだったので、上の問題で間違えちゃうと下が全部崩壊してしまうという、そこの部分を気をつけてとか、「ここが無理だったらもう次に移って…ってした方がいいよね」みたいな作戦は、伝えながらやっていました。
並木:本番でもスムーズに解けましたか。
ミンタン:思っていたよりはできていたので、そこがよかったなって思います。
数学以外の科目について
並木:ミンタンさんは、理科は究進塾では受講されていなかったと思うんですけど、ご自身で勉強されていたんですか。
ミンタン:理科は全部自分で勉強していました。
並木:物理も化学も?
ミンタン:はい。
並木:それはミャンマーでやった勉強と連続していたというか…自分で何とかなったんですか?
ミンタン:ミャンマーだと化学も物理学もまだ習っていない部分が多かったので、そこも自分で何とか勉強して、その勉強したものを日本語に変換して覚えるぐらいは、自分でやりました。
並木:教材とかは?
ミンタン:日本の教材を使っていました。
合格の秘訣
並木:ミンタンさんが志望校に合格できた秘訣はどういうところにあると思いますか?
新井:ミャンマーでの蓄積がすごく大きかったんじゃないかなと思っています。授業の中でよく会話をするんですけど、「ミャンマーでは、この数学の内容ってどれぐらい練習してきたんですか?」とかって、よく聞くんですよね。難しいんじゃないかなって思うのは、やっぱり日本語の処理の部分で。たとえば場合の数や確率の問題って、おそらく多言語でやるともっと大変なんじゃないかなって思うので。これは日本に来てから習得したものというよりは、おそらくミャンマーで培ってきた部分がかなり大きく出てるんじゃないかな、というふうに感じました。

新井:それは実際に過去問でやらせて、すごくはっきりした部分があったんですよね。僕が説明した部分って、専門用語とその使い方をちょっと説明しただけなんです。それでできるっていうのは、以前に同じようなものを見たことがあって、その類題を組み合わせる力がないと、ちょっと説明したぐらいではなかなかできるものではないんじゃないかなって。
だから、そういう部分があるのがどこの分野なのかっていうのを、後は僕が見極めるだけだったというのもあって。おそらく、全く初めてなんじゃないかなって思うのは関数分野だったので、そこは1から全部教えることにフォーカスした、という形です。
並木:強みと弱みがはっきりしていたってことですね。
新井:はい。だから、分野、部分、対話ごとに、内部に持っているものをどうやって引き出すかというのが、自分の中で一番重要視するところだったかなと思います。
並木:なるほど。
新井:アルバイトをしていたっていうところも聞いていると、その中で日本語をかなり使うことを大事にしているし、体を動かすというのも本人は「やりたい」っていう部分があったそうなので。 ずっと勉強だけしているよりは、体を動かしつつ頭を動かすっていう、バランスが取れていたのが良かったんじゃないですかね。
並木:ミンタンさんご自身はどうですか。合格した秘訣というか。
ミンタン:来日したときから今までずっと努力していて、振り返ると結構変わったかなって。自分でここまでできて、良かったです。ずっと努力してきたなと思います。
並木:素晴らしいですね。
努力の原動力
新井:ミンタンさんは本当に、日本に来る前もそうだし、来た後も、言葉の壁を乗り越えるための勉強が凄まじかったんじゃないかなっていうのはすごく感じるところがあって。数学を理解するのも難しいのに、数学を日本語でやるというのはもっと難しいはずなんですよね。
並木:そうですよね。
新井:しかも、カリキュラムとしてはミャンマーよりももっと深い部分までやらなきゃいけないってなると、そこをさらうだけでは全然済まないですし、さらにテストで結果として出さなきゃいけないってなると、日本の受験生よりももっとやらなきゃいけなかったと思うんです。
それもたった半年とか10ヶ月とかの期間だけでやってるということ、そして「自分がそれをできるだろうか」って想像すると、これは語学もそうだし、普段からアウトプットを自分の中でものすごくやっていて、さらに「日本で学びたいんだ」っていう気持ちが強くないと、行動できないんじゃないかなって思います。
並木:相当強い意志を持って、来日されているということですね。
新井:あとは「本当に日本が好きなんだな」っていうところが、そこに出てくるんじゃないかなって思います。環境も気候も文化も違う中であることを考えると、「日本はこういうふうにやってるんだよ」っていうのを柔軟に受け止めて、「ここまで頑張ってやってみます」って短期間でやっていくことは、そんな簡単なことじゃないので。
並木:素晴らしいですよね。
新井:たとえば、ヨーロッパのように、同じような言語の国へ行って数学をやるのとは、別の話だと思うんですよ。ミャンマーと日本の言語は文字も全然違うし、カタカナ、ひらがな、漢字と、こんなに種類があって、さらに専門用語を理解して…っていうのを、数学だけじゃなくて物理でも化学でもやっていたっていうのは、「1日24時間じゃ全然足りないんじゃないかな」って、普通は思いますよね。
日本への興味
並木:ミンタンさんが日本に興味を持ったのはいつ頃からなんですか。
ミンタン:子供のときからずっと日本のアニメを見てきて、そこからの学生のキャラクターとかを見て「いつか日本に留学したいな」という夢があったんです。子供のときからずっと。
並木:その頃から、日本には親近感のようなものをお持ちだったんですね。日本語もすごくお上手ですもんね。
新井:そうですね。
並木:すごいですよね。日本語はアニメから学んだりしたんですか。
ミンタン:会話は、アニメを見て少しずつわかるようになりました。
並木:本当に素晴らしいですね。
将来の夢
並木:今考えている、将来的な展望を教えていただけますか。
ミンタン:私は将来的に、ロボット工学の分野で活躍していきたいなと思います。例えば、人々の生活を便利にしたり、助けになるロボットを作りたいというのが今の目標です。
後輩へのメッセージ
並木:最後に、同じ試験(EJU)を目指す、日本の大学に行きたい方に向けてメッセージをお願いします。
ミンタン:日本に留学して生活を送りたいと思っている方は、自分がどこの大学に行きたいか、 何の勉強をしたいか、その大学の状況などを、ちゃんと調べた方がいいかなと思います。そして、できるだけ早めにEJUの勉強を始めてください、と言いたいです。
日本語で勉強すると困難がたくさんありますが、最後まで諦めずに頑張っていってください。
並木:ありがとうございます。充実した大学生を信じて応援しています。
ミンタン:はい。頑張ります。ありがとうございます。




