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🔍 経済活動の循環と分析視点
以前、説明したように「経済活動」は「消費活動」と「生産活動」からなり、人間が生きてゆくために繰り返される「循環活動」です。消費→生産→消費→生産→……と終わりなく繰り返します。
この循環活動を分析する着眼点として、「ミクロ」と「マクロ」という二つの見方があります。「ミクロ」は「微視」、「マクロ」は「巨視」という意味です。
「ミクロ」の視点では、経済活動を個々に存在する「家計と企業」の行動について分析します。「マクロ」の視点では、国全体の経済活動を分析します。国内に存在している個々の「家計と企業」の活動を「個別」ではなく「全体として大きく」とらえます。
経済活動を分析するためには「ミクロ=木」と「マクロ=森」の二つの視点が必要です。「木を見て森を見ず」「森を見て木を見ず」ではダメなのです。
👪 経済主体とは何か
「家計」や「企業」のことを「経済主体」といいます。「経済主体」とは「経済活動をおこなう人々」のことを指します。分析の範囲を広げると、「政府」「外国」も「経済主体」に含めます。
「家計」は消費者というイメージが強いですが、消費するために必要な収入を得るために「働く人」としての役割も持っています。そういう意味で「家計」には「消費者」と「労働者」という二つの側面があります。
↔️ 需要と供給の基本構造
「経済活動」は「需要」と「供給」から成り立ちます。「需要=買手」「供給=売手」です。
「家計」は「消費者として財の買手」、「労働者として労働力の売手」
「企業」は「生産者としての売手」、「労働力の買手」
このように「家計」と「企業」が「買手と売手の二役」を演じているため、「需要=買手」「供給=売手」という表現が適切なのです。
🧮 ミクロ経済学の視点と特徴
「ミクロの世界」では「売手」と「買手」が「個々に」お互いの思いを持って取引を行います。
財の取引(財市場)では「買手=家計」と「売手=企業」
労働力の取引(労働市場/就職活動)では「売手=家計」と「買手=企業」
というふうに役割を変えながら市場を通してつながっています。
売手と買手が取引をおこなうところを「市場」といいます。「市場」では「需要と供給の関係」で「財の価格」や「賃金(労働力の価格)」が決まるのです。
「ミクロの世界」を分析する学問を「ミクロ経済学」といいます。「ミクロ経済学=価格理論」と位置づけられています。具体的には、各経済主体(家計、企業)の合理的な行動原理について研究する学問です。
🌐 マクロ経済学の視点と役割
「マクロの世界」では個々のレベルではなく「国全体としての需要と供給」について分析します。
各家計が何を買ったかではなく、「国全体としての消費水準」、
各企業が何を生産して売ったかではなく「国全体としての生産水準=GDP」を問題にします。
GDPは「国内総生産(Gross Domestic Product)」のことです。詳しい定義は別の機会に説明しますが、ここでは、ザックリと「国内の生産活動で生み出された所得(みんなの稼ぎ)」というイメージを持っていただければ十分です。
「マクロの世界」を分析する学問を「マクロ経済学」といいます。「マクロ経済学=国民所得論」と位置づけられています。
具体的には「景気の分析」を通して適切な「経済政策」を立案するための理論的根拠について研究する学問です。ミクロ経済学の主役である「価格」はマクロ経済学では「物価」として扱われます。
執筆者プロフィール
S(イニシャル)
1964年生まれ。
公務員試験対策予備校や大学・専門学校など、様々な現場で学生を指導してきました。
得意なのは大学レベルの経済学、経営学、会計学で、究進塾では主に大学授業補習コース(オンライン)を担当。
長年の豊富な指導経験から、「学生のつまづくポイント」を的確に把握しています。
堅苦しい「経済学」という学問を丁寧に解きほぐし、わかりやすく説明します。
とても親しみやすい性格で、質問もしやすいです。
生徒様お一人お一人に合わせた、また基礎を大切にした丁寧な指導がモットーです。