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先日、当塾に入塾して1年あまりで定期テストの成績が、学年平均以下から学年トップまで一気に伸びた生徒さんの保護者様面談に立ち合いました。お母様も「予想以上に伸びてびっくりしています」とおっしゃっていました。
ここまでのケースは当塾でもめったにありません。
補足しますと、当塾では多くの受講生について、特に高校の定期テストに関して言えば成績は伸びている(※模試の成績ですと、長期的な学習の積み重ねなので、短期間では成果は出ないことが度々あります)のですが、ここまで極端な伸び方を示す例は珍しいです。
授業を見守っている私から見ますと、これは、よい意味で担当の先生に「感染した」ケースだと思います。
「感染」という表現は社会学者の宮台真司氏が使っているものを借りた形ですが、端的に言えば、「先生のことを尊敬し、心酔して影響を受ける」ということです。
宮台氏自身が、廣松渉、小室直樹といった「知の巨人」とも言うべき教授に出会い「感染した」そうです。「感染」というのはあくまで比喩ですが、具体的には、「すごさに圧倒されてから、その人の真似をして、それによって一回りも二回りも成長する」という一連の過程のことと言い換えることができるでしょう。
で、話は戻るのですが、当塾でも、「感染した」という表現がぴったりくるケースが度々あります。上のケースでも、生徒が担当講師を心酔していて、家でもめったに口は開かないそうなんですが、「塾から帰宅してその先生の話をするときは熱を帯びた感じでよく喋る」と保護者様がおっしゃっていました。「ノートの書き方も真似たりしてすごくよい影響を受けています」というお言葉もいただきました。
もちろん、当塾は、よい講師を集めている自負はありますし、その中でさらに実績や生徒さんからの評価を経て、残っている講師が活躍しているので、「感染力が高い」先生というのは確かにいます。つまりはおすすめ順が高い講師ということになります。
ですが、実際のところ、そういった講師が担当しても、全く感染しない生徒さんもいます。相性が合わずに、他の先生を選ぶならそれはそれでよいのですが、中には、「感染もせず、かと言って拒否もせず」漫然と受けている方もいらっしゃいます。
率直に申し上げますと、こういう方はあまり伸びません。
ですので、「感染しやすさ」というのが、その人の成長の可能性を考えた際にとても大切になってくる資質だと思います。
では、「感染しやすさ」とは何なのか?
私が見てきた中で「感染しやすい」方に共通する要素を挙げて行きましょう。
①主体性
一番大切なのは主体性です。感染したケースでは、保護者様が塾を見つけてきたケースもありますが、それでも本人がそれに全面的に同意して、やる気を持って入塾しています。
逆に、本人は乗り気でないものの、保護者が主導して入塾させたケースでは、まず「感染」は起こりません。
②好奇心
「感染しやすい」方は総じて好奇心が強いということが言えます。例えば、担当講師が別解を伝えたときなどに、それが響くかどうかは、その生徒さんが持っている好奇心に依る部分があります。また、講師の振る舞いや言葉についても、他者への関心が強い方であれば、響くものがあるでしょうし、逆に薄い方であれば全く何も感じないでしょう。
③こだわり
「感染」が起こるケースでは、生徒さんに一定のこだわりがあるケースが多いようです。一方で担当講師はそれぞれ、板書または授業メモの作り方、問題集の選定の仕方から、授業前テストの問題選定など、自分のこだわりを持っているので、それが生徒さんのこだわりと共鳴したときに「感染」しやすいのではないかと思います。もっとも、生徒さんにこだわりが強すぎると、どの講師に対しても何かしらの違和感を感じてしまって、うまく行かないというケースもあります。ですので、「一定のこだわり」という表現が正しいと思います。
以上のように、必要な素質を具体的に挙げてみると、これは「自立するための素質」と共通することに気が付くかもしれません。
皆さんは「感染」したことはありますか?先生だけじゃなく、友人や本、コンテンツからでも起こり得ると思います。
並木陽児 究進塾代表。最近ハマっていることは、川遊び(ガサガサ)と魚の飼育です。 |