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基本書の大切さ
私は個別指導で行政書士試験の受験動機を尋ねるようにしているのですが、その際に「法律を勉強したくて」とお答えになる方がいます。そんな方にお勧めなのが「基本書コース」です。
基本書コースとは、学者の書いた学術書(多くは学生を対象とした教科書)をメインのテキストとして講義を展開して、予備校の教材をサブテキストやまとめ用に使用しつつ、行政書士試験の合格を目指すコースです。学術書をメインに勉強する方法を受験業界では「基本書主義」と呼びます。そもそも基本書主義は、司法試験の代表的な勉強法であり、予備校が隆盛を極めるまでは、一般的な勉強法でした。
基本書と呼ばれる学術書は論理性や網羅性において予備校テキストを圧倒します。たとえば、ある条文について、基本原理との関係や体系上の位置づけなどが記された上で、具体的解釈を、制度趣旨、立法背景、比較法の視点から行い、判例にも言及されるのが一般的です。基本書を勉強することで「根本からわかった」という感動を得られることもあります。根本からわかるので、暗記に頼ることなく、未知の問題を解いていく応用力も身につけやすくなるのです。
「法律を勉強したくて」と要望される方には基本書主義はうってつけだと言えます。ただ、基本書は学者の研究成果を示すもので、各種国家試験のために書かれたものではありません。そこで、試験には出題されない論点や、出題される論点ではあるが高度すぎる論理展開などが多く記されています。つまり、基本書を試験用にカスタマイズしないと、とても効率の悪い勉強になってしまいます。効率の悪さが基本書主義の難点でした。ですが、近年、「新しい基本書」が登場し、その状況が変わってきました。
主に若手の研究者が、法科大学院の学生のために、試験対策用の基本書を執筆しているのです。簡単に言えば、「学者が本気で予備校テキストのような基本書を執筆している」ということです。この新しい基本書はわかりやすさや試験での有用性は圧倒的です。学者の能力の凄まじさを改めて受験業界は知ることになりました。
この新しい基本書は司法試験用ではありますが、「大は小を兼ねる」の言葉のごとく、行政書士試験においても有効です。個別指導では、新しい基本書を行政書士試験にカスタマイズしながら、本格的に法律の勉強をしたいという要望にも応じることができます。もちろん、新しい基本書ではなく、従来の基本書(学術書)を利用した対応ができるのも、個別指導の強みと言えます。合格への方法はいろいろとありますので、あなたのご希望にそった合格方法をご提供させていただきます。
【執筆者】
Y(イニシャル表記)
究進塾の行政書士コースの担当講師。
国立大学大学院修士課程修了。
私立大学非常勤講師の経験を持ち、大手資格予備校で行政書士をはじめとする法律系国家資格の指導歴は約20年。
行政書士実務についての著書・論文もあります。
<塾よりひとこと>
誠実で実直な性格が特長の講師です。